第12話 他の隠し部屋

「なぁ慧、この隠し部屋のマークは他にもあるのか?」

「うん?あぁ、このフロアにあと三か所はあるな」

「まだ時間が大丈夫なら、そこを回ってみないか?」

「いいぞ」


俺はポーションをバックへ仕舞い、次の隠し部屋に向かって歩き出す。


どうやら流石の千鶴も隠し部屋が気になるようだ。

まぁトップ探索者であっても隠し部屋は中々見つからないって有名だから、興味があるのかもしれない。


トップ探索者にも見つけられない隠し部屋がマップを見るだけで分かるとか本当にとんでもないスキルだ。

これは俺は探索者になってもしばらくはソロ活動かな~。


もし本当に信頼できる人が仲間になったら言っても良いかもしれないけど、そうじゃ無い場合は余計な煩いが色々と出てきそうだ。

まぁそんな簡単に信頼できる人とか見つかるわけがないので、ほぼほぼソロは確定だろう。


まぁこの隠し部屋も今はマップを表示できるFランクダンジョンでしか見つけられないので、しばらくは初心者用ダンジョンを巡る感じになるかな。


そんなことを考えながら歩いていると、次の隠し部屋に到着した。

パット見この壁にも特に仕掛けが無さそうなのでまた千鶴に開けてもらう必要があるかも知れない。


「千鶴、仕掛け無さそうだし頼めるか?」

「あぁ、この壁だな?」

「うん」

「じゃあ少し離れててくれ、ふっ!」


俺が少し離れたところで千鶴が拳を振るい、壁を打ち砕く。

先程と同じように壁が崩れ、空洞が現れた。

そして中を覗くと同じように宝箱が存在している。


「これで確定だな、慧のマップに映っている銀色の点とやらは隠し部屋のようだ」

「そうだね、早速開けてみるか。今度は千鶴が開けていいぞ」

「む、いいのか?」

「うん、俺はさっき空けたしね」

「では、お言葉に甘えて開けさせてもらおう」


俺がそう言うと心なしかウキウキした足取りで千鶴が宝箱へ向かう。

やっぱり宝箱開けたかったんだな、さっきも俺が危ないかもしれないからとか言ってたけど、実は自分が開けたかったからそう言ったんじゃないかと思う。


実際罠もないし俺が開けると言ったとき、ほんの一瞬だが残念そうな顔をしていたし。


そして千鶴が宝箱を開けると、中からまたポーションが出てきた。


「さっきと同じ奴かな?」

「ちょっと確認してみるか...。うん、見た目は全く一緒だな。上位のポーションって見た目も違うんだよな?」

「そうだな、もっと装飾が派手になる」

「やっぱりそうなんだ」


このポーションも瓶に少し装飾があるのだが、俺が画像で見たことある上位のポーションは瓶の周りを金属の装飾が走っていて、滅茶苦茶高級そうな雰囲気が出ていた。


それに比べるとこのポーションはそこまで派手ではない。


《鑑定・・・宝物名:回復促進薬

      促進箇所:体力

      ランク:F》


ほら、スキルさんもこう言ってるし間違いなくさっきと同じポーションだ。


「それでどうする?他も回ってみるか?」

「時間があるのであれば回っておいた方が良いだろう、下位のポーションと言っても買おうとしたらそこそこの値段がするからな、持っておいて損はない」

「了解、じゃあちゃちゃっと周りますか」


その後俺と千鶴は残りの隠し部屋に行き、二つのポーションを回収した。

どちらもFランクポーションであった。

この階層ではポーションしか出ないのかな?他にも装備とかアクセサリーが落ちるって聞いたことがあったから少し期待してたけど。


その後目的を達成したので俺たちはダンジョンを出ることにした。

最初に入ってきた門の場所まで戻り外へ出る。


「あ、お帰りなさいませ千鶴お姉さま」

「あぁ、今戻った。それとこの男がスキルを獲得したので証明書が欲しい」

「かしこまりました、ではあちらにある建物へお願いします」

「分かった、行くぞ慧」

「はいよ」


基本的にダンジョンの近くには、獲得したドロップアイテムを売却できる施設が存在している。

ここもMDDが管理しているので安心して取引することが出来る。


一応ここで売らないでアイテムをオークションに掛けたりすることが出来るのだが、色々と手続きが面倒だったりする。


まぁその分MDDで売るより高値で売れるし、たまにとんでもないレアものが出品されたりするので、トップ探索者は見逃さないようにオークションに張り付いてたりする。


今後俺も売ることがあるかも知れないからその辺は勉強しておいた方が良いかな。


建物の中に入るとカウンターが設置されており、何人かの職員が立っていた。

これは何故なのか分からないが、基本的にカウンターに立っている受付嬢は美人が多い。


これは探索者スレでもよく話されていて、どこの受付嬢が可愛いかの議論が盛んに行われている。


空いているカウンターへ進み、要件を話す。


「すみません、スキルを獲得したので証明書を下さい」

「おめでとうございます、それではこちらに手を当てていただけますか?」


そう言いながら受付嬢が取り出したのは四角い黒いBOXだった。

どういう原理か知らないが、これに手を当てることでその人がスキルを持ってるかを判別することが出来る。


俺は言われたとおりに黒いBOXに手をおくと、ペカーっと光だし色が黒から白へ変化した。


「おめでとうございます、確かにスキルを所持していることを確認しました、今証明書を出しますね」

「ありがとうございます!」


こうして俺は念願のスキル証明書を手にすることが出来た。


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