第29話 それぞれの死闘 ①
何度か罠を駆使して、《天駆ける竜星》を叩き付けオーク変異種の数を減らしていった。
「《アサシンスクライド》!!」
「《竜突》!!」
「《断罪》!!」
3人が素早く弱った変異種を仕留めていった。『封影の鎖』を展開して拘束、この鎖からは簡単には抜けられない。それに合わせて、ストレージからミスリル製の鎖を取り出し《栄光》を纏わせる。鎖は白く輝き出し変異種を鎖で弾き飛ばし絡める。
《栄光》は呪剣や闇系との相性が悪い。逆に効果を下げる結果となった。だから、バラゴスにはミスリル製の鎖を造ってもらっていた。
スキル『指揮』のレベルが爆上がりだよ。この乱戦は仲間との連携が重要、周囲の敵を察知して指示を飛ばす。『指揮』の効果で正確に3人に指揮が伝わる。日が経つごとに連携は研ぎ澄まされ、敵ばかりの戦場で俺達は輝きを放つ。
ナイトメアデーモンの加勢にエクストラスキル『夢界の番鬼と竜』で創り出した〈夢鬼〉と〈夢竜〉を送り出した。
◆エクストラスキル『夢界の番鬼と竜』 ランクEX
能力1 夢の空間に干渉する
能力2 〈夢鬼〉を創造し育成する
能力3 〈夢竜〉を創造し育成する
※夢の空間でしか存在できないが、夢の空間内ではステータスに補正がかかる
◇小鬼と幼竜サイズだが、ナイトメアデーモンと連携を組んでオーク変異種を仕留めている。どうやら、魔物を倒す事で成長するようだ。
既に《要塞》は崩れ意味をなさない。寧ろ良く今まで持ってくれたと思う。数日もの間、戦い続け極限状態が続いていた。そうして、ようやく…
ドスン! ドスン! ドスン!
「3体は任せて良いか?」
一番後方には、10mを優に超える魔物。ここからでも分かる…コイツが元凶だと。そいつを守るように佇む3体の魔物。オーク変異種とは、比べものにならない程の魔力を秘めていた。
「問題御座いません! キョウスケ様の邪魔はさせません!!」
「主、任せるのじゃ! そのかわり負けるでないぞ!!」
「こちらの事はお任せを! 必ず仕留めてみせます!!」
頼もしい返事が帰ってきた。今回の戦いは、レベルや技術面だけでは無く、精神面でも大きく成長していた。それに大量の経験値を得てアイリスは進化に至った。
「おう! 任せろ!! 終わったら宴会だ!!」
「「「はっ!!」」」
ドガン!!
『!!?』
10mを超える巨体が宙を舞う。
恭介は《覇竜闘鬼》を纏い10mを越えるオーク変異種のボスを殴って吹き飛ばした。その拳からは黒鬼にトドメを刺した時に見られた黒龍が現れていた。レベルが上がったのも大きいが、一番大きいのはアークライトの力を引き継いだ事だ。今回のオーク変異種の大軍との戦いはアークライトの力が俺に馴染むのに良い機会となった。
竜鬼法を気兼ね無く連発できたのが大きいかも知れない。
黒龍は巨体な魔物の腹部に喰らいつき吹き飛ばした。あの巨体で暴れられたら周囲を巻き込むからな。
直ぐにアイリスが行動に移して、次に強い魔物のターゲットを取った。少し出遅れた感じで、バラゴスとデザイアも相手を見つけそれぞれの戦いが始まった。
<デザイア>
ガンガンガン!!
