第20話 ゴブリンの巣
『ギャガギャガギャギャギャ!!!!』
「うわぁぁぁ…一体何体居るんだよ!」
「軽く…千は超えておるのう…」
「奥に強い反応がありますね。」
前来た時はここまで数は多く無かった。それに奥から漂ってくる気配にさっきから悪寒が…
いくら確認しても《ゴブリンキング》と《ゴブリンクイーン》以上に強い反応は見つからない。気のせいなのか?
「アイリス。バラゴス。まずは数を減らそう。こんなに多いんじゃ、キングまで辿りつけない」
「了解じゃ! 《お前らは儂が相手じゃ!》」
「わかりました! 《影移動》」
バラゴスはすかさず《挑発》魔物を挑発してターゲットをとる。アイリスも開始と同時に影の中に消えていった。俺は弓を装備して、ゴブリンに向けて射続ける。
矢はゴブリンの頭に吸い込まれるように突き刺さり絶命させていく。『真武術』に進化して精度が高まり命中率が上がっている。
「《ロックキャッスル》!! 今じゃ! アイリス!!」
「《シャドウスピア》!!」
グサッグサッグサッグサッグサッグサッ!!
バラゴスが発動した岩窟魔法ロックキャッスルでゴブリンを囲い閉じ込め、アイリスの
何、バラゴスはって? バラゴスは鍛冶と酒造りで手がいっぱいで魔法まで手が回っていない。というか、既存の魔法だけで十分問題無い。強くなる方法は人それぞれだからね。バラゴスは武器の強化の方が合っていると俺も思う。誰もがアイリスのように出来るわけではないからね。
奥に進むに連れて、ゴブリンのレベルも高くなっていく。それに上位種も増えて来ているようだ。武器を剣に代えて上位種を中心に刈っていく。
・・・・・・
暫くゴブリンの数を減らす事に集中してたんだけど…
「減った気がしないな…」
「そうですね…」
「ちょっと待て! スキル『眷属召喚』だと?」
まさか!? 召喚しているのか?
ゴブリンキングを遠目にだが、確認出来たので『鑑定』を発動したところ、ゴブリンキングのスキル欄にスキル『眷属召喚』があるのを確認した。そして、ゴブリンキングの周囲に魔法陣が浮かび上がり、そこから数体のゴブリンが這い出てくるのを確認した。これは作戦を変える必要があるな。
「ゴブリンキングがゴブリンを召喚している。それもコスパが良いのか魔力はそれ程減っていない。このままだとジリ貧だな。アイリス。バラゴス。俺はこのままゴブリンキングを相手にする。召喚はもうさせないから、数を減らしてくれ!」
「お気を付け下さい!」
「一気に減らしてやるわい!」
ーー頼もしい。俺は『隠密』を発動した。一直線にゴブリンキングに向けて走り出す。ゴブリンキングは5mを優に超える巨体な鬼で正直怖い。武器も巨大な剣を構えているしね。
キン キンキン キィーーン!!
剣の衝撃を剣で反らし、剣の連撃でゴブリンキングに召喚する隙を与えない。ゴブリンキングの剣術スキルのレベルは高く『真武術』を習得する前であれば苦戦を強いられただろう。身体能力も今まで出てきた魔物の中では一番高いのは間違い無い。
《身体超化》
覇魔を循環させて身体を強化させる。身体が紅に輝き初め身体能力を数倍に引き上げる。
GUA!?
ゴブリンキングの大剣を斬り上げて大剣を力で押し上げた。力に自信があったのか、力で負けた事に驚いていた。俺はその隙を見逃すわけが無く、ゴブリンキングを剣で斬り裂いた。剣はゴブリンキングを深く斬り裂き留めの為に剣を振り上げたタイミングでゴブリンの上位種がゴブリンキングの盾となり間に入る。
混戦になって来たので『気配察知』と『危機感知』を併用して、周りのゴブリンを減らしながらゴブリンキングを追い詰めていく。
・・・・・・
目に見えてゴブリンの数が減り始めている。ただ、俺は気づいていなかった。徐々に『危機感知』が大きく反応していることに…
ゴブリンキングの傷の治りが遅くなってきているな。ゴブリンキングの体力も3割を切り、魔力も残り少ない。アイリス達も順調にゴブリンの数を減らしていた。順調だな。
うん? 何だ??
呪力の流れか…これ?
アイリスとバラゴスが倒したゴブリンたちから、呪力が何処かに流れている? 俺が倒したゴブリンは『
嫌な予感がする……流れていく呪力を感覚で追っていく…おい…まさかだよな? ゴブリンキングより大きくて、何ていうか動けない感じのゴブリンクイーンを後回しにしていた。お前…そんなに腹大きかったけ? 呪力が全て腹に集まってないか? 気のせいだよな?
『ギャラア!!』
ドン!!
俺がゴブリンクイーンを見て茫然としていると、ゴブリンキングがクイーンを守るように大剣を振り降ろした。
「ゴブリンが減るまでの時間稼ぎのつもりが、まさかゴブリンを倒されることが前提とか考えていなかったよ! 力尽くでもお前からを倒しておくべきだったよ!」
俺は力押しの戦いを好まない。なので危険な場合以外は極力しない。ただ、今回は少し後悔している。
「悪いな! お前に時間をかけていられなくなった。《覇闘鬼》!!」
黒いオーラを身に纏う。そのまま黒いオーラを剣に伸ばしていく。
ピキ…
「やはりもたないか。 沈め《メガスラッシュ》!!」
シュッ! パキン!!
【 ー ゴブリンキングを討伐しました。『
俺に必要の無いスキルはエネルギーに変換して取り込んだ。
ゴブリンキングは片から斜めに深く斬られて地面に倒れ伏す。剣は折れ地面に転がった。壊れた剣を放って俺はゴブリンキングの脇をすり抜けゴブリンクイーンに向けて移動…
『ギャギャギャアアアアアアアアアアアアアー!!!!!!』
グシャッ!
ーー遅かったか…ゴブリンクイーンの絶叫とともにゴブリンクイーンの腹部から黒い腕が突き出された。
ゾワゾワゾワゾワゾワゾワゾワゾワゾワゾワゾワゾワ…
ビィービィービィービィービィービィービィービィー
始まる前に微かに感じた悪寒が強まる。『危機感知』も今まで聞いた事の無いような音をあげている。
「キョウスケ様!」
「主!」
二人もこの気配に気づき、心配そうに近寄ってくる。どうやらゴブリンの殲滅は終えたようだ。
「二人は下がってくれ! あれは二人には厳しい。いつでもエンダールに撤退出来るように準備してくれ。俺は奴の相手をする。勝てなくても、一度戦って情報が欲しい。」
「・・・大丈夫なのでしょうか?」
「大丈夫・・・とは言え無いけど、出来れば成長する前に倒しておきたい。」
「主の判断に任せる。ただし、主が危険な場合は儂らの命をかけて、主だけは撤退させる。これだけは絶対譲れん!」
「ええ、命に代えてお守り致します」
二人の真剣な顔に根負けする。どうやっても勝たないといけないようだ。
ゴブリンクイーンの腹から二本目の腕が突き出され、その手にはゴブリンクイーンの魔石が握られていた。
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