第4話
「みんな集まったわね。いいわいいわ。うーん、それじゃあ今から、ホラーゲームはじまるよ」
幼い女の子の声だ。
聞いた感じは、五、六歳くらいか。
やけに明るくて元気で嬉しそうな声だ。
それも耳から聞いたのではない。
頭の中に直接話しかけてきたのだ。
「えっ?」
「今のは」
「なんだあ?」
「誰?」
「子供の声だったが」
「頭の中に直接話しかけてきたぞ」
「なんなんだ」
とうやは頭の中に直接話しかけられると言う経験は一度もなかったが、女の子が頭の中に直接話しかけてきたということは、はっきりとわかった。
みんなもそうなのだろう。
口々に騒いでいる。
あたりをきょろきょろしながら。
しかしどこにもそんな幼い女の子の姿はなかった。
しばらくして、徐々に静かになっていった。
そして誰もなにも言わなくなった時、とうやは手になにかを感じた。
見ればとうやは右手で拳銃をつかんでいたのだ。
リボルバー式の。
――えっ?
「なんだこれは?」
「拳銃だ」
「いつの間に」
「やだっ」
「えっ、なんで」
みなが再び騒ぎ出す。
全員がその手に拳銃を持っていた。
すると音がした。
重いものを引きずるような音。
見れば扉がゆっくりとひとりでに開いていく。
五人がかりで全くびくともしなかった扉が。
扉が開くとそこにいた。
ゾンビ。
どう見てもゾンビにしか見えないものが。
その数は二十体あまりと言ったところか。
そしてゾンビたちは両手を前に突き出しながらゆっくりとこちらに向かって歩き出した。
「うわっ」
「きやっ」
「なんだ、ありゃ」
「ゾンビだ」
口々に叫び、みんな逃げ出した。
その中で銃声がいくつか響いた。
そしてその一発が、とうやのとなりで逃げていた女子高生に当たった。
誰かに撃たれたのだ。
ゾンビを狙ったであろう誰かに。
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