第21話 初めての死闘



核を握り潰されたゴブリンクイーンはそのまま消えていった。そして、その場に佇む異様な鬼が一体だけが残った。鑑定…


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鑑定結果 『$#%ク&ゴブリン%?ペラ&』

レベル 5%

ランク 『A$』


エクストラスキル

『黒□呪%Lv.〇』


スキル

『$剣術Lv.△』『怪#Lv.5』『狂$Lv.4』『鬼#▲配Lv.7』

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初めて鑑定が上手く発動出来なかった。鑑定結果がバグって見える。


レベルは50台でエクストラスキル持ち。


これおかしくないか? あきらかに難易度が変わり過ぎだろ!! 一気にランクAの魔物が出て来るって異常過ぎだろ?


ーー戻るか? 嫌、駄目だ! 俺が倒したゴブリンキングや上位種達は俺が取り込んだのは間違いない。と言う事は力を完全に取り込めていないはず。それに奴は生まれたて、時間がこの先に奴に味方する可能性もある。奴はここで仕留めなければ俺は詰むかも知れない。ダンジョンからの脱出が不可能になってしまう。ここは分岐点だ。エンダールがあるから生活するには問題無い…だけど、元の世界には帰れなくなる…


ーーそれだけは、絶対に諦めきれない!!


「良いよ! やってやる!!」


ニヤァ…


ゾクゾクゾク…


ガン! ドン! グファッ!


鬼は一瞬で接近して、俺の腹に蹴りを叩き込んだ。俺が気づいた時には壁に叩きつけられた後だった。


その鬼は俺より小柄な黒い鬼だった。ただ内包された呪力はゴブリンキングを遥かに凌ぐ。


体力 16100/18500


ーー痛い…戦闘でダメージを負うのは久しぶりだな。全身を覆っていた《覇闘鬼》を貫き、ここまでのダメージを負わせる相手…間違いなく格上だ。


[自動超回復]が発動して、[無限の可能性]の《物理耐性》が向上するのがわかる。今の装備ではこの鬼との戦闘には耐えられ無い。武器をストレージにしまった。鬼との戦いは熾烈を極めた。[覇闘鬼]の出力を上げても鬼の身体には傷一つつけることは出来なかった。最大に引き上げた[覇闘法 ]をから繰り出す攻撃もダメージが通らない。そのせいか、全く避けようとしない相手にイラッとする。


折角、バラゴスに造ってもらった防具はボロボロになり、意味をなさなくなる。それに奴はまだ本気を出していない。そう…俺は遊ばれている。生まれたての子供がおもちゃを与えられた時のようにね。


不滅王の肉体アウローラ』の[自動超回復]と[無限の可能性]のお陰で戦えているが正直このままだと勝て無い。確かにこの戦いで《物理耐性》《状態異常耐性》の効果が上がっているのは認めよう。だが、効果が上がるより黒鬼の成長が早いのだ。俺が今も戦えているのは、ただたんにコイツが遊んでいるからだ。


多分だけど『覇王のカリスマ』がコイツに影響を与えている気がする。


リスクはあるが『不滅王の肉体アウローラ』を信じるしかないか。


覇王の力の解放


今まで危険故に《覇》は申し訳け程度の力しか使ってこなかった。それを解放する。


ブシュッ!


血が吹き出る。身体が耐えきれ無いと悲鳴をあげる。激痛が身体を巡るが止められない。その間も黒鬼による攻撃が続き体力も危険な水域まで来ていた。それでも《覇》の解放は止めない。


【ーーユニークスキル『不滅王の肉体アウローラ』が〈激痛耐性〉を獲得しました。】


少し楽になった。だが現状は最悪のままだ。《覇》は今も俺の身体を内側から破壊し続けている。


【ーー職業『覇王』のレベルが3へ上がりました。スキル『覇眼』を習得しました。スキル『覇眼』がスキル『鑑定』を取込みエクストラスキル『羅刹眼』へ進化しました。】


GUAAA!!?


眼が熱い!! 今にも燃え上がるほど熱くなり続ける!


【ーーユニークスキル『不滅王の肉体アウローラ』の[自動超回復]が[超速再生]へ進化しました。】


次第に眼の熱さはひいていき視力も戻って来た。そして自身の変化に驚いた。俺の眼は見え過ぎていた。それで理解した。エクストラスキル『破滅の王』での攻撃が効かなかったのか。


この眼で見ると黒鬼は黒い濃密な呪力に覆われ守らていた。破壊の因子はこの呪力に阻まれていたのだ。破壊の因子で呪力を破壊しても直ぐに元に戻る。あの膨大な呪力だと幾ら破壊しても無意味だろう。


でも、やることは決まった。あの黒い呪力を貫ける攻撃を与えること。それがコイツに勝てる唯一の方法である。俺向きの相手だな。


まだ足りない・・・


《覇》を更に高めていく。俺の中で破壊と再生が繰り返される。《覇》による破壊とユニークスキルによる《再生》が攻めぎ合う。俺の中で《覇》の力が変わったような気がした。


ぐううう・・・


『ギャガガガ♪』


ーー嬉しそうだな! ここまで来てようやく鬼から膨大な鬼力が溢れ出す。どうやらここからが本番らしい。


・・・・・・



ここまで力を使ったのは初めてかも知れない。奴の体力はようやく1割くらい減らせたくらいだ。俺は体力も魔力も大分減って底が見えてきた。ただ不思議な事に今までに無い爽快感に包まれていた。


力がより身近に感じる。いままでも上手く扱えていたと思ったけど、まだまだだったんだな。『羅刹眼』の効果か、今では《魔力》《闘力》《竜力》《呪力》がハッキリと視覚出来る。・・・ハハッ! 世界が変わってみえる。


それにしても、ここまで無理をしてようやく戦いのステージに上がってこれたって感じだな。どんだけ強いんだよ!


《覇闘鬼》と《破壊の因子》を合わせてようやく本体まで攻撃が届いた。だがそれは相手にとって重傷を負わせるものでは無く軽傷そのものであった。激しい攻防の末に体力の1割をもぎ取った。普通にエクストラスキル『羅刹眼』が無ければ死んでたな。


[超速再生]で体力、魔力、スタミナ、呪力は回復し続けているが、スタミナが地味に身体に効いて来る。このままだと戦闘の繊細さに欠いてしまう。


勝つ為にはどうするべきか?


『思考加速』と『高速演算』を駆使して答えを探す。


やっぱりこれしかないか。


考え抜いて出した答えは《竜鬼》の力の完全解放することだった。アイリス達はゲートでいつでもエンダールに避難できる状態だ。鬼神の呪いが悪さしても被害を受けるのはコイツだけだ。それならやるしか無いだろう。


《人化解除》


鬼神の呪いが発動するが狂う程では無い。


「『不滅王の肉体アウローラ』、『無限竜の胃袋ウロボロス』、期待しているぞ!」


【竜鬼魂装】


何も気にせず【竜鬼魂装】を全力で解放する。


GURUAraaaaaaaa!!!!!!


強烈な狂喜が俺を黒く塗り潰す。口からは今まで出したことの無い咆哮がダンジョンを揺らす。


憎い、憎い、憎い、憎い、殺す、殺す、殺す、殺す!!


感情が荒ぶり自制がきかなくなる。状態異常耐性と精神強化を持ってしても抑えられない呪い。何もかもを壊したくなってくる!


悪い感情が俺を支配していくなか、ふとアイリスと目があった気がした。その瞬間、黒く塗り潰されていた心に光が宿った。


【ーーユニークスキル『不滅王の肉体アウローラ』の[無限の可能性]が[無限の超成長]へ進化しました。〈物理耐性〉が〈物理超耐性〉へ、〈魔法耐性〉が〈魔法超耐性〉へ、〈状態異常耐性〉が〈状態異常超耐性〉へ、〈精神強化〉が〈精神超強化〉へ、〈激痛耐性〉が〈激痛超耐性〉へ、〈人化〉が〈部分人化〉へ、〈肉体超化〉が〈肉体超越化〉へ進化しました。】


【ーー『無限竜の胃袋ウロボロス』が鬼神の呪いに喰らいつきました。ウロボロスの許容量を越えました。ウロボロスは膨大な呪いをエネルギーに変換して自身の強化を行います。成功しました。ウロボロスの胃袋に〈奈落〉が生まれました。】


確実に鬼神の呪いが弱まった。


チャンスとばかりに力を解き放った。その瞬間、俺の意識はプツリと途切れてしまった。

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