第15話 ダンジョンの写真Part2

続いて千鶴が見せてきた写真は一面が水晶によって構成されている部屋の写真だった。


「うわぁ、綺麗だね...」

「凄いな、こんな部屋もあるのか」

「あぁ、私もまさかこんな部屋があるとは思わなくてな、思わず写真を撮ってしまった」


ダンジョンの中はダンジョンによって全然違ったりする。

今日潜ったようなオーソドックスな洞窟型が一番多いが、その他にもゲートを潜ると目の前に森が広がっている森林型や、一面が大海原になっている海洋型、何故か過去の遺跡などが再現されている遺跡型などが存在する。


千鶴が今回潜ったダンジョンは洞窟型だったはずだが、たまにこのような一面が鉱石によって構成されている部屋などが現れることがある。


俺が以前写真で見たことあるものだと、一面鉄で出来ている部屋とか、ゼリーのような素材で出来ている部屋が存在していたはずだ。


鉄で出来た部屋に関しては面白い出来事があり、ニュースになったことがある。

その部屋は壁を削るだけで鉄が採掘できるので、採掘系探索者がこぞって潜ったことがあった。

ただ鉄は非常に重たいので、持って帰れる量に限りがある。

さらに鉄は買い取り価格もそこまで高くないので、費用対効果が低く直ぐに探索者たちが撤退していき、過疎ダンジョンになってしまう出来事があった。


それでも鉄の需要は尽きないので、政府が専用の探索者を雇って日々採掘しているという噂もある。

まぁ、ああいう鉄などの鉱石系はマジックバックみたいな物がないとまともに持って帰れない。


だから過疎った理由も凄く頷けるものだ。

しかし採掘してた探索者はそのへんに気が付かなかったのか?


「千鶴ちゃん、この水晶って採れたの?」

「あぁ、少しだけ採掘してきた、今度持ってこようか?」

「うん!ちょっと見てみたいな」

「分かった、楽しみにしててくれ」

「ありがとう~千鶴ちゃん」


しかしなんだ、美少女と美女が笑いあってる光景は非常に目の保養になるな。

無限に眺められる自信がある。


「後は休憩中に仲間と記念撮影をしたんだ」

「へ~、これが千鶴ちゃんのお仲間さんなんだ」

「おぉ、皆強そうな人ばっかりだな」

「一応トップクランだからな」


千鶴が新しく見せてくれた写真には10人程度の人が写っていた。

全員もれなく女性なのだが、確か天心百花に在籍している探索者は女性のみらしい。


基本的に探索者は男性が多い業界なので、守る意味も含めて全て女性で構成されてると予想できる。


まぁ千鶴であれば例え男が襲ってきても全て返り討ちにできそうであるが、それを言うと何故か睨まれるので頭のいい俺は決して口にしたりしない。


決して千鶴が怖いわけじゃないぞ?

ただそう、なんというか、千鶴に睨まれると新たな扉を開きそうになる。

俺の直感ではその扉を開いてしまったら最後、戻ってこれなくなる気がするので余計なことは言わないようにしている。


たまにポロっと言っちゃったりするんだけど、その時はその時だ。

頑張れ未来の俺、扉を開かないように頑張るんだぞ。


「まぁ慧もそう遠くない未来にこの景色が見れるようになるだろう」

「そう考えると楽しみだな~」

「うん?どういうこと?」


そう言った千鶴の言葉に頷いていると、真由が首を傾げていた。

その姿がクッソ可愛いのだが、確かまだ真由には俺がスキルを獲得したことを言ってなかった気がする。


「俺がスキルを持ってなかったのは知ってるよな?」

「うん、本当は探索者になりたかったけど、スキルが無いせいで探索者になれなかったって前に聞いたよ」

「そうなんだけど、千鶴からもしかしたらスキルが手に入るかも知れないって話しを聞いてさ、今日ダンジョンに行ってきたんだ」

「え?そうなの?」

「うん、過去にもスキルを持っていなかった人がダンジョンに入ってモンスターを倒したところ、スキルがゲット出来たらしいんだ」

「ほへ~、じゃあ慧君は今日モンスターを倒してみたの?」

「うん、そしてら見事にスキルが手に入ったんだよ」

「そうなんだ!おめでとう慧君」

「あ、ありがとう」


俺が今日あったことをざっくりと真由に伝えると、まるで自分の事のように喜んでいた。

凄く嬉しそうに笑顔を浮かべながらおめでとうと言ってきたので少し照れてしまった。


真由の視線が眩しすぎたので、ちらりと千鶴の方を見てみると何故かこちらは面白そうな表情をしニヤニヤしながらこちらを眺めていた。


何故かわからないが滅茶苦茶ムカつく顔をしている。

こう、頬っぺたをムギュっと握りたくなる顔と言えばいいのか...。

ただそんなことをした瞬間俺の人生は幕を閉じるのでやりたくても出来ない。


たまに千鶴はこういったムカつく顔をするので、いつか俺が千鶴より強くなったら絶対にムギュっとしてやろうと密かに心に誓う。


「それで慧君はどんなスキルだったの?」

「あ~、何と言えばいいのか...支援系の複合スキル?だったな」

「例えば?」

「ダンジョンマップが表示出来たり、成長因子ってやつを操作できたり、モンスターの弱点を表示出来たりする」

「う、うん?」


俺のスキルが気になったのか真由がそう聞いてきたので答えたのだが、よくわからなそうな顔をしている。

まぁそうだよな、俺も最初はマジで理解できなかったから真由の反応にも頷ける。


「えっとな、詳しく話すと...」

「うん」


俺は自分のスキルについて詳しく真由に説明していく。

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