ーー残念ですが技量はあなたの方が上のようですね。私は全身鎧に身を包んだオーク変異種と相対していた。私と同様に盾と槍を装備しているオークです。力は拮抗しているようですが、他はのき並み向こうが上という状況。部が悪い相手ですね。
次第に地力の差が浮き彫りになり、追い詰められていく。鎧は所々が砕け、息も絶え絶えになっていく。今は長時間の発動は出来ませんが、あのオークを倒すのであれば出し惜しみは出来ませんね。
「貴方がどれだけ強かろうと、私は負けられないのです! 主様との約束は絶対に守ります!!」
[ナイトメア]
オーク変異種をナイトメアに引きずり込む。それと同じくして私の怪我がみるみる治っていく。
ここは悪夢の世界。私の創造が形になる世界。あなたに取って悪夢となるでしょう。
槍で突き身体を抉る。再生を阻害しているのにも関わらずオークはゆっくりだが再生している。
「流石に抵抗力は他のオークとは比べられない程に高いですね。ですが、再生速度は遅らせられています。削り切ります!」
再度、武器と武器が激しくぶつかり合う。オークも負けじと応戦するが、結果は先程と逆でオークは追い詰められている。それだけデザイアの絶対有利空間が仕事をしている。
ただし、デザイアも余裕がある訳ではない。ナイトメアを維持するには魔力が消費し続けるからだ。時間はそんなに残されていない。
「格上との戦いはこうまで大変なのですね。その代わり見返りは多いですね。でも、そろそろ時間ですね。」
[ナイトメアロード]
デザイアは正直この能力を使うつもりは無かった。使わなくても勝てると思っていたからだ。だが、倒しきる前に魔力が尽きる可能性が高くなった。恭介様に任された私に敗北は許されない。
私はナイトメアの王である。悪夢空間が解除され悪夢空間の全てを私が吸収する。
《現実の世界に悪夢の王が降臨した》
ナイトメアから解放されたはずのオークだが、再生速度が速まる事は無かった。
《悪夢の王の権謀》
悪夢の根源であり、悪夢を支配者が降臨した地は悪夢と現実の狭間の世界となる。
デザイアの姿が変貌する。
綺麗だった白い髪と角が漆黒に染まり、身体も成長して大人の姿へと変わった。ボロボロだった鎧は悪夢空間を吸収して禍々しい漆黒の鎧となり、紅い瞳が一際強調された。
「これで終わりです。[
ナイトメア内で受けたダメージを相手に反す。槍にエネルギーが充填されて、槍から黒いレーザーが発射されオークは呑み込まれ跡形も無く消し飛んだ。
【ーーオークキング変異種を討伐しました。】
【デザイアのレベルが50になりました。デザイアの種族『羊獣人種』が成長限界に達しました。進化が可能になりました。職業『悪夢騎士』のレベルが3へ上がりました。スキル『黒夢羊』を習得しました。】
デザイアは限界を迎えて、その場に膝をつき体力の回復に集中した。
<バラゴス>
近くで見ると余計にデカく感じるわい。巨大なオーク変異種、巨大な斧と盾を構えて儂を見下ろす。隙が無いわい。
「《ロックバースト》!!」
『ブモッ!』
バゴン!!
岩石魔法のレベルが4に上がって、《土属性強化》が付いた岩石魔法の威力は強力じゃ。しかし、目の前の魔物は盾で軽くいなしてしまう。これは何度撃っても意味は無いかのう。
「[ロックキャッスル]!」
バゴン!
「隙ありじゃ! [断罪] [旋竜斧]!!」
ズガン! ボトン…
『ブモオオォォォ!!!!』
ズガガガガン!! ドン!
「グファッ!」
《ロックキャッスル》が破られることは分かっておった。だから、砕かれた瞬間に岩に隠れて死角から今放てる最高の一撃を叩きこむまでは良かった。まさか、あそこから腕一本犠牲にして反撃するとは敵ながら天晴れじゃな。
たった一撃でここまで吹き飛ばされる…『岩石剛腕』が間に合わなかったら終わっておった。そうこうしている内に相手は『超速再生』で元通りになっておるし・・・これは参ったのう。
儂が鍛えた盾に『岩石の盾』を発動させた。儂が出来る最高の防御でもある。相手の猛攻を防ぎ続けるが、このままでは流石にもたん!
これはしょうがないのう。
「初披露じゃ!」
[部分召喚]
ズドン!!
『ブヒィ!!』
巨大な拳がオークに叩き込まれる。
ユニークスキル『
タイタニアの攻撃に合わせて儂も攻撃を加える。再生能力は厄介だが削れているのは確かじゃ。
ここで畳み掛けようかのう!
[完全召喚-武装〈
ミスリル鉱石と魔鉄鉱石を合成した合金で儂が造ったタイタニア用の武装である。タイタニア専用の特大な斧に魔力を纏う。
まだまだお粗末だが[魔装]を展開する。タイタニアは学習能力があり、儂とリンクして情報を獲得して成長する。ようするに儂の成長に合わせてタイタニアも成長する。
タイタニアの完全召喚に加わえ、巨大な斧に[魔装]を施しているので魔力がガンガン減っている。次の一撃で終わらせないと不味いのう。
「これで終わりじゃ! [地竜牙]!!」
バラゴスが地面に斧を振り下ろす。オークが立っている場所の地面が割れて、地面が竜の牙のように鋭くなりオークに襲いかかる。オークは咄嗟に持っていた斧で防ぐがバラゴスの狙い通りだった。
「タイタニア、今じゃ!!」
〈ウオオオォォーーーーー!!!!〉
ズガガガーーーーン!!!!!
タイタニアが放ったのは斧技[断罪]だった。巨体から繰り出される武技の威力に流石のオークも跡形も無く消えていた。地面すらえぐれ底が目視できないほどの深い亀裂を作りだしていた。
【ーーオークキング変異種を討伐しました。】
【バラゴスのレベルが50になりました。バラゴスの種族『ドワーフ種』が成長限界に達しました。進化が可能です。職業『巌窟士』のレベルが4へ上がりました。スキル『岩石硬化』を習得しました。】
バラゴスはタイタニアを召喚したことで、魔力が底をつきその場で休息を余儀なくされた。
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