第8話 公孫瓚
「最近の袁紹の行動は、目に余る」
「また袁紹は、董卓が献帝を連れ長安に移ったのを逆にいいチャンスと捉え、襄賁侯の劉虞を王室の年長の宗室ということで、天子に擁立しようと考え、袁術に同意を求めましたところ、劉虞は献帝(劉協)の血筋よりは遠いし、董卓に牛耳られているとはいえ劉虞を担ぐ事は、却って献帝の権威を汚していることになると反対し、袁紹に対して決別宣言しました」
「袁紹と袁術との関係に亀裂が入った今、我々との関係で言えば、袁術との方が関係が深く、また父親を殺す側に回った袁紹側に絶対的に付くわけにはいかない」
そう孫策が言った。周瑜が、「うんうん」と頷いた。
「まずは、亡き父の葬儀を行う方が肝心なのだが、それよりも今、孫権がおかしいのだ」
「おかしいとは?」
周瑜が心配し、孫策の気持ちを宥めるように言った。
「孫権様は、まだ9歳。目の前で、愛するお父上を殺されたんです。精神的なショックも相当あるでしょう」
「そうなのだろう。もう異常なくらい聴覚が鋭敏になり少し大きな物音がすると、頭の中で大反響するらしいく、両耳を押さえのたうち回るようになってしまったのだ。こんな状態では、日常生活においても支障をきたして来ている。今は耳に綿を詰めて音を消している状態だ」
「わかりました。まずは江東一の医者に孫権様の状態を見てもらいましょう」
「ああっ、頼む」
孫策は、そう言ってから話を続けた。
「後で、幹部たちを集め閣議を開く。今後の事を決めよう」
周瑜は、それを聞いて頷いた。
※
(劉備)
公孫瓚の元にいた劉備は、今後の事について話し合いを持った。公孫瓚は、非常に容姿端麗で、今でいう韓流スターのような人物だった。ただ出自が、生母の身分が低かったため、出世するのには苦労していた。
「伯圭(公孫瓚の字)殿、我々に話しをする時間を作ってくださり、ありがとうございます」
「なかなか、時間が取れなくて申し訳なかった」
そう公孫瓚が椅子に座りながら頭を下げた。
「最近感じるのが、袁紹と対立し劉虞との対立も激化しているように思います」
「袁紹は、どさくさ紛れに冀州(きしゅう)を手に入れてしまった。そして今の献帝を蔑ろ(ないがし)にして劉虞を擁立しようとした」
劉備が、軽く頷きそれにこう答えた。
「劉虞は、漢王室の血筋を持つ人物。また人望も厚く、生活は質素倹約で、また諸侯の揉め事も抑えたり解決して来ました。しかし、いくら董卓が担ぎ上げたとはいえ献帝の代わりに袁紹が擁立しようとする事はおかしい」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます