第20話 買い物1

次の日俺は出かける準備を進めていた。

昨日の夜色々調べて最初に買った方が良いものをある程度ピックアップしたので、早速買いに行こうと思っている。


「お、慧。どこか出かけるのか?」

「うん、ちょっと「Labyrinth」で買い物してくるよ」

「そうか、お小遣い要るか?」

「いや、流石に大丈夫」

「そうか、気を付けて行けよ?」

「うん、ありがとう」


実は道場を手伝っていたことで、ある程度父さんから給料を貰っている。

それに俺は趣味という趣味がなかったのでそこそこ貯金がある。


まぁ趣味と言えばダンジョン情報を巡ることか?

でも本当にそれぐらいしかなかった。


高校の時も遊んではいたけど、それこそ千鶴と「Labyrinth」へ下見に行ったり、ダンジョンの情報を見て色々妄想したりとかそう言う遊びばっかだったりなので、実は以前貰っていたお小遣いも貯金していたりする。


「それじゃあ行きますか」


俺はワクワクした気持ちを抱きながら「Labyrinth」へ向かった。



少し歩いて「Labyrinth」へ到着した。

五階建ての建物になっており、色々なお店が入っている。


周辺にはおそらく探索者であろう人で溢れかえっていた。

相変わらず盛況な様子だ。


今からここで買い物が出来ると思うとワクワクが止まらない。

「Labyrinth」で買い物をするには探索者証かスキル証明書を提示する必要がある。


武器など危険な物も販売しているため、一般の人が買えないようになっていた。

まぁ一度でも探索者登録すれば買えてしまうので、そういった犯罪組織とはいたちごっこが続いていると何処かの記事で見たことがある。


そんなことを考えながらあるき、目的の店へ向かう。

その店は二階に入っているためエスカレーターで移動すると、「ルーキールーキー」という看板が目に入る。


ここが今日俺が商品を買おうとしているお店だ。

その名の通り初心者向けの商品を販売している。


正直身体能力が低いうちから鉄製の鎧などは着けてもただ重いだけで、まともに動けないので最初のうちはプラスチック製の鎧やモンスターの皮などを使った皮鎧が最初は一般的だ。


店の中に入ると直ぐに色々な商品が目についた。

コンパクトな懐中電灯や靴、盾や鎧が展示されている。


昨日写真を見ながら調べていたけど、やっぱり現物は違うな〜。


「何かお探しですか?」


俺が商品を眺めながらウロウロしてたら店員が話しかけてきた。


「えぇ、近いうちにダンジョンへ潜るのでそのためのアイテムを買おうかと思っていて」

「なるほど、どのようなものをお探しですか?」

「とりあえず基本的な物が一式欲しいですね」

「かしこまりました、それでしたらこちらの初心者セットがお勧めになっております」


そう言いながら店員さんが紹介してくれたのは、いくつかの商品がセット売りされているものだった。


「中には何が入ってるんですか?」

「こちらは基本的な小物がセットになっています。リュックの中に懐中電灯やロープ、チョークや水筒などですね」

「なるほど、結構良いですね」


ダンジョン探索には意外と色々なものを使う。

懐中電灯は暗いダンジョン内を照らすのに必須で、ロープは色々な事に使えるのであって困らない。


チョークはダンジョン内を迷わないために壁に印を付けるために使い、水筒はそのまま飲み物を持っていくために使う。


だが荷物を持ちながら激しい動きをすることもあるので、水筒も頑丈に出来ておりダンジョン仕様になっている。


俺が欲しいと思っていた小物が全て入っているのを確認したので、これを買うことにする。

昨日サイトを見ていたんだけどこれはページに載っていなかった。

嬉しい誤算だな。


「後、靴とか鎧も欲しいんですけど」

「分かりました、まずは靴から見ていきましょう」


店員さんが靴が置いてある場所まで移動したのでそれについて行く。


「お客様はどのようなスタイルでダンジョンを探索する予定ですか?」

「基本的には戦闘メインですね、僕自身結構動く方だと思うので軽い方がいいです」

「それですと、こちらがお勧めですね」


ダンジョンに潜る目的に寄って履いていく靴や鎧なんかが変わってくる。


俺みたいにモンスターと戦うことをメインとした探索者は頑丈なものを買うし、採取メインの探索者は長く履いていても疲れない靴を買う。


今回店員さんに勧められたのは、つま先が硬くなっている靴だった。


「こちらの靴は先端に鉄を薄くコーティングしてあるので、そこまで重くないのに頑丈に出来ています」

「おぉ、思ったより軽いですね!」


手渡された靴を持ってみると、俺の想像していたよりかなり軽かった。

軽く先端を叩いてみると、ちゃんと鉄でコーティングされているのでちょっと痛い。


これでモンスターを蹴るだけでも十分な攻撃になるだろう。

舞鎖流には体術もあるので、結構活躍してくれそうだ。


「いいですね、これにします」

「ありがとうございます、次は鎧ですか?」

「そうですね、見せてもらえますか?」

「それではこちらにお越しください」


そのまま店員さんに案内され、次は鎧を見ていくことになる。



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