第89話 指輪と悪役令嬢とヒロイン
「単刀直入でごめん。中間報告なんだけど、ちょっと聞いてくれるかな?」
昼の休憩中、フィエスタ魔法学園の王族専用の個室で、ウィステリアを含む友人達を呼び、気持ちにこやかに告げてみた。これは、俺が言うことに対して、何かしら中和もしくは緩和しないかなという愚策……いや、苦肉の策だ。
「……何の、中間報告なんだ? ヴァル」
「あー……うん。チェルシー・ダフニーのことで」
じっと真紅色の目で、真意を問う顔でディジェムが俺を見る。つい、彼から目を逸らしてしまった。
「……何が、あった? ヴァルに何か被害があったのか?」
心配そうに俺を見て、ディジェムが問う。その彼の言葉に、他の友人達も俺に目を向ける。
「今回は俺に被害はないよ。面倒なことになっただけだよ……」
王城の南館に共に住むハイドレンジア、ミモザ、シスル、グレイ、俺に報告をしてくれたロータスは内容を知っているので、苦い顔をしている。
ちなみに、サイプレスとシメントは南館で、今から話題として出るラスカスとクラウディと勉強中だ。
「……聞かないとマズイことなんだよな。ヴァルがそう言うってことは」
「……来年の卒業パーティーまで泳がせるつもりだけど、そこで知るよりは先に知っておいた方が衝撃は小さいと思う。今聞いても衝撃は強いのは確かだけど」
それでもまだマシだと思う。
ヘリオトロープ公爵の話によると、俺が公爵とヴァイナスに話したことを翌日、父である国王と兄である王太子に話したそうだが、頭を抱えていたらしい。
ヘリオトロープ公爵家へお泊りから一週間経ったが、俺の中にもまだ衝撃は残っている。
そのくらいの衝撃だ。
つまり、今でも後でも衝撃はある。要はどのタイミングで聞くかによって、衝撃の大小は変わる。
友人達には卒業パーティーまで寝かせるよりは早めに伝えて、協力してもらった方が俺の後ろめたさもなくなる。
「なら、今の方がマシだな。何があったんだ?」
心配そうに俺を見るディジェム達に、約八日前にロータスから聞いた、ダブ村とラスカス、クラウディの兄弟のことを話した。
「……いや、あのさ、あの困ったヤツが何かしらやらかしてそうとは少しは思ってたけどさ、これはなくないか? 人の命なんだと思ってるんだ?」
額に手を当てながら、ディジェムが盛大に溜め息を吐いた。
それは俺も思ったことで、あまり知らないがフィエスタ魔法学園で見る、あのヒロインの性格や言動を考えるに、この世界をゲームの中と思っているように感じた。卒業パーティーで失敗したら、リセットボタンと叫びそうだ。
それを言った場合、断罪後の誰もいない牢屋で、冷笑して言ってやろうと考えているあたり、俺も残酷な性格だなと思う。
『……リオンが残酷なら、他の者達はそれ以上だと我は思うがな……』
念話で紅がフォローしてくれた。身内贔屓が凄いが、相変わらず、イケメンで惚れる。
「多分、乙女ゲームのヒロインとして転生したから、ゲームの中と勘違いしてるのかもね。ゲームの中の命と思っているんだろうね。同じ世界から転生した俺達は王族、貴族として生まれたから、何かしら責任を背負うことを子供の時から自覚することが多いから、現実だと感じる機会も多いけど、平民として生まれたチェルシー・ダフニーは魅了魔法が使えたこともあって現実だと感じなかったのかもね」
チェルシー・ダフニーはダブ村の住民達の死の恐怖を目の前で見た訳ではない。
見たのは、チェルシー・ダフニーではなく、その弟のクラウディだ。義兄のラスカスが生きていて、側で庇護してくれているお陰で、彼の心は壊れずに済んだ。
