第22話 処刑

公孫紀が、衛士2人を呼び寄せた。両脇を抱え外に連れ出した。程緒の叫び声が響く中、斬首に処した。

「魏攸殿を持ち出すとは、程緒殿も罪深い」

そう公孫紀が言った。

「わかってくれるか?」

劉虞が嬉しそうに笑うと、公孫紀らに言った。

「邪魔者は消した。さあ、閣議の続きをしよう」

その程緒を斬首した行為は、かえって軍勢に混乱を来たした。程緒があからさまに何か失政をした訳ではなかった。


さらに軍議の内容を公孫紀は、公孫瓚と同族だったため、討伐作戦の詳細を薊にいる公孫瓚に密告した。公孫瓚は、薊に劉虞の城の東南に小さい城を造営しそこを拠点とした。民衆を盾にして城に立て籠った。

劉虞は「余人を傷つけないように。斬るのは、公孫瓚ただ一人のみ」と指示し、そのため、劉虞の軍勢は城を攻めあぐねた。その隙に公孫瓚は100を選りすぐり、戦闘による被害の拡大の防止に気を取られていた劉虞に対して奇襲をかけて、火攻めを仕掛けて散々に討ち破った。

「公孫瓚が、これほど強いとは」

散々に打ち破られ、劉虞がそう思い知った時には、そして遂に敗残兵に紛れ居庸に逃げた。

しかし公孫瓚は、絶対に逃さないと執拗に追撃をしかけ、居庸を3日で陥落させると、ついに劉虞と妻子を捕らえた。薊に連れて帰られると、これまで通り劉虞に幽州の文書を処理させました。


劉虞と公孫瓚は、それぞれの不満を天子に訴えたが、使者の段訓を派遣し劉虞と公孫瓚にそれぞれ次のように告げた。

『劉虞に封邑を加増する。そして6州の職務を統括させる。公孫瓚は、前将軍に任命し、易侯に封じる。

仮節(軍令違反者を処刑できる権限)を与え、4州を統括させる』と。

つまり長安にいる天子は、『どちらか一方を罪に問うことはしない。劉虞は6州全体を統括し、公孫瓚は劉虞の下でその内の4州を統括せよ。それぞれ昇進したのだから争うな』と言う意味だった。


公孫瓚は、それでは納得せず「以前劉虞が袁紹と共に帝号を僭称した」と誣告ぶこく(事実を偽って告げること)し、段訓を脅迫して劉虞を捕らえた。多くの人民が、劉虞は倹約、質素を信条とし、冠が破れても新しい物に変えずその穴を繕って使い続けるほどで人望もあり、劉虞の助命を嘆願した。

しかし公孫瓚は、劉虞を市中に引き回しにした上に、薊は日照りが強い猛暑が続いており、「もしお前が天子となるべき人物であれば、天が風雨を起こして救ってくれるだろう」と強引な要求をした。

結局、雨が降らなかったため、劉虞と一族は処刑された。


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