第9話

いつ晩御飯を食べ、いつ風呂に入り、いつ眠りについたのかもよくわからないまま、とうやはいつの間にかベットで寝ていた。

不意に目が覚めた。

時計を見ると三時だ。

今三時なのか、とか思いながら、とうやは再び眠りについた。


起きる。

朝食を食べる。

学校に行く。

そのまま授業を受ける。

誰か親しい友人がいたなら、とうやがいつもと違うことに気づいただろう。

しかしとうやには親しい友人はいない。

嫌われているわけではない。

好かれてもいないが。

ただ前からそうだったが、高校に入ってから、特に人と話すことがわずわらしく感じるようになっただけだ。

極力人とはしゃべらない。

そんなとうやに友人などいるはずもない。

明らかにいつもと違うとうやだが、誰もそれに気づくことはない。

一時限目が終わり、二時限目となった。

昨日は二時限目に体育館もどきのところに連れていかれた。

今日はどうなのだろうか。

しかし二時限目には何もなかった。

やがて昼休みとなり、とうやは学食で昼ご飯を食べた。

食べた直後には何を食べたかわからなくなっていた。

そのまま午後の授業を受ける。

そして時間は流れ、あと数分で今日の授業が終わるところまで来た。

――今日は何もないのか。

とうやがそう考えていたその時、目の前が真っ白になった。

――まただ!

そうなってもどうすることもできない。

とうやは待った。

しばらくすると見えてきた。

そこは道路だった。

大型トラックがすれ違えるくらいの幅がある道路。

舗装はされておらず、土のままだ。

そして走路は右を見ても左を見てもただ真っすぐで、どちらも先は見えない。

ただ直線で平坦な道路は、見える範囲でも相当な距離があると思えた。

道路の左右には何もない。

ただ映画で見たようなひたすら平坦な荒野が広がるだけ。

岩と砂の世界だ。

草一本生えていない。

アメリカ映画で見たことのあるような風景だ。

おそらく日本には、どこを探してもこんな場所はないだろう。

一瞬で外国に来たと言うのか。

――今さらどこに来ても驚くこともないんだろうが。

少し経てば、目の前が真っ暗になるに違いない。

そしてまた人々がとうやと同じように連れてこられるのだ。

そう思っていると、目の前が真っ暗になった。

そして視界が開けると、昨日の生き残りの人々が、そこにいた。

ゾンビから生き残った四十人が。

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