死の恐怖を知らないチェルシー・ダフニーは現実と感じていないのだと思う。
「……いや、それでも、何かしら気付く要素は今まで生きていればあるだろ」
ディジェムが言うと、ウィステリアとオフェリアが何度も頷く。
「乙女ゲームの踏襲と、最後は俺との結婚でめでたしめでたしで終わるとずっと思っているのだろうし、平民の生活と比べて、豪華な生活を何の責任もなく一生出来ると思っているんだと思うよ。現実と思っていないから、気付く要素を見逃してるんだと思う。長く続いている王国とはいえ、この先何が起こるか分からないし、その豪華な生活というのも、国民のお金で成り立っているって分かってない時点で、選ばれる訳がない。それに、俺にはウィスティがいるし」
机に左手で頬杖を突き、溜め息を吐く。
「元女神にも思ったけど、チェルシー・ダフニーも何を考えているのか、頭の中身が見てみたいよね」
「……常人では理解出来ないだろうから、見ても仕方がないと思うわ」
オフェリアがぴしゃりと辛辣な言葉を言い放った。
「そうだね。それはごもっともだね……」
「あの、ヴァル様。そのダブ村で亡くなった方達はどうなったのですか?」
ウィステリアが気になっていたらしく、俺に聞く。
「場所は言えないけど、今は保存魔法で遺体を安置しているよ。セレスティアル伯爵達、宮廷魔術師師団が原因を確認してるよ。調査の結果、魅了魔法による栄養不足が原因って大体出てるんだけど、ちゃんとした明証がいるからね」
「……魅了魔法が原因って、調べたら分かるものなんだな……。凄いな、セレスティアル伯爵……」
「いやいや、何のために魅了魔法を可視化する魔導具作ったと思ってる? こういう時のためだよ。まぁ、遺体にも反応するとは思わなかったけど」
そこは嬉しい誤算と言っていいのか分からない。五十人近く亡くなってる訳だし。
「そうだな……。それにしても、本当に面倒なことになったな」
ディジェムが呟くと、他の友人達も苦い顔をしている。
「本当なら、罪を犯している訳だから、すぐにでも捕らえたいところだけど、パーシモン教団が絡んでるみたいだから、陛下とヘリオトロープ公爵からまだ泳がせておくように言われたから、皆もそのつもりでね。前にも言ったけど、出来れば、本当に近付かないで欲しいな。ただ、何かあったらすぐに報告して欲しい」
「……あの、ヴァル様。国王陛下と宰相閣下はパーシモン教団をどうなさるつもりですか?」
ヴォルテールが気になったのか、俺に聞く。
「俺も陛下やヘリオトロープ公爵に賛成なんだけど、今回のことを機に国から一掃するつもりみたいだよ」
ハーヴェストの名前を使ってやりたい放題だし、元女神が勝手にハーヴェストを騙ってやりたい放題だし。
「法務大臣である、わたくしの父も昨日から食事中等、出会う度に凄くにんまりと笑っていて、恐怖でしたので、理由を聞いても教えて下さらなかったのですが、もしかして、これが理由ですの?」
イェーナが扇で口元を隠し、少し青い顔で呟いた。自分の父がずっとにんまりと笑うと恐怖……俺の父親はともかく、子供の時から俺への態度は真面目で固いけど、柔軟な対応をしてくれるイェーナの父親のシャトルーズ侯爵がずっとにんまりと笑うイメージが思い浮かばない。
「シャトルーズ侯爵は法務大臣だし、パーシモン教団に対する各領地の領主から苦情とか、教団からの要望とか来るからね。大変だと思うよ。侯爵から言うまでは静かに見守ってあげて、イェーナ嬢」
「分かりましたわ、ヴァル様」
納得したという顔で、イェーナは頷いた。
「……話を変えますが、ヴァル殿下」
