第25話 講習会3
他の人たちがエレベーターや階段を使ってそれぞれの会場に向かっている。
戦闘職希望の人は採取希望の人に比べて荷物が多いので、階段で向かっている人が多いようだ。
俺も階段で次の会場まで向かうことにする。
地下1階に到着すると、体育館のような施設になっていた。
結構広いな~、ここで何するんだろう?
辺りを見回してみると訓練に使いそうな備品が置かれている。
そして施設の中央に鎧を着て両刃剣と盾を持った男性が立っていた。
この人が次の教官かな?
「お、来たか。早速で悪いがあっちにある更衣室で装備を着てここに集まってくれ」
やっぱり教官だったようだ。
教官が指したところに更衣室があるらしいので、そちらに向かう。
更衣室の中も結構広いのでこの場にいる全員で入っても余裕を持って着替えることが出来そうだ。
俺は持ってきたバックの中から購入した鎧を取り出して着ていく。
着替えながら周囲を見渡すと、俺と同じように皆鎧を着ながら武器を取り出していた。
「(あの人は斧か。お、槍の人も結構いるな~、後多いのは両刃剣とかナイフ系かな)」
パッと見た感じ刀を使う人は居なさそうだ。
人気ないのか?それとも刀の武器スキルが少ないのかな。
良い武器なんだけどな刀、まぁ少し扱いが難しいけど。
こうしてみると結構バリエーションが多くて面白い。
俺は刀系の武器以外は使えないので、どんな感じで戦うのか少し興味がある。
皆に装備を着させるってことは何か訓練的な事をやるのかな?
そうだとしたら他の武器の戦い方とか見れるかもしれない。
ちょっとワクワクした気持ちになりながら着替えが終わったので、先程の広場に戻る。
「着替え終わった奴はそっちに並んでてくれ」
教官にそう言われたので大人しく並んでおく。
しかしこの教官強そうだな、立ち姿に隙が全くない。
この人もMDDの職員なんだろうか?
「さて、全員集まったか?それじゃあ戦闘職向けの講習会を始めるぞ」
「「よろしくお願いします!」」
「といっても難しい話しをするわけじゃない。ここに居る奴らは全員戦闘職希望だからな、ダンジョンへ潜る前に装備を着た状態での戦闘を少し体験してもらう」
なるほど、確かに俺も家で装備を着た状態で少し訓練したけど、どうしても最初は違和感があった。
ぶっつけ本番で戦うよりも、こういった場で少しでも慣れる事が目的なのかな。
「と、その前に自己紹介をしておくか。俺は山本健也だ、MDDで働いているがBランクダンジョンまでなら踏破したことがある。一応は高ランク探索者になる」
おぉ、やっぱり強い人だった。
Bランクダンジョンって言うと、この前千鶴が調査の為に潜ったダンジョンと一緒だ。
つまりこの教官は千鶴が話していたオルトロスみたいな強いモンスターと戦って勝ったことがあるんだろう。
凄いな、今の俺では逆立ちしても勝てそうにない相手だ。
「それで今から何をするかだが、簡単に摸擬戦をしようと思っている。ただ初心者同士で戦うのは危険だから、相手は俺だ。」
うん、確かに初心者同士は危険だな。
しかも今は皆ちゃんとした武器を持っている。
おそらくちゃんと刃も研がれているので当たったら大怪我をするだろう。
その点この教官であれば安心して相手をすることが出来そうだ。
この前道場で千鶴と模擬戦したときにも感じたけど、高ランク探索者は本当に人外みたいな動きをする。
おそらく俺たちみたいな初心者の攻撃だと、本当に余裕を持って対処してくれそうだ。
「それじゃあ今から名前を呼ぶから、呼ばれた者は前に出てきてくれ。最初は加藤俊介」
「あ、はい!」
教官が手元にある資料を見ながら名前を呼ぶと、斧を一人の男性が前に出た。
「ふむ、斧術か。どれくらい使えるか見るから適当に攻撃してきてくれ」
「わ、分かりました!」
男性は結構緊張しているようだ。
まぁいきなり人に攻撃するのはかなりストレスがかかる。
俺も最初に摸擬戦をしたときはすげー緊張したし、千鶴も初めての時は緊張で手が震えていた。
「い、行きます!はああぁ!」
「お、勢いが良くていいな。それにちゃんとスキルが体に馴染んでるようだな」
おぉ!結構思い切りよく行ったな〜。
教官はそれをかなり余裕を持って捌いている、流石高ランク探索者だな。
しかし斧の戦い方は初めて見たけど面白いな。
切るだけかと思ってたけど、尖ってる部分での突き攻撃も油断してたら当たってしまいそうだ。
「よし、その辺で良いぞ。どうだ?防具を来ている状態での戦いは」
「か、体が重かったです...」
「ははは、そうだろう?最初はそれで苦労するかもしれないが潜っているうちに慣れてくるから頑張れ」
「はい、ありがとうございます!」
「戻っていいぞ、じゃあ次は吉田幸谷。前に出てきてくれ」
「はい」
次に呼ばれた人は俺がさっき鑑定を使って見た人だった。
確かスキルは槍術(弱)だったかな?
それに武道経験者っぽいしどんな戦いになるか少し興味がある。
「スキルは槍術か、じゃあさっきと同じように好きに攻撃してきてくれ」
「分かりました」
そういうと吉田さんが武器を構えた。
お、やっぱり経験者っぽいな、構えが堂に入ってる。
「ほう、何か武道をやっていたのか?」
「はい、棒術を少し」
「なるほど、槍に通ずる部分があるな。さぁ、攻撃してきていいぞ」
「では行きます、はぁ!」
吉田さんが教官に走り寄り槍を突き出す。
教官はそれを盾や剣で逸らしながら防いでいた。
見ていて思ったけどやっぱり槍はリーチが長いから剣とか刀で相手する場合、こっちの反撃がしづらいんだよな〜。
「よし、そこまででいいぞ。棒術をやっていただけあって基礎がしっかりしているな。戦闘に対する怯えも見えないし、初心者用ダンジョンであれば余裕を持って攻略できると思うぞ」
「ありがとうございます」
「よし!じゃあ次は...」
その後順々に名前が呼ばれて皆教官と摸擬戦を行った。
武道経験者は吉田さんだけだったようで、後の人たちは今回が初めての戦いだったようだ。
だから少し動きが硬かったりしたが、それでも色んな武器の戦いを見れたので見ていて面白かった。
「よし!じゃあ最後に舞月慧。前に来てくれ」
「はい!」
そしてついに俺の番が回ってきた。
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