第19話 粛清
「奉先(呂布の字)よ、数々の圧政、悪政を行い、民を苦しめて来た董卓の一族を根絶やしにしろ!」
「董卓の
呂布が、貂蝉の肩を抱きながら王允に訊ねた。
「奉先(呂布の字)よ。何故、おまえの軍師に敬語を使うのだ?おまえが軍師を遣いこなすのだぞ」
呂布が地面に跪き頷いた。貂蝉も同じように跪いた。
「私が、軽率でした。私が高台(陳宮の字)の意見を採用する立場でありました」
「そうだ。それでよい。董卓の持っている資産、食糧などは後で仔細を検証して、今後の事を考える。勝手な振る舞いはするな。よいな?」
「しかし、我が軍師が」
「黙れ!おまえに、高台(陳宮)を紹介したのは、この私だ。不死身の身体を得たが、ノーブレインのおまえに知恵を与えてやろうと、紹介してやったのを忘れたのか?」
王允は、そう言って、横たわり腹から油をダラダラと流している董卓の顔を蹴った。
「いえ」
「私は、これからは董卓に代わって新しい太師になる。私からの命令は絶対だ」
呂布が、周りにいた衛士の1人に「董一族を広場に連れ出し1人残らず処刑しろ!」に命令した。衛士たちが、隊列を組んで移動を始めた。それを見て王允は、満足気に頷いた。
「奉先(呂布の字)董卓が、おまえに赤兎馬と、不死身の身体を与えた。私はおまえに貂蝉と、軍師を紹介した。おまえは物で転ぶ。そして父親になる養父も、履き物を変えるように簡単に替えやがった。おまえは、信用に足るのか?今からの将来、私に疑いを抱かせるな。そして、今後もこれからも太師の私の命に対して逆らうな。わかったな」
そう高圧的に言った。
「それから董卓の死体も広場に持って行って焼いてしまえ」
そう言い残すと王允は、献帝に拝謁のために未央宮の中に入った。王允が、献帝に報告すると、「董卓が処刑された」と聞いてもんどり打ちながら喜んだ。
「やったー」
「これからは安心してください。私、王允が太師となり献帝をお守りします。今まだ状況が落ち着きませんのでのちほどお話ししましょう」
王允は、得意気にそう言って仰々しく頭を下げ中座した。
黄琬の使いの者が、王允に報告に来た。
「
「何の抵抗もなかっただろう?」
「はい。ただ大いに悲しんでおられまして」
「何故だ?」
「確かに
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