手を静かに挙げて、リリーが俺を見る。
「何だい、リリー嬢」
「……その左手の薬指の指輪は、ウィステリア様が着けていらっしゃる指輪とお揃いの指輪ですよね?」
リリーの言葉に、ミモザ含む女性陣とヴォルテールが俺とウィステリアの指輪に目を向けた。
「そうだね。婚約指輪だよ」
照れないようにさらりと返してみると、ウィステリアが真っ赤になって、両頬に手を当てた。本当に可愛いなぁ。
「やっぱり! 僕も気になってたんです! 見たところ、ヴァル様のような気もしますが、デザインはヴァル様ですか?!」
綺麗なもの、可愛いものが好きなヴォルテールが目を輝かせて、女性陣の代わりに俺に質問する。
「そうだよ。婚約指輪は俺が要望をたくさん出しちゃったから、結婚指輪はウィスティに任せる予定だよ」
聞かれる前に先に答えると、女性陣がまじまじと俺とウィステリアの指輪を見つめる。
「でも、何故、今、婚約指輪なの?」
オフェリアが隣に座るウィステリアの指輪を見つめながら、俺に問う。
「四歳の頃から婚約してるけど、流石に四歳で婚約指輪は早いからねぇ……。建前は去年、成人したし、未だに側室だとか愛人だとかうるさい貴族がいるから、婚約指輪で黙らせようかと思って」
「本音は?」
目をキランと光らせて、オフェリアが俺を見る。
「ウィスティは俺のだよっていう、印? 独占欲?」
にっこりと笑顔で告げると、オフェリアが大きく頷いた。
「流石、ヴァル君ね。さらりと本音も言ってくれるから安心したわ」
「態度も言葉も示さないと、本当に理解してくれない連中がいるからね」
「そうね。その指輪の効果で、他の貴族の生徒達が近付けなかったようだもの」
「近付く? 何で?」
「あと一年半で卒業だから、滅多に会えなくなる王族のヴァル君とお近付きになりたい人達が男女問わずにいるのよ。あわよくば、ウィスティちゃんに代わって、婚約者になろうと考えているのもいるみたいだし。今までは礼服とドレスでしかお互いの色を着けてなかったようだから、そういう時だけの仲って勘違いしているのもいたみたいだけど、それからの婚約指輪でしょ? 良い牽制になったみたいよ」
「それ、他の年代の貴族ならともかく、同年代の生徒達の話だよね? 普段の俺の動きを見てたら分からないかな。常にウィスティが隣にいるのに」
眉を寄せると、オフェリアが苦笑する。
「そういう者達は、ヴァル様しか見ておりませんもの。隣のウィスティ様もですが、わたくし達がいることも気付かずに近付こうとして、ヴォルテール様が魔法で牽制してますわ」
「そうか。ヴォルテール、程々にね」
「え、本気は駄目ですか? 毎回、鬱陶しいと思ってたのですが」
「……君の本気を止められるのは男性陣だと多分、俺とディル、アルパイン、グレイ、アッシュくらいだよ」
「アルパイン様も止められますの? ヴォルテール様の本気の魔法」
イェーナが驚いた顔で、隣に座るアルパインを見上げる。
「あ、俺は剣で……。ヴァル様は剣も魔法もどちらでも止められる」
「剣ですの?!」
「シュヴァインフルト伯爵直伝のだよね」
「え、それってさ、剣で魔法を叩き斬るみたいなヤツ?」
「そうそう。六歳の時に、シュヴァインフルト伯爵がセレスティアル伯爵の魔法を剣で斬ったのを見て、物理でいけることに驚いたよ」
ふんって言いながら、セレスティアル伯爵の魔法を物理で斬ったシュヴァインフルト伯爵を思い出しながら、頷く。
「……どうなってんだよ、シュヴァインフルトの一派……」
「いや、俺はクラウ・ソラスとフラガラッハがあるから出来るのであって、普通の鋼の剣で出来るのはアルパイン達、シュヴァインフルト伯爵一家だからね」
ディジェムが額に手を当てながら呟くのを聞いて、俺は慌てて訂正する。
俺をあの、剣の師匠一族と一緒にしないで欲しい。剣に関しては、シュヴァインフルト伯爵一家は俺や他の者達より遥かに上だ。
「ヴァル様も出来ると思いますけどね。父上が試したがってましたよ」
「……シュヴァインフルト伯爵には今の話をしないようにね、アルパイン」
「話は戻しますが、ヴァル殿下。その婚約指輪、どちらでお買い求めましたか? リリーとシスル様の婚約指輪を兄同伴で伺いたいのですが……」
話が終わったことで、ピオニーがじっと俺を見る。
「王都の有名なアクセサリー屋だよ。システィーン伯爵家の次女が店主のお店で、誂え品でお願いしたんだ」
「――ご紹介頂いても?」
キラリと目を光らせて、ロータスが言い、ピオニーは俺を尚も見る。
「ちょっ、ロータス?!」
シスルが慌てた様子で、ロータスに近付く。
「構わないよ。紹介状、書こうか?」
笑顔で告げると、ロータスとピオニーは笑った。流石、兄妹。そっくりだ。
「……ヴァル、俺にも……」
「あ、俺もお願いします……」
「ヴァル様、僕もお願いしますっ!」
婚約者がいるディジェム、アルパイン、ヴォルテールが手を挙げた。
とりあえず、俺は四通の紹介状を書くことになった。
そして、数日後、レネットから御礼の手紙と、何故か俺とウィステリアに婚約指輪に合わせられるようなデザインのお揃いのイヤリングをプレゼントされた。
昼休憩中にダブ村のことやラスカスとクラウディのことを友人達に話し、授業が始まる十分前に俺達はスピネルクラスに戻った。シスルとロータスは三年のオパールクラスに戻った。
そのスピネルクラスで、ちょっと面倒臭いことが起きた。
スピネルクラスに入ろうとした途端、面倒なことがやって来た。
「どうして……」
呟きにしては大きな声で、俺達……というより俺とウィステリアに向かって言った。
無視して、中に入りたいけど、駄目かな……。
「どうして……」
同じことしか言わないので、無視して中に入ろうか。
「……ヴァル。どうする? 無視するか?」
ディジェムが眉を寄せて不快そうに、俺に聞く。
「ここ、廊下なんだよね……。とりあえず、防音の結界を張ろうか……」
溜め息混じりに、こっそり周囲に防音の結界を張る。
その間に、ウィステリアの周囲をオフェリア、イェーナ、ピオニー、リリーが守るように固める。
「ヴァーミリオン王子! どうしてですか?!」
チェルシー・ダフニーが震えた声で叫んだ。
防音の結界を張ってて良かった。張らなかったら、他のクラスの生徒も来るところだった。
「……どうしてとは? 何が言いたい?」
先程とは打って変わって無表情にして、チェルシー・ダフニーに問い返す。
「その指輪は何ですか?!」
チェルシー・ダフニーの言葉に、友人達が眉を寄せた。
「何とは……婚約指輪だが?」
思わず、見て分からない? とまで言いそうになったが、煽ると面倒臭いので言わずに留めた。
「どうして、あたしがもらうはずの婚約指輪を、悪役令嬢に渡してるの?!」
は? こいつ何言ってるの? 何で、こいつに渡すことになってるんだ?
内心で眉を寄せて、実際は表情を変えずに、チェルシー・ダフニーを見る。
あちらはあちらで、納得がいかないと言いたげな顔だ。
納得も何も、渡すと話した覚えも、むしろほとんど親交がないだろうと言いたい。そもそも、何でそれをもらえると思っているのかが分からない。
「婚約者だから婚約指輪を渡すのは当然だろう?
