第6話 上奏文
「まさか、万楽宮の中で董卓包囲網が出来るとはね」そう言って王允が笑った。
「外だけで包囲網が存在する訳ではないんだよ。内側の包囲網が見えない分、深化していくよな」
「では、そろそろ行くか?」
そう王允が言うと、3人で一斉に乗り込んだ。寝屋で貂蝉の下で喘ぎ声を上げている裸の李儒を取り囲んだ。
「何をしているんだ?文優(李儒の字)殿」
冷静に王允が訊ねた。
「はあ?」
貂蝉に上に乗られてすぐに動けない。
「この事を、呂布に言おうか?」
「お、お、おい、待て、待て」
「李儒様のが、私の中で縮んで来てます。先程の勢いはどうなったのですか?」
貂蝉が、そう冷静に言った。
「貂蝉、俺をハメたのか?!」
「呂布にも、相国(董卓の位)にもこの事を言おうか?」
「そんな事をされたら、殺されてしまう!」
「私たちの要望を聞いてくれないか?文優(李儒の字)殿」
王允は、そう覗き込みながら訊ねた。黄琬と王蓋が、李儒の片腕をそれぞれ持って布団に押さえつけた。貂蝉が、李儒の上から退いた。柔らかな乳房が揺れる。李儒は、それを見ているとまた反応しそうだった。
「な、な、何か履かせてくれ!」
真っ裸で股間を晒していられるほど、自慢出来るほどの持ち物ではない。さらにもまして他人に性交を見られるなんて恥ずかしいにも程があった。貂蝉がハサミを持って戻って来た。そして李儒の下半身にしゃがみ込むと、ハサミの刃を広げ、李儒の男性器を挟む。
「よよよ、そ、そ、それだけは、勘弁してくれ」
「では文優(李儒の字)、我々に協力しはくれまいか?」
「な、な、な、何をだ?」
「董卓を倒すには、正式な物が必要だろう?」
黄琬がそう訊ねた。
「な、な、何だ?」
「献帝に上奏文を書くのだ!」
王允が言った。
「俺がか?俺の立場で、献帝に董卓を討つべしと書けると思うか?」
「ならば、私も書こう。董卓の部下から2通の上奏文が出されたら、天子も無視出来まい」
王允の言葉に、李儒は勝算があると見た。
「何がある?」
「文優(李儒の字)殿も知っているだろう?連環の計の戦術の中身を」
「何度も何度も計略の罠を掛ける事だろう?」
李儒が答えた。
「献帝はまだ幼い。とはいえ上奏文が2つも出たら、何らかの体制が出来上がったとわかるのではないか?」
そう黄琬が言った時、李儒が得心がいった。
「ははん、なるほどな。呂布を取り込んだな?」
「文優(李儒の字)殿、これからはどうする?相国(董卓の位)につくか、我々につくか?態度を決めたらどうだ?」
王允が、覗き込みながらそう訊ねた。
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