一章 花が咲く
「お、白百ちゃん。今日いくら積んでくれんの?」
そう私の腰を抱き、右手を太ももに添えて聞いてくる。
はじめは気持ち悪いと思っていたこの行動。
今となっては愛情表現だと認識して心がとても満たされる。
「今日は〜、100万いっちゃう!」
私はできるだけ猫をかぶっていった。
「えぇ!いつも思うんだけど俺にそんな大金毎回使っていいの?」
満面の笑み。お金が積まれた嬉しさを隠しきれていない笑顔で彼は聞いてきた。それにたいして私は「うん!」と大きく頷いた。そしたら彼は嬉しそうに「白百ちゃんこんな俺のためにありがとう。俺本気で好きになっちゃいそう。」と言葉に出してリップサービスをした。
だか、それでいい。私はこの言葉を言われるだけために
通っては最低80万以上はNo.1の人に積む。幸い、私の両親はそれなりに稼いでいる。いわゆるお金持ちとやらなのでお金の心配はしていない。なので私は愛情表現をしてもらうためだけにお金を積む。そして相手は喜んで愛を囁く。win-winの関係を私たちは築き上げている。
心のどこかに穴が空いている気がしたのは無視するように酒を口にした。
いつもこんな感じだ。
これでいいんだ、これで。
「おえぇっ…」
私は酒を飲みすぎた数分前の自分を恨みながら帰っている途中だ。
気持ち悪い。吐きそう。
夜の街はどこを見渡していても彩りどりのライトが光っており、人も多い。流石都会って感じである。
しかし今はその人の足音、声、店の明かり全てが今の私の気を悪くさせる。
私は吐く前に急いで暗くて人気のない道に出た。そして出た瞬間その場にうずくまってしまった。頭がほわほわする。まともに立てない。どうしよう。
「あははは!なんだよそれー!!」
遠くから数人の男性の騒がしい声が聞こえてくる。やばい、このまま見つかったら何されるかわからない。なぜならここは夜の街。自分の欲を満たす場所だ。なおかつ、私の周りには誰もいない。あぁ、どうしよ。誰か、お願い助けて。
私は俯いたまま、涙目になりながらそう願い続けた。
「あの、大丈夫ですか?」
上から聞こえたのは男声の声ではなく、少し大人っぽい女性の声だった。
見上げれば、黒髪のロングでスーツ姿の女性が立って心配した顔をしていた。私は、どうにかこうにか喋ろうとしたが、気持ち悪くて上手く言葉が出ない。そんな時、彼女は私の様子をみて察したのか「少し、休憩できる場所を探しましょう。立たますか?」と
聞かれて、小さく頷いた。その時___「あれぇ?そこのお姉さんたち〜!かわいいねぇ!」
運悪く、さっきの騒いでた声の主であろう男性三人組が声をかけてきた。
「暇だったら一緒にホテルでもいかない?ホテル代もタクシー代も出すからさ!」と下心丸出しの状態で言ってきた。
私がここにうずくまらなかったらこの人を巻き込まなかったのに…!!
と、後悔したとき。
ゴリッ!!!
鈍い音が暗闇の中に響いた。
「……は?」
その場にいた男は開いた口も塞がんないでその光景を目にした。
無理もない。
今この、女の人が男の一人を足で思いっきりアッパーしたのだ。
「てめぇ…!」
ようやく現状を理解したのか、数秒たってから男はそんなことを言いながら女性に飛びかかった。
女性は眉間にシワが寄っており、怖がっている素振りは一切ない。なんなら面倒臭そうにため息をつきながら、男の攻撃を軽々と避けた。相手は飛びかかった勢いでバランスを崩し、地面に倒れた。
酒臭かったことから酔っ払って上手くバランスを取ることができなかったのだろう。とうずくまりながら呑気にそんなことを考えた。そしてもう一人の男性はやばいっと察したのか、地面に倒れた男の肩を支え、アッパーされた男を「大丈夫かっ…」といい立たせて
「おま…!覚えてろよ!」
とありきたりな捨て台詞を吐いて、暗闇の中に足を運んで消えていった…。
この人は何者だ…??
「あなたは…一体…?だ、れ…」
今、その疑問を彼女に問おうとしたとき…
私は目の前が真っ暗になった。
あなたという名の麻薬に きつねこ @yuzuremon1017
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。あなたという名の麻薬にの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
頭おかしい現役JKの日記。/そらちゃ。
★64 エッセイ・ノンフィクション 連載中 210話
狂愛/アーミリィ
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 14話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます