【37】地獄系珍体験超新星爆発
他人の告白を目撃するという珍体験に私は超新星爆発に巻き込まれてしまったのかと錯覚しました。顔が熱いし歯は浮き浮きです。
公開告白というだけでも見ているこちらが恥ずかしくなるのに、内容もストレートな俺様系。私がこんな仕打ちを受けたら、生涯布団の中で悶える夜を過ごすでしょう。
被害者であるアネキさんは顔を真っ赤にして「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」と悲鳴に似た声を上げて走り去りました。これから告白の返事をするのでしょう。
それを見て私は自分の顔が一層火照ったのを感じました。このままでは全身に熱が回ってロブスターになってしまいます。
手で扇ぎ顔の熱を冷まそうとする私に、咲沙さんは耳を疑うようなことを言いました。
「……ちょっと羨ましいかもしんない」
「へ?」
恥ずかしそうに頬を掻いていますが、満更でないのは目の輝きから真実だと分かりました。
嘘でしょう、まさか私がマイノリティ? 現状では一対一、味方を増やすべく梶来さんに目を向けると、しゃがみ込んで頭を抱えておりました。
「最悪に最悪が重なった……姉貴の恋愛見せつけられるとか地獄だろ」
「ま、まあまあ。元気出してください」
悲哀の漏出具合が尋常でなく、私は当り障りのないことしか言えませんでした。
パンダさんはどちらサイドに立つつもりか尋ねようとした折、再び言葉が降ってきました。
「ちくしょー! 俺も梶来のこと好きだったぜ! 幸せにな!」
更に続いて流し込まれる感情の数々。冷めてきた顔がまたもや熱くなってきました。
文化祭は私でも楽しめるものでしたが、こういうのは勘弁してほしいものです。
一度この場を離れようかと思案する私でしたが、知っている声が落ちてきたのを境に企むのを止めました。
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