それに、悪役令嬢とは何が言いたい? 第二王子である私の婚約者のことを言っているのか?」
冷たく睨むと、チェルシー・ダフニーが小さく悲鳴を上げる。
「だ、だって……悪役令嬢は悪役令嬢だし、ヴァーミリオン王子は聖女のあたしと結婚するって神官さまも女神様も言ってるもの! だから、その指輪はあたしがもらうのも当然でしょ!」
その言葉に、俺の周囲の空気が冷たくなる。
一応、まだ俺も冷静なので、この前のように神だけが持つ属性の滅は出していない。ただ、俺を含めた友人達も怒りで魔力が少し漏れている。
「……そもそもの話、私はほとんど会話をしたこともない女を婚約者にすると言った覚えはない。四歳の時からヘリオトロープ公爵令嬢が私の婚約者だ。それに、聖女とは誰のことを言っている? アクア王国はともかく、この国、カーディナル王国には現在、聖女はいない。国も王家も認定していない。希少な聖属性を持っているから聖女と言うのであれば、この国中の聖属性持ち全員となるが? 神官ということはパーシモン教団がそのように言っているのか? 王家には全くそのような話は来ていないが、問い合わせてもいいのか? 女神様というのは誰のことを言っている? 名は何だ?」
答えは知っているけど、敢えて質問攻めにすると、チェルシー・ダフニーは慌て始めた。
後ろで小声で、ディジェムが「ヴァル、エグい。容赦がない」と呟いている。これでもまだ序の口だと言うと、げっそりとした顔をするんだろうな。
「あ、あの、だって、神官さまが……」
「その“神官さま”の名は何だ? その神官に問い質せばいいのか? お前も神官も、勝手に私と結婚する、ヘリオトロープ公爵令嬢が悪役令嬢だと言いふらしているのなら、詐欺罪と不敬罪を適用して捕らえるが、それを理解した上で言っているのか?」
泳がせないといけないから、今は捕らえないが一応、脅しておく。多分、今から逃げると思うし。
「い、いえっ、そんなつもりはないですっ! あの、用事を思い出したので……!」
全く謝ることもなく、チェルシー・ダフニーは踵を返して、廊下をドスドスと凄い音を立てて走っていった。
「……あいつ、マジで凄いな。謝らずに逃げる上に、足音もあんな音、前世でも聞いたことがないぞ」
「それよりも、ヴァル様がやっぱり怖かったです。質問、全部答えを知っていて聞いてますよね……」
アッシュが青い顔で息を吐いた。去年の一回目の模擬戦がトラウマになっているようだ。あの時は、その後のことを考えていなかったので、凄く申し訳ない。
「そうだね。神官の名前も知ってるね」
「ヴァル様の追及が容赦なくて、俺は清々しました。もっとお願いします」
グレイがにこにことこの場の雰囲気に合わない、良い笑顔で言う。
「そりゃあね、大切な婚約者に渡した、誂え品の一点物の婚約指輪を自分がもらうはずだったと言われたら頭に来るし、勝手に魔に堕ちた元女神と下っ端の神官が言ったから俺と結婚出来ると言われたら、俺だって怒るよ。枢機卿でも怒るけど。俺にも結婚相手を選ぶ権利はある」
「仰る通りですわ。言葉が悪いですが、あんなのをヴァル様がもし選んだら、わたくし、気でも触れましたの?! と叫んで、不敬承知でヴァル様を引っ叩いておりますわ」
「イェーナ様、それはやめて下さい……」
扇を広げ、イェーナが言うと、ウィステリアが落ち着かせるように呟いた。
「イェーナ嬢。それは万が一、億が一にもないから。俺がウィスティ以外を選ぶ訳がない」
「それもそうですわね。ヴァル様、婚約されてからずっと一途にウィスティ様ですものね。同じ女性として、羨ましいですわ」
「一途なのはアルパインも同じだと思うけどね」
ぼそりと呟くと、アルパインが何度も頷き、イェーナが顔を赤くした。
それをウィステリアがくすりと笑い、ヴォルテールはニヤニヤと笑った。ミモザに似てきたな、ヴォルテール。
「とりあえず、教室に入ろうか。また絡まれても嫌だし」
「そうだな。無表情のヴァルは本当に怖いから、とっとと入ろう」
俺の言葉に同意して、ディジェム達は教室へと入った。
俺も防音の結界を解いて、中に入った。
俺に言い負かされて逃げたチェルシー・ダフニーは午後の授業に参加することはなく、それからは特にトラブルもなく一日が終わった。
そして、次の休みに待ちに待った、月白と映像を残す魔導具作りが始まる。
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