第24話 講習会2
「今日集まっていただいた皆さまは、探索者としてダンジョンへ潜りたいと考えている方がほとんどだと思います」
教官の話しを聞きながらふと思う。
逆にここに来てて探索者にならない人とか居るのかな?
実際ダンジョンへ潜り始めて、肌に合わないと感じて探索者を辞めたりとかはあると思うけど。
「そして皆さんは最初に初心者用のダンジョンへ潜ることになると思います。ここで少しハッキリと言っておくのですが、初心者用ダンジョンはしっかりとした装備さえ整えていれば危険度は皆無です」
うん、これは教官の話しに納得できる。
この前スキルを取るついでにゴブリンダンジョンを少し探索したけど、危ない場面はなかった。
防具を身に着けた状態であのゴブリンの攻撃を食らったとしても、少し衝撃があるだけだろう。
ただ流石に木の棍棒で殴ってきていたので、何も防具を身に着けなかった場合は少し悶絶するかもしれない。
だから防具を付けていれば本当に危険はないのだろう。
「最初に潜るダンジョンとして人気なのはスライムダンジョンですが、こちらに関しては1層であれば防具すら要らないでしょう」
そうなのか、それは知らなかった。
でも1層であればって言ってるし、深く潜る場合は防具も必要になるよな。
「だからといって、準備は怠らないようにしてください。ダンジョンの中では何が起きるかわかりませんからね。これについては後で詳しく説明します」
ダンジョンの中でイレギュラーな事が起きるという話はほとんどない。
だがほとんどであって、絶対ではないので準備は怠らないほうが良いだろう。
「そして初心者用ダンジョンの後は、EランクやDランクのダンジョンへ潜ると思います。ここまでのダンジョンもしっかりと準備をしておけば危険度は低いです」
確かにEランクやDランクで探索者が亡くなったという話しはあんまり聞かない。
「ただ、Cランクダンジョンからは全くの別物になります。モンスターは非常に強くなり、罠も設置されています。油断すれば一瞬であの世へ行くことになるでしょう」
これも聞いたことがある、Cランクを超えるダンジョンは本当に殺意が高くなるらしい。
初心者用ダンジョンや、EランクDランクのダンジョンはふざけてるのかと思うようなモンスターが出てきたりするのだが、Cランクからはそれが一切消える。
「なので自分の適正にあったダンジョンへ潜るように心掛けてください」
これは俺にも言えることだ。
真由を救うことが目標であるが、焦って自分の適正ランク外のダンジョンへ潜ってしまったら目も当てられない。
俺が死んでしまったら、真由を救うことも出来なくなるだろうしこの辺は本当に注意していこう。
「さらにダンジョン内ではモンスターだけが敵ではありません。非常に残念な事ですが年に数件ダンジョン内で探索者による事件が発生しています」
あぁ、これもたまにニュースになったりするな。
パーティーを組んでいたけど、ダンジョン内で口論になり殺害してしまったとか、貴重なアイテムが手に入ったけど誰のものにするかで揉めて怪我をしてしまったとか。
「これは先程のダンジョン内では何が起こるか分からないという話に繋がってきます。探索者とは一人一人が非常に強い力を持った存在です、そして残念なことに全員が善人であるとは限りません。そういう可能性を考慮して、ダンジョン内では何が起きても良いように準備をしておく必要があります。そして皆さんの中からそう言った人が現れないことを祈っています」
なるほど、確かにそう言う事もあるかもしれないのか。
そういえば、レーラのダンジョンマップって他の探索者も表示されるのか?
《回答・・・表示可能です》
なるほどね、じゃあ俺は他の人に比べてトラブルになる可能性は少ないかな。
レーラは余り人に言えないようなスキルだし、ある程度の力を付けるまでは極力他の探索者と関わらないようにした方が良いだろう。
「さて、次にモンスターを倒したときに獲得できるドロップ品についてお話します。原則として獲得した魔石に関してはダンジョン近くに設置されているMDDの買取所で売却をお願いします」
これは有名な話だ。
現在魔石は発電に使われているので、国が管理をしているらしい。
だから魔石については政府の管轄であるMDDへ売却するのが義務付けられている。
「それ以外のドロップ品に関してはMDDの買取所でも、他の買取所でも大丈夫です。傾向としてMDDで売却するより、他の場所で売却した方が値段が高くなる場合があります」
確かにMDDで売るより他で売った方が高くなると聞いたことがあるけど、それを教官が言っちゃうんだな...。
「ただ、他で売却した場合トラブルに発展する可能性があります。そう言った場合MDDはあまり関与できませんのでご了承ください」
なるほど、MDDで売ればトラブルになる可能性は低いけど、他の場所だとトラブルになる可能性が高いのか。
俺はどうしようかな~、まぁ手に入れたドロップ品にもよるかな?
特にオークションだと、せっかく落札したのに聞いてた話しと違うみたいな事があるっぽいし、トラブルは面倒なので基本的にはMDDに売る方向でいいかな。
「現役の高ランク探索者の方でも、そう言ったトラブルを避けるためにMDDへ売却する方も多いです。この辺は皆さんの判断に任せますが、十分にお気を付けください」
俺は隠し部屋を見つけることが出来るので、他の探索者に比べてアイテムを手に入れる機会が多いだろう。
もし有用なアイテムが複数手に入ったら千鶴にあげるのもありだな~。
何回もMDDへアイテムを売りに行ってたら何処で手に入れたんだって話しになりそうだし。
それに千鶴にはスキルの獲得方法を教えてくれた大きな恩がある。
よし、そうと決まれば千鶴でも使えそうなアイテムが手に入ったらプレゼントしよう。
「さて、ここまでで予定していた話しは終わりになります。この後は適正に分かれて講習会を続けますので、何か質問がなければ移動しましょう」
特に疑問がなかったのか、部屋にいた人たちからは質問が上がらなかった。
「大丈夫そうですね、それでは戦闘職希望の方は地下1階へ、採取職希望の方は4階へ移動お願いします」
じゃあ俺は戦闘職希望だから地下1階かな。
教官の言葉と共に皆移動を始めたので、俺も次の会場へ向かうことにする。
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