第8話

「次があるんだ」

「板垣さんの言った通りだ」

「冗談じゃない」

「ここから帰してくれ」

「もういやだ」

「いい加減にしろ」

「死にたくない」

幾人かが騒ぐ。

騒ぐ気力もない人をのぞいて。

声も今までよりは大きかった。

とうやは板垣を見た。

板垣は黙ったままで、そこに立っていた。

板垣でもこの状況を鎮めることは難しいか。

あるいはそんな必要はなく、そのままにしておこうと思ったのか。

とうやにはわからないが、それよりも次のゲームがあることが重要だ。

次のホラーゲームとは何なのか。

何人死ぬのか。

そしてとうやは生き残れるのか。

そもそもあの幼女はいったい何者なんだ。

そんなことを考えていると、突然目の前が真っ白になった。

「うわっ」

「まただ」

「なんにも見えないぞ」

「なんなのよ、まったく」

みなも同じ状況のようだ。

しばらく視界はふさがれていたが、突然開けた。

そこは教室だった。

あそこに行く前の二時限目の英語の従業のままだ。

先生の話を聞き、黒板の書き込みを見る限り、とうやがあの窓のない体育館のようなところに行く前と、ほとんど時間は経っていないように思えた。

あそこではそれなりの時間が過ぎているはずなのに。

空間もおかしいが、時間流れも狂っているようだ。

誰も騒がないところを見ると、とうやが一瞬で飛ばされた後に、デスゲームに参加さられていたことは、誰も気づいていないようだ。

まわりの人間から見れば、とうやはそのまま座って授業を受けていたように見えたのだろう。

とうやは先生の口を見ていたが、話は聞いていなかった。

つい先ほどゾンビに襲われたばかりで、人が死ぬのもまじかで見たばかりなのだ。

英語の授業を真剣に聞くなんて芸当はとてもできない。

そして忘れてはいけないことがある。

それはデスゲームがまだ終わっていないと言うことだ。

幼女の話中で一番やばいこと。

それは幼女が多くの人が死ぬことを望んでいると言うことなのだ。


学校が終わり家に帰る。

珍しく早く帰っていた母が、これまた珍しく何か言ったが、まったく耳に残らない。

また幼女の言うホラーゲームと言う名のデスゲームに参加させられることは間違いない。

それにしてもあの幼女。

いったいなんなんだ。

考えたがわからない。

とても人間がなせることではない。

もしかして夢だったのか。

とも考えたが、どう考えてもそれは違う。

夢ではなくて現実にあったことだ。

頭の中がぐるぐるして、考えが及ばないのだが。

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