第12話 幽州 劉虞
「公台(陳宮の字)殿、我が軍師としてお迎えさせてください。是非お教えを乞いたい!」
呂布がそう言って拱手をして跪いた。
「上奏文を李儒、私でそれぞれ天子にお渡しする。献帝から、董卓懲罰の詔が発せられたら、奉先(呂布の字)がいくら近衛兵の大将軍とはいえども討たなくてはならない」
「そうです。我々は皆、天子の
そう王允の言葉を受け、陳宮が答えた。そしてさらに言葉を付け加えた。
「董卓を倒したら、献帝の親政が行われることになるでしょう」
「おおぅ」
思わず王允が、呟いた。
※
(劉虞)
劉虞は朝廷への忠誠心を明らかにすべく、田疇と鮮于銀を使者として派遣することにした。そして全ての手配を終え彼らを見送った後、部下の程緒が思わず呟いた。
「律儀ですなあ」
「袁紹が、こちらの同意もなく帝位に就くように推薦したからな。袁紹のやり方には、私は全くそんな気がないのだ。董卓に誤解されても困る。また献帝の元には、侍中として我が子劉和がいるのだ。董卓に睨まれるのもしたくない」
「なるほど。さすがは、我が君。漢王室の血を引く方として周りの諸侯にも、憧憬の眼差しを受ける方だけはあります。また厚い人望のため、攻め入られる事もない」
その言葉に劉虞は、思わずため息をついた。
「しかし、公孫瓚だけにはそれが通じない。何故なんだろう?」
「魏攸からは、異民族へ金品を贈って懐柔するように進言され実行したのに、かねてから公孫瓚は異民族を嫌っており、また私の名声が高まるのを恐れ、その金品を何度と強奪する事件が起きている。私は、公孫瓚と会見しようとしたが、公孫瓚は何かと理由をつけて会おうとしない。どういう事だ?」
そう劉虞が言って。不快な顔をした。
「公孫瓚は匹夫ゆえ、漢王室の血を引く劉虞様に歪んだ嫉妬心のような、羨望の眼差しのような物があるのでしょう。だから、血筋、家柄のいい者たちもわざわざ退け、その代わり怪しげな商人と交わり、汚職と腐敗を増大させているとのことです」
程緒の言葉に頷きながら魏攸が、こう言った。
「公孫瓚は、複雑怪奇な性格をしています。能力、義侠の精神もあり、また義のためなら自分の命も厭わない。しかし、生母の出自が低かったため見下されてた。今、劉備も身を寄せているようですが、彼は漢室の末裔でありながら筵を編んでいたような家庭でした。義侠の精神で貧しい劉備を受け入れたのでしょう。しかし、我が君に対して悪事を働く事に劉備は反対して袂を分つ事になったようです」
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