第2話 初めての戦い
おっ…思い出した!!
そうだ俺は地割れに落ちたんだった!!
それにしても俺…よく死ななかったな。普通はあんな地割れに落ちたらまず助からないだろう? 思い出したけど……状況はわかったけど? ここ何処だよ??
地割れに落ちたのは間違い無い…と思う。でも、こんな洞窟が山道の地下にあるものか? 自然に出来たとしては大きいし造りがしっかりしている。いくら考えても答えは出ないか……
はぁ~先に進むしかないよな? だって...後ろは行き止まりだしね。
薄暗い洞窟の中を慎重に奥へと向かって歩きだした。
◇◆◇◆
「ーーって言うか! 一体何処まで続いているんだよ!!」
どれだけの時間歩いただろう? つい大声で叫んでしまった。だっていくら歩いても終わりが見えないのだ。分岐も無いし、進んでいるのは間違い無いはず……鞄に入った食料も心許ない。気持ちが焦る。そんな時、洞窟の奥から音が聞こえた。
ズズ ズズゥ… ズズ…
何だこの音? 地を何かが引きずるような…
ズズゥ… ズズ…
やっぱり聞こえる。それに何だか音が近づいて来ている気がする。俺は隠れる場所が無いか周囲を伺うが、俺が進んで来た道は一本道隠れる場所など無い。俺は意を決して慎重に音が聞こえた場所へと歩きだす。
!!?
どうなっているんだ!? こんな生物…ゲームやアニメでしか見た事ないぞ!? そこにいたのは直径30cm位の動く丸いゼリーだった。そう……スライムだと思う?? 俺の住んでいた世界には存在しなかったはず……もしかして俺が知らないだけで居たのかも知れないが一般的では無いのは間違い無い。
「俺は一体何処にいるんだ?」
もしかして小説とかで良くある異世界転移だったりして?? まさかな・・・でも、そうなら俺は帰れ無いのか・・・嫌、まだ決まったわけじゃない。
スライムは道の真ん中に陣どっていた。先に進むにはスライムの横を通るしかない。行くしか無いよな。見た感じ動きは遅そうだから行けるはずだよな? 俺は恐る恐るスライムの側面からゆっくり通り抜ける事にした。
そ~と、そ~と、音を出さずに…コトン…
足元にあった小石に気づかずに蹴ってしまった。俺は錆びた機械のような動きで恐る恐るスライムの方に振りかえると目があった気がした。スライムには目は無いけどね。でもその瞬間、スライムの身体が鞭のようにしなり、俺目掛けて打ちつけられた。
バチン! ビシッ!!
「痛ってぇーー!!」
スライムの鞭が俺の右腕に叩き付けられた。その動きは俺の目で辛うじて見えるくらいの速さだった。骨折はしていないが、腕は痺れ、大きなミミズ腫れがその威力をものがったていた。スライムって最弱じゃ無かったっけ??
「クソー! あのスライム襲ってきたぞ!」
スライムはピョンピョンとリズミカルに弾みながらこちらを伺っている。あの野郎~完全に俺を馬鹿にしてやがる。あのニヤケタ顔…クソ~絶対に仕返ししてやる! スライムに顔は無いが、雰囲気で何となくそんな感じに見えた。俺はスライムに向けて走りだした。
シュッ シュッ シュッ
ビシッ! ビシッ! ビシッ!
「痛い!痛い!痛い! 目で何となく追えるけど、回避するなんて無理だ! それに攻撃が変則過ぎてガードもままならないわ!」
スライムは体の一部を鞭状に変えて攻撃してくる。その鞭は意外と早く鋭い。俺はそれを腕でガードして時にまともに受けながらスライムへと一歩また一歩と近づいていく。
ビシ ビシ ビシ ビシ ビシ ビシ
打ち付けられる鞭の嵐に全身打撲で身体中が痛い。でも、その回あってスライムに攻撃が届く位置まで来ることが出来た。
「これで終わりだ! 今までの分をまとめて返してやるわ! オラオラオラオラ…」
打つべし! 打つべし! 打つべし!
ポヨン ポヨン ポヨン
「バカなぁ…効いていないだと??」
俺の渾身の拳をあれだけ受けて無傷だと…嫌、俺は全然本気じゃ無いし笑っているのも今のうちだからな!
恭介は気付いていなかった。スライムが打撃に強い魔物と言うことに
ーー体中が痛い。あのスライム強すぎじゃないか? 俺の攻撃が全然効いて無い…ただ分かった事もある。スライムの体内に漂うあの石のような物だ。俺の攻撃を一切避けないスライムだけど、あの体内の石だけは打撃が届かない場所に移動させるんだよな。多分だけど弱点なのではと考えている。
このままではジリ貧だな。ここは一発賭けにでるしか無いよな。
「オオオォォォ――――!!!!」
ドン!!
スライムの攻撃に打たれながらもスライムに体当たりして、スライムを壁に押さえつける。スライムの中の石を確認する。
「わかってるよ! お前をこれで倒せるとは思っていない。だけど、これならどうかな? オリャアァ―!!」
さっき回収していた拳大の石を手に取り、スライムの石に向けて振り下ろす。何度も何度も叩きつける。
ピキッ!
スライムの石に罅がはいった。けど、まだ終わらない。よりスライムの攻撃が苛烈になっていく。あばらが何本かやられた…このまま離れたら勝ち目が無くなる。
「いい加減に倒れろぉぉ―――!!!!」
最後の力を振り絞りながら無心で石を叩きつける。そして…
【ーースライムを討伐しました。】
【ーー立花恭介のレベルが1へ上がりました。】
【ーー条件を満たしました。職業が解放されました。職業に就く事が可能になりました。】
【ーー世界で初めて魔物の討伐を確認致しました。称号『(初)魔物を討伐せし者』を獲得しました。】
【ーー世界で初めてのレベルアップを確認致しました。称号『(初)レベルアップを獲得せし者』を獲得しました。】
【ーー世界で初めての職業解放を確認致しました。称号『(初)職業を解放せし者』を獲得しました。】
頭の中で声が鳴り響く。周囲を確認するが誰もおらず少し怖くなる。たしか、レベルが上がったとか? 何かを獲得したとか言っていたな…まるでゲームの内容だ、もしかしてステータスとか確認出来たりしてね……
ブゥーン!
えっ!? 本当に確認出来たよ!!
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