第21話 買い物2
「こちらが初めての方にお勧めしている鎧になります」
そう言いながら見せてくれたのは、皮鎧やプラスチック鎧だった。
これは昨日サイトでチェックしていた商品だ。
正直どちらも魅力的だが、実際に持った時の重さや着心地などを確かめたいと思っている。
「とりあえず着てみてもいいですか?」
「はい、大丈夫ですよ。少々お待ちください」
店員さんは直ぐに試着用の鎧を持ってきてくれた。
まずはプラスチック鎧の方から着てみようかな。
このプラスチック鎧はポリカーボネート樹脂という素材で出来ているらしい。
高い耐衝撃性を持っているので、低ランクのダンジョンを潜るのには不便しないだろう。
それこそゴブリンの攻撃程度だったらかなり余裕を持って防ぐことが出来そうだ。
手早く鎧を着ていき少し動いてみる。
う〜ん、やっぱりプラスチックだから少し動きが阻害されてる気がする。
「どうですか?」
「そうですね、やっぱりちょっと硬いですね...僕は結構動く予定なので少し合わないかもしれません」
「なるほど、ではこちらの鎧はいかがでしょうか?プラスチック製のものに比べて耐久度は落ちますが、柔らかく体の動きを阻害することは少ないと思います」
店員さんが勧めてきた皮鎧の方を手に持つと、思ったより軽くて驚いた。
確かに柔軟性もあるしこれは期待できそうだ。
プラスチック鎧を脱いで皮鎧の方を着ていく。
おぉ、これは結構いいな!
少し体を動かしてみたけど、あまり動きを阻害しない。
もうちょっとしっかりと動いてみるか。
「ちょっと動いても大丈夫ですか?」
「はい、構いませんよ」
店員さんから許可を貰ったので体術の型を使って体を動かしてみる。
「(凄い...このお客様は武道の経験者でしょうか?たまにそう言った方も来られますが、素人目から見ても今までと練度が違って見えますね...)」
うん、悪くないな。
やっぱり鎧を着ている関係で少しだけ違和感はあるけど、まだ許容範囲内だ。
少し練習すれば違和感なく動かせるようになるだろう。
「ありがとうございます、この鎧にしたいと思います」
「ありがとうございます」
こうして買うものを決めたので、会計をしていく。
軽く二桁万円が飛んでいったが悪い買い物ではなかったと思う。
「お買い上げありがとうございました」
ここで買おうとしたものは買えたので、次のお店に行きますか。
「うん?」
お店を出たときに俺のスマホに何か連絡が入った。
俺はあまり友達が多い方ではないので連絡が来るのは親か千鶴か真由の三択になる。
別にボッチって訳じゃないぞ?
ちゃんと千鶴や真由といった友達が居るからな!
スマホを開いてみると、そこにはMDDと表示されていた。
「え、なんだろう?」
なぜMDDから連絡が届いたのか謎だ。
もしかして昨日入力したスキルについてか?
やっぱりあり得ないスキルだったから詳しく調査したいとかそういった連絡かな?
そうだとしたらちょっと面倒だなと思いながらメッセージを開いてみる。
「何々、えぇ?」
するとそこにはスキルは嘘偽りなく記載してくれと最初に書いてあった。
もしかして俺が記入したスキルが嘘だと思われたのか?
そして今度は正確に獲得したスキルについて記入しメールで返答してくれとも書かれていた。
「いや、ホントの事なんだけどなぁ...」
まぁ信じられない気持ちもわかる。
しかしどうしたもんか、そもそも俺のスキルは名前からして他のスキルと大分違う。
もしここでまた名前を支援型AI「レーラ」と入力して効果を減らしたとしても、信じて貰えなさそうな気がする。
「う~ん、とりあえず鑑定だけ書いておくか...」
俺のスキルの中で、唯一鑑定だけは比較的オーソドックスな性能をしているので、これだけ記入しておけばまた連絡が来ることはないだろう。
「スキル名鑑定で、スキル効果はアイテムやモンスターを鑑定できる...と」
それを記入したメッセージを返信すると、直ぐに返事が返ってきた。
「今後このようなことが無いようにお願いします...ね」
しかし初めから嘘と決めつけて来たけど、良いのかな?
ダンジョンが出現してから50年は経ってるけど、未だに新しい効果のスキルが発現したりしている。
だから俺のスキルも新しいスキルとして色々調査されることを覚悟していたんだけど、やっぱり効果があり得なさ過ぎたか...。
まぁこれで余計な煩い無くダンジョンに潜れそうだし、これはこれで良いか。
気持ちを切り替えて次のお店に行くことにしよう。
続いてやってきたのは、ダンジョン用の便利アイテムが買えるお店だ。
その名も「ベンリー」。
うん、まんまだな、他にいい名前は無かったのかな?
まぁ分かりやすいからいいけど。
このお店で買うものは決まっている。
そう、トイレだ。
ダンジョンに潜る時間が長いと、どうしてもトイレに行きたくなったりする。
そう言う時の為にワンタッチで展開できる携帯トイレが開発された。
どのサイトを見ても、携帯トイレは必需品であると書かれている。
もし携帯トイレを持っていかずにダンジョンへ潜り、催したときは最悪だ。
我慢して出口を目指すか、それとも周りに誰もいないことを確認した上でするか、どちらも高いリスクがある。
もし我慢が間に合わなくて漏らした日には最悪だし、誰もいないことを確認していたとしても途中で誰か来るかもしれない。
これは己の尊厳を守るために絶対に必要なものだ。
余りの需要の高さから色々なメーカーから携帯トイレは販売されている。
さて、どれを買おうかな?
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