ダンジョンから生還したら最強でした!あとはのんびりスローライフとはいきませんでした・・・

@DAISHI0526

1章 ダンジョン攻略

第1話 プロローグ

俺は立花恭介たちばなきょうすけ22歳独身のブラックな会社に勤めている。高校卒業後、色々あって親元を離れて小さなアパートで一人暮らしをしていて、勿論彼女も居ない。そもそも仕事が忙しくつくる暇も無い・・それは言い訳けかな?


何処にでも居る普通の一般人だったはず何だけどな? あんな事に巻き込まれなければ、こんなあり来たりな日常がずっと続いていたのだろうか?


変わり果てた世界で、俺は一人過去に思いをよせる。何も無い日常がつまらない日々がどれだけ幸せだったのかと静かに呟いた。



◇◆◇◆


俺は薄暗い世界で目を覚ました。寝た状態で周囲を見渡す。わかっている事は冷たく硬い岩の上で寝ていること、それと・・・


「身体が痛い・・・」


そう身体が痛い事だ。身体が痛いのを我慢して身体を起こし立ち上がる。


薄暗くて見えずらいが、俺はどうやら洞窟のような場所に居るようだ。不思議な事に照明は無いが、岩壁その物が淡い光を灯しているようだった。俺の後ろは岩壁で行き止まりで、前方には道が続いている。前に進むしか無いようだ。


状況をある程度把握出来たからか、俺が何故このような場所で寝ていたのか思い出して来た。たしか・・・



◇◆◇◆



俺が高校3年生になった時期に両親から告げられた真実に俺は落ち込んでしまった。俺はどうやら両親の本当の子供では無かったらしい。その真実に子供だった俺は大学進学を止めて就職を選択した。


それから俺は家族を避けるようになった。大好きな家族との間にありもしない壁を俺自身が造ったことで。


両親は何も変わっていなかった。変わらず俺を本当の子供のように接してくれた。ただ俺が子供だっただけなんだ。


それに気づいたのが最近だったんだよな。ブラック会社に勤め、社会の荒波に揉まれ、沢山の人と出会い俺は大人になった。このままでは駄目だよな。



「お~い! キョウスケ君。今週中にこの資料まとめておいてくれ。」


「はい! やっておきます。」


「キョウスケ君。こっちもお願いね。」


「了解です!」


いつものように仕事を押し付けられる日々。いつもの事なので気にはしないけど、いつになったらあの人達は自分でやるのだろうか? いつも仕事を横にふるだけで余り仕事をしない上司達。思っていても言えないのが世知辛い。


「先輩。今日も仕事を押しつけられたんすか?」


「ハハハ…いつも通りだよ。」


「先輩は断らないっすからね。上の人達も頼みやすいようですよ?」


「それは断らないじゃなくて、断ないだからな!」


1年後輩の工藤クドウ勝也カツヤ、1年前から俺が教育係になって面倒みている後輩だ。俺がこんなだから、いつも俺のとばっちりを受けて迷惑をかけてしまっている。


「俺はもう少しやっていくから勝也は先に帰ってくれ。」


「手伝うっすよ?」


「別に気にしなくていいぞ? いつも遅くまで手伝ってもらっているからな。」


「いいんすよ。二人でちゃちゃっと終わらせましょう。」


「ハハハ、助かるよ……」


いつもこんな感じで最後まで手伝ってくれるのだ。全く出来た後輩だよ。


「そう言えば先輩? 今週土日に珍しく休みをとってるすよね? さてはデートすか!? 受付の明美さんと仲が良いと社内で噂になっていましたが、ついにっすか!」


「違うからな! それに明美さんとは何にもないよ。変な噂は辞めてくれ。明美さんに迷惑がかかるだろ!」


三浦ミウラ明美アケミは、恭介が務める会社の受付嬢である。美人で社内で一番人気のある子だったりする。俺と彼女の接点は、お客様の対応で何度か話した事がある程度なのだが? 何でそんな噂がたってるのだか??


「え~!? 絶対に明美さんは先輩に気がありますよ。」


「それはどう考えても無い。」


「そうですかね? 先輩と話している時の明美さん、他の人の時と対応が全然違いますよ?」


「そんなわけあるか! 同じだよ、お・な・じ」


あんな美人な人が俺なんかに気がある訳ないだろう。そう思っていいると次の話題に話が進んだ。


「わかりましたよ。それで何で休みなんすか?」


「あぁ~ ちょっと家族旅行の下見に行こうと思ってね。」


「家族旅行ですか?」


「笑うなよ。今度のゴールデンウィークに家族旅行を計画してるんだが、その場所を選びに行こうと思ってね。」


家族には前もって提案しており了承を貰っている。連絡した時は義母さんが泣いてしまった。ハァ~自分が嫌になる。


「フフフ 先輩は彼女より家族ですか? 先輩らしいですね。」


「いいだろ! 大切な家族なんだよ!! それに俺には彼女は居ない!」


「……その家族が羨ましいすね。」


そう言えばコイツも家族と上手くいっていないと言っていたな。俺も一緒だけど、俺の場合は全面的に俺が悪いからな。この数年で色々な人と出会い、話を聞き、俺がどれだけ恵まれていたのかも良くわかった。


「いいから、さっさと終わらせるぞ!」


少し暗くなった空気を誤魔化し、今日も夜遅くまで仕事は続いた。




ーー昨日までに仕事は全て終わらせた。あの後も、いくつか仕事を頼まれたが何とか終わらせる事ができた。


今日は前々から予定していた通りに、車で候補地へ向かいます。俺は愛車にのってドライブに合う音楽を軽快にかけ、歌を口ずさみながら車を走らせる。


3年……家族の下を離れて、俺が心の整理にかかった時間でもある。例え血が繋がっていなかろうと関係無い。ただ……それだけのことなのに3年もかかってしまった。


昨日は現地に到着した後に旅館に一泊し温泉で日頃の疲れを癒した。料理は産地の食材をふんだんに使った料理が並び、美味しい食事を満喫した。そして俺は朝から山に登っている。山と言っても観光スポットにもなっている場所で子供でも簡単に登る事ができる場所なのだが……


「ハァ…ハァ…ハァ… もう少しで山頂だ!」


子供でも簡単に登れると書いてあったけど……結構辛い。日頃の運動不足を実感してしまう。だけどここは景色もいい、空気も旨い! みんなにもここへ来てもらいたいと本当にそう思った。ここで決まりかな? あ~あ、早くみんなに逢いたいな......


グラ グラ グラ グラ グラ グラ


「結構大きな地震だな……??」


グラグラバキバキバキバキ ズズゥーーーズン!!


「えっ?!!」


地面が割れた!? 


あっ!? やべっ!!


俺は成すすべなく地面の中に吸い込まれ意識を手放した。


【ーーこの世界でダンジョンへのファーストコンタクトを確認致しました。】


【ーー世界で初めてダンジョンへの侵入を確認しました。称号『(初)ダンジョンに挑戦せし者』を獲得致しました。】


【ーー称号『(初)ダンジョンに挑戦せし者』の効果が発動しました。スキル『鑑定』『マップ』『アイテムボックス』を習得致しました。】


ーー意識が遠のく瞬間に頭に響く声が聞こえた気がした。

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