第6話 緊張と安心
マリーは緊張で心臓が爆発しそうになっていた。初めて見る男性の体、自分より年下で可愛いと感じていたネイサンの体が実は筋肉質だったことにドキドキした。
ネイサンに胸を触られてマリーは思わず声を出してしまった。初めての経験だったがネイサンに触れられることは全然嫌ではなかった。自分もネイサンにもっと触れたいとすら思っていた。
(ネイサンが私の初めての人で良かった)
マリーは心からそう感じていた。
二人の距離がなくなるとお互いの心臓の鼓動が感じられ、マリーは緊張と安心が合わさった不思議な気分になった。
◇◇◇
朝になってマリーが目を覚ますと、ネイサンが既に起きていてマリーのことを見つめていた。
「おはよう。ずっと起きていたの?」
マリーは急いで乱れた服と前髪を直した。
「おはようマリー。起きたのはさっきだよ。マリーの寝顔が可愛いから思わず見とれてたんだ」
マリーは「もうっ」といいながらネイサンを軽く叩いた。ネイサンはその反応を見てたまらなくなった。そしてマリーに思わず抱きついた。
「マリー、キス……していい?」
ネイサンは頬を赤らめながらマリーに聞いた。
「わざわざ聞かないでよ」
そういうとマリーは目をつぶった。ネイサンは優しくマリーにキスをした。
「マリー、僕はこれから少し用事があるんだ。後でまた会えないかな?」
「いいけど。用事ってなに?」
「それは後で話すよ。お店が開店する前にここにまた戻ってくるから待っていてくれる?」
「わかった! マチルダさんの仕込みの手伝いでもして待ってるよ」
ネイサンは軽く部屋を片付けた後、店を後にした。
◇◇◇
それから数時間が経ち、マチルダが店に来た時にマリーは店内を掃除していた。
「なんだいマリー、あんた帰らなかったのかい?」
「うん。後でネイサンとここで待ち合わせしてるしマチルダさんのお手伝いしようと思って」
「そうかい。ネイサンとお祭り見てまわるのかい? 上手くいってるみたいで良かったよ。二人はお似合いだと私は思ってるんだ。でもあんたたち昨日変なことしなかっただろうね?」
「するわけないじゃない!」
マリーは思わず否定してしまった。人様の家での情事に罪悪感もあったのだ。
「それはそうだろうね。ネイサンにはそんな度胸はなさそうだ」
マチルダはそう言って大笑いした。
◇◇◇
マリーとマチルダが仕込みをしていると、店のドアが勢いよく開いた。ドアから憲兵が二人、店の中に入ってきた。
「えっと……憲兵様がこんな寂れた店になんの用でしょうか?」
マチルダは不安そうな顔をしている。
「殿下、お入りください」
「みんな大げさなんだよ。一人で入れるのに……」
憲兵に誘導されて一人の青年が店に入ってきた。
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