第28話 竜星
異様な魔物に暫し全員の動きが止まる。
ジュッ!
生えた蛇のような物の口から液体がこぼれ落ち、触れた地面を溶かした。
どうやらあの液体には《腐食》効果があるようだ。
「その液体には触れないように注意してくれ! 《腐食》効果があるようだから武器にも注意な。気をつけてくれ。」
そして、戦闘が再開される。
確かにオークと比べると全体的にステータスは高いようだ。後はあの《腐食》を吐き出す、蛇のような腕が厄介と言ったところだろう。戦闘を観察しながら『羅刹眼』で魔物の状態を看破していく…
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鑑定結果
種族 『オーク変異種』
レベル 46
ランク 『D』
体力 2730/2730 魔力 1500/1500
攻撃力『D』 耐 久『D』 俊 敏『E』 器 用『G』 知 力『G』
スキル 『超速再生』『腐食』『怪力』『殴打』
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バグっていたステータスが次第に読み取れるようになっていた。もしかしたら『羅刹眼』の鑑定の効果が上がってきてるのかもな?
色々と試している内に戦闘も終盤に入っていた。時間がかかっているが苦戦はしていない。攻撃の威力は高いけど、動きは単調で《腐食》に注意していれば危険は差ほど感じ無い。時間がかかっているのは『超速再生』のせいと弱点の調査の為かな? 『超速再生』も万能では無く、魔力の消費も激しいので攻撃を与え続ければ再生能力は落ちる。
アイリスがオーク変異種の魔核を貫き討伐を終えた。どうやら魔核を破壊すると『超速再生』でも再生は流石に無理のようだ。ただし、魔核を破壊するにはそれ相応の攻撃が必要。ある程度ダメージを与えると耐久値が下がり、攻撃が通り安くなるみたいだな。
「みんな、お疲れ。どうだった?」
「『超速再生』は厄介ですが、魔核を狙えば良いので次は問題ありません。」
「そうじゃのう。ちょいと硬いが問題ないじゃろう。」
「そうですね。次はこの槍で貫いて終わりです。」
それぞれが手ごたえを覚えたようだ。それからもオーク変異種は奥へ進むほど数を増やしいった。それに比例してか、オークの数が激減しているのだが、何か異変が起きているのは間違いないようだ。
数日間オーク変異種を狩り続け、みんなのレベルもドンドン上がっていく。森の中で宝箱を見つけるのは至難の技だと思うよ。だけど、その分良い物が多く入手できた。
・中級ポーションセット
・ミスリル 500キログラム
・天空の弓(国宝級)
・幸運のネックレス(国宝級)
・火の弓(特別級)
・暗視ゴーグル(特別級)
・ブルーオパール(国宝級)
・魔法のテント<小>(特別級)
・スキルの書-風魔法
・願望の羅針盤(伝説級)
隠された洞窟の奥にあった<金の宝箱>から、入手した〈願望の羅針盤〉は凄い魔導具だった。何と探したい物へと導いてくれるのだ。俺はすかさず<ダンジョンの出口>をお願いした。指示した方向は森の奥へと指していた。行先はあっていたようで良かった…
他にも〈天空の弓〉は遠距離に補正がかかり、〈火の弓〉は火の矢を撃ち出せる。〈幸運のネックレス〉は運を上げ、〈暗視ゴーグル〉は暗闇でもハッキリ見える。〈魔法のテント<小>〉は、テントの中が六畳一間の部屋になっていた。便利だと思うけど俺達はエンダールと行き来できるから使う予定は今のところ無い。
『ブオオオオオオオオォォォォォォォーーーーー!!!!』
ゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾクゾク…………
何だ!?? 危機感知が盛大に反応する。
「ーーマジかよ…」
「キョウスケ様、如何なさいましたか!?」
他の面々も心配そうにこちらを伺ってくる。
「オーク変異種の大軍が此方に向かって来ている。数はざっと数えて5千はいるみたいだ。」
「5千じゃと!?」
「その上、飛びっきり強い反応が一番奥から感じられる。その強さはブラックゴブリンエンペラーを上回っている感じだな。」
「「「・・・・・・」」」
流石に5千は多すぎだろ!! どうする?
「罠をはろう。奴らがここまで来るには時間がかかる。侵攻速度を考えると、ざっと3日といったところだろう。エンダールで準備するから、1カ月は猶予がある。スキル『トラップツール』のレベル上げと、各自戦いの準備を整えよう。それと必要なら宝箱で入手したミスリルは全部使ってしまおう。」
オーク変異種の数をどう減らすか…あの『超速再生』持ちをどう対処するか…1カ月間考えに考え抜き試行錯誤して戦に挑む。間違い無く死闘になるだろう…だが、誰も死なせない!! 俺の全てをかけてでもな!!
◆◇◆◇◆◇
「さあ! 始めようか!」
ズシン!
ストレージからエンダールで造り出した《要塞》を取り出した。
「〈蜘蛛の巣〉〈落とし穴>」
魔力でゴリ押しして広範囲に蜘蛛の巣と落とし穴を設置した。そんなに長くは持たないが、多くのオーク変異種は蜘蛛の巣に絡められ、穴に落ちていく。そして、穴に向けて…
「フゥ~…竜星よ・輝き輝け・滅びは始まり・終焉の赤星が今落ちん《天翔ける竜星》!!」
チュドーン! チュドーン! チュドーン! チュドーン!!!!
竜星が戦場に降り注ぐ。余波は周囲を呑み込み消滅させる。
【恭介のレベルが上がりました。】
【恭介のレベルが上がりました。】
【恭介のレベルが上がりました。】
【恭介のレベルが上がりました。】…………
レベルアップが鳴りやまない。それに流石に無理をしすぎた。一発でも結構疲れるのに連発したしな。でも、これで大分数は減ったはず。
「アイリス、バラゴス、デザイア。少し休む。暫くの間任せるよ。」
俺は目を瞑り回復に専念した。
・・・・・・
任されたアイリス達の行動は速かった。傷を負い、再生中のオーク変異種達の核を砕き素早く屠っていく。時間をかければ、復活する者も増えてくるからだ。『影移動』を駆使して、戦場を駆け回り狩っていく。一撃必殺で魔核を破壊して次々に数を減らしていった。
バラゴスもミスリルと魔物の素材を使い、新たな斧を完成させていた。《呪剣》のレシピを参考にして造り出した斧。デザイアの槍の改良した経験を活かし造り出した斧はオーク変異種をも粉砕する。
デザイアはナイトメアを発動して、重傷を負ったオーク変異種を次々で引きずり込み屠って行く。オーク変異種も夢の空間では再生が封じられナイトメアデーモンの数に圧されて消えていく。引きずり込まれたオーク変異種が夢の世界から出ることは無かった。
「主が大分減らしたと思ったが、まだまだおるのう…」
「まだ始まったばかりです。キョウスケ様が回復なさるまで減らせるだけ減らしましょう。無理そうでしたら要塞へ避難して下さい。」
「いえいえ、主様が復活したら私の取り分が減ってしまいます。今は多くのオークを倒してレベルを上げます。早く強くなる方法は死闘だと主様はおっしゃっておりましたからね。」
「そうじゃわい! まだまだ行けるわい!!」
3人の獅子奮迅の働きで、オーク変異種の数を減らすがまだまだ数は多い。
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