第19話 申請

父さんと母さんに探索者になることを話した後、部屋に戻った。

俺はスキル証明書を取り出してスマホからMDDのサイトにアクセスする。


サイトには大きく目立つところに講習会に参加するための申し込みページへのリンクが表示されているのでそれをタップして開く。


「それでここにIDを入力すればいいんだよな」


申し込みページを開くと、IDを入力する部分があるので、スキル証明書に記載されているIDを打ち込んでいく。

それと同時にメールアドレスを記入する部分があるので、スマホのメアドも一緒に打ち込む。


「これでいいのかな?送信っと」


すると直ぐにメールが届き、次の手続きをするためのリンクが送られてきた。


「次はこれか」


そのリンクを開くと、詳細な情報を記入するページが現れた。

生年月日や名前、スキルの事を記入するページだ。


俺は直ぐにそれを記入していくのだが、スキルの欄で一つ躓いた。


「スキルの名前と効果を記入してください?」


そう言えば、俺のスキルの名前って何だっけ?

確かなんちゃらAIとか言ってた気がするんだけど...。


《回答・・・本スキルの呼称・支援型AI「learuler」》


ふむ、支援型AI「レーラ」っていうのか。

そう言えば頭痛が収まった後そんなことを言ってた気がする。


《否・・・支援型AI「learuler」です》


うん?だから支援型AI「レーラ」だろ?

大丈夫、ちゃんと分かってるよ。


これからはスキルさんじゃなくてレーラって呼んだ方がいいのかな?


《支援型AI「learuler」です》


だよね、スキルさんって呼ばれるより名前で呼ばれた方がいいよな。

分かった、これからはレーラって呼ぶようにするよ。


《・・・》


さて、じゃあ名前も分かったし記入していくか。


「スキル名は支援型AI「レーラ」と...次は出来ることか~、これ全部書いていいのかな?」


基本的にスキルで出来ることは一つに限られている。

千鶴から聞いた話だと、極稀に複数の事が出来るスキルもあるらしいがそれでも2つ程が限度だ。


それに対してレーラは鑑定、ダンジョンマップ表示、成長因子操作、弱点表示と出来ることが4つもある。


正直なところ、これを全て書いて良いのか悩んでいる。

どうしようか?でもこのページには原則スキルについて虚偽なく記載するように注意文も書かれている。


ならやっぱり全部書いたほうがいいか?

未確認スキルの場合、そのスキルがどういったスキルなのか調べるためにMDDへ呼ばれる事があるらしい。


多分俺のスキルもそれに該当するので、呼ばれる事はあるかも知れないけど、嘘を書いて後からバレる方がマズイ気がするのでここは正直に書いておくか。


「鑑定、ダンジョンマップ表示、成長因子操作、弱点表示っと。これで大丈夫かな?」


全ての項目を記入すると申請ボタンが押せるようになったので、ボタンを押してみる。

するとサイトに申し込み完了と表示され、次に行われる講習会についての情報が表示された。

それと同時に申し込み完了のメールも届いた様だ。


「なるほど、丁度3日後に講習会があるのか。丁度いいな」


探索者の講習会は毎日行っている訳ではない。


年度が変わるときは高校を卒業した人たちが探索者になるために一斉にダンジョンへ入りスキルを獲得するので連日のように講習会が行われているが、その時期が過ぎると大体月1くらいの頻度になる。


なので3日後に講習会があるのは本当にタイミングが良かった。

まぁその分急いで準備しなければいけないので忙しくなると思うけど、一ヵ月待つより断然いい。


そうと決まれば早速探索者用のアイテムで何を買うか吟味して行こう。


「まず何処で買うものするかだけど、やっぱりあそこしかないよな~」


実は最寄り駅の近くに探索者用ショッピングモール「Labyrinth」が存在していた。

この「Labyrinth」の中には探索に必須なアイテムから在ったら便利なアイテムなど幅広く販売されている。


その代わり一般用の商品は売っていないので、本当に探索者専用のショッピングモールだ。


俺はスマホで「Labyrinth」のホームページを開く。


「暇つぶしに見たことはあったけど、実際に自分が買う予定となるとやっぱり違うな」


この「Labyrinth」の中には別に探索者じゃなくても入れるため、これから探索者になろうとしている高校生などが下見に訪れることがよくある。


かくいう俺も昔は千鶴と一緒によく「Labyrinth」へ遊びに行ったもんだ。

色んな商品を見ながらあれが便利そうだ、これが使いたいなど話しながら見学していた記憶がある。


まぁその後探索者になれなかったので実際に商品を購入することは出来なかったが...。


「さて、何を買おうかな」


まずは服関係がやはり必須だろうか?

他にもメジャーなものだと武器を「Labyrinth」で買ったりするのだが、俺には自分の刀があるので武器はそれを使おうと思っている。


「そう言えば講習会の持ち物とかってあるのか?」


ふとそう思った俺は申し込みが完了した時に届いたメールを開いてみた。

するとそこにはしっかりと持ち物が記載されていた。


「え~と、身分証にスキル証明書、戦闘職希望の方は動きやすい服装に武器、か」


どうやらそこまで持ち物は多くなくて良いようだ。

それでも早くダンジョンへ潜りたいので講習会までの間に色々買いそろえておいた方がいいだろう。


そう考えた俺は「Labyrinth」のサイトを詳しく見ていく。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る