徐州

第21話 程緒

劉虞が、異民族に与えようとしていた物資を公孫瓚が略奪した。劉虞もまたこれを怒り公孫瓚を討伐しようとしたが、魏攸に諌められ思い留まっていたが、つい数日前に病死した。ここに至って劉虞の怒りも限界に達し、公孫瓚を討伐すべく異民族などを糾合して10万余りの大軍を集めた。その際、長安から驚くようなニュースが飛び込んで来た。

「董卓が、献帝からの詔により処罰され殺されました!」

公孫紀が、尾敦から受け取った報告を劉虞に話した。

「えっ?今、何と言った?誰が長安の実権を握っているのだ?」

「董卓が、王允たちが中心となり、処罰され殺されたのです」

尾敦が、そう答えた。

「義理の息子、呂布はどうした?」

「王允の養女の婿となり、暗殺の実行者となっています」

公孫紀が、そう言って拱手しながら話した。


「そうか。また呂布は、親を変え暗殺者側になったか。袁術の元に送っている兵士と、劉和に帰順を求めなくてはならないな。献帝は、董卓が殺されたとならると、自由に動けるようになるだろう」

「そして、漢王室の血を引く劉虞様に、これからは更に頼られる事が増えるでしょう」

程緒がそう言った。

「ははは。これで董卓が勝手に私と、公孫瓚を与えた役割も無効だ。公孫瓚を討ってやる。数々の無礼を働きおって。何が、白馬義従だ?壊滅させてやるからな」

「なりません!公孫瓚の悪事過失は明白ですが、処罰の名目が立っていません。また公孫瓚は武勇勇敢で勝算の見通しも立っていない。ここは兵を留めて攻撃せず、武威を示せば公孫瓚は降伏するでしょう」

そう言って程緒が、劉虞に訴え出た。


「何を弱気な事を言っているのか?公孫瓚との決戦間近に。戦うなと言えば、風紀が乱れるだろう?!我々の軍勢を見ろ!10万だぞ」

「しかし、10万と言えども、異民族の集まりです。上手く戦えるかと言えば、はなはな疑問です。また魏攸殿が生きていれば、同じようにお止めしたはずです。公孫瓚を決して侮ってはいけません」

劉虞は、顔色を見る見る変えた。

「魏攸は、もう死んでおらぬ。それなのに、まだ士気を落とす事を言うのか?おまえみたいな者は、軍の指揮を乱す。この者を捕らえよ!そして斬首しろ!」

「ま、ま、待ってください。私を斬首すれば、軍が混乱しますぞ!漢王室の血を引くあなたが、不正を働いたのならいざ知らず、忠孝の気持ちで献言をしている臣下の人間を処罰してはなりませぬ!」

「うるさい!おまえの進言は、掻き乱すだけだ!軍議など要らぬ、今すぐ首を刎よ!」






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る