ダンジョンから生還したら最強でした!あとはのんびりスローライフとはいきませんでした・・・
@DAISHI0526
1章 ダンジョン攻略
第1話 プロローグ
――2025年、世界は変革の時を迎えた。そう……世界各地にダンジョンが発生したのだ。ダンジョンには魔物という恐ろしい存在が蔓延っており、定期的にダンジョンが崩壊して世界中に魔物が溢れた。そんな魔物に対して人間は無力だった。だが、不思議な事に人間の中にも不思議な力に目覚める者が現れ始めた。そんな者達が魔物の脅威から人々を守る為に《冒険者》という職業が出来たのも当たり前と言えるだろう。始めは人々を守る為に出来た《冒険者》だったが、次第にその在り方が変わっていき、ダンジョンから豊富に取れる資源や宝箱から取れる高価な品に目的が変わっていった。そんな事もあり、ダンジョンは国から保護されるようになった。そしてダンジョンの攻略を国から禁止されることになる。
攻略とはダンジョンボスを討伐してダンジョンコアを停止させることをいうらしい。
ただ人々はまだ知らなかった。その行いが人類を滅ぼしうることに……
俺は規定の依頼を終えて、ようやく目標のランクCへとランクアップする事ができた。
「立花恭介様、おめでとうございます。冒険者ランクCへランクアップです。」
「ありがとうございます。え~と、冒険者ランクCからクラン申請って出来ますよね?」
「はい。クランを造られるのですか?」
「ええ。お願いします。」
「わかりました。クラン名とクランハウスの登録が必要ですが大丈夫でしょうか?」
「大丈夫です。クラン名は《リヴァイブ》、クランハウスは《リヴァイブアース本社》の住所でお願いします。」
「えっ!? リヴァイブアース本社ですか!?」
「ええ、そうです。許可はもらっています。これです。」
取り出した紙には、リヴァイブアース本社の使用許可書と書かれており、クランハウス《リヴァイブ》のハウスとして使用を許可する旨が書かれていた。
「……問題は無いようですね。問題無く申請が受理されました! それでメンバーの募集は致しますか?」
ざわざわざわ…
「おい! 今日何か可笑しく無いか?」
「ああ…何で今日は、こんなに高ランク冒険者が多いんだよ!」
「わかんねぇーよ! それも大手クランからの誘いを断っている奴らばかりじゃねーかよ!」
冒険者組合-東北営業所は、今日はいつもと違っていた。何と日本でも数少ない高ランク冒険者が冒険者組合に勢ぞろいしていたのだ。
コツコツコツコツ…
「兄さん。登録は無事に終わりましたか?」
「ああ、遅くなって悪かったな。みんなも待たせてすまなかった。」
「しょうがないですよ。それより私達もクランに加入しますね。」
「えっ!?」
驚愕するような受付嬢の声が冒険者組合に響いた。
次々に高ランク冒険者が今出来たばかりのクランに加入していったのだ。この事は世界中の大手クランや各国の首脳陣から注目を浴びたらしい。
ーーそして話は世界が変革する3年前に遡る……
「身体が痛い……一体何が起こった?」
目を覚ますと一人で薄暗い洞窟のようなところで寝ていた。周りは石の壁に囲まれ、自然に出来たトンネルのような場所だった。不思議な事に壁がほんのりと光を放っており、周囲を伺える程度には明るかった。次第に気持ちが落ち着いて来たのか、気を失う前の事を徐々に思い出してきた。確か……
自身の進路に悩んでいた時期に両親から告げられた真実に正直落ち込んでしまった。俺はどうやら両親の本当の子供では無いらしい。その真実に俺は落ち込み、その結果が家族から離れるといった決断だった。
俺は当時を振り返り酷く後悔した。俺は家族が大好きだった。それは今も何も変わらない。義父の
俺の本当の両親は俺が3歳の時に交通事故で亡くなったと言う。俺は母親が命をかけて庇ってくれたお陰で俺は今ここに居る。義父と義母は生前は両親と仲が良く、両親が亡くなった時に親族が俺の事で揉めている姿を見て引き取る決意したと言っていた。俺はその時の事を全く覚えていない。
道理で妹達と似ても似つかないわけだよ! 俺には二人の義妹が居る。長女の
まぁ……こんな事があったからか、俺は大学を卒業すると同時に家を出て、青森県にある中小企業に就職したんだ。出ていく時に華蓮には泣かれたけど、一度離れて気持ちの整理をしたかった俺は後ろ髪を惹かれながらも家族の下を離れた。
「お~い! キョウスケ君。今週中にこの資料まとめておいてくれ。」
「はい! やっておきます。」
「キョウスケ君。こっちもお願いね。」
「了解です!」
いつものように仕事を押し付けられる日々。いつもの事なので気にはしないけど、いつになったらあの人達は自分でやるのだろうか? いつも仕事を横にふるだけで余り仕事をしない上司達。思っていても言えないのが世知辛い。
「立花先輩。今日も仕事を押しつけられたんすか?」
「ハハハ…いつも通りだよ。」
「先輩は断らないっすからね。上の人達も頼みやすいようですよ?」
「それは断らないじゃなくて、断れないだからな!」
1年後輩の
「俺はもう少しやっていくから勝也は先に帰ってくれ。」
「手伝うっすよ。」
「気にしなくていいぞ? いつも遅くまで手伝ってもらっているからな。」
「いいんすよ。二人でちゃちゃっと終わらせましょう。」
「ハハハ、助かるよ……」
いつもこんな感じで最後まで手伝ってくれるのだ。全く出来た後輩だよ。
「そう言えば先輩? 今週土曜日に珍しく休みをとってるすよね? さてはデートすか!? 受付の明美さんと仲が良いと社内で噂になっていましたが、ついにっすか!?」
「違うからな! それに明美さんとは何にもないよ。変な噂は辞めてくれ。明美さんに迷惑がかかるだろ!」
「え~!? 絶対に明美さんは先輩に気がありますよ。」
「それはどう考えても無い。」
「そうですかね? 先輩と話している時の明美さん、他の人の時と対応が全然違いますよ?」
「そんなわけあるか! 同じだよ、お・な・じ」
あんな美人な人が俺なんかに気がある訳ないだろう。そう思っていいると次の話題に話が進んだ。
「わかりましたよ。それで何で休みなんすか?」
「あぁ~ ちょっと家族旅行の下見に行こうと思ってね。」
「家族旅行ですか?」
「笑うなよ。今度のゴールデンウィークに家族旅行を計画してるんだが、その場所を選びに行こうと思ってね。」
「フフフ 先輩は彼女より家族ですか? 先輩らしいですね。」
「いいだろ! 大切な家族なんだよ!! それに俺には彼女は居ない!」
「……その家族が羨ましいすね。」
そう言えばコイツ、家族と上手くいっていないと言っていたな。俺も一緒だけど、俺の場合は全面的に俺が悪いからな。この数年で色々な人と出会い、話を聞き、俺がどれだけ恵まれていたのかも良くわかった。そう…俺は大人になったんだと実感した。
「いいから、さっさと終わらせるぞ!」
少し暗くなった空気を誤魔化し、今日も夜遅くまで仕事は続いた。
ーー昨日までに仕事は全て終わらせた。あの後も、いくつか仕事を頼まれたが何とか終わらせる事ができた。
今日は前々から予定していた通りに、車で候補地へ向かいます。俺は愛車にのって、ドライブに合う音楽を軽快にかけ、歌を口ずさみながら車を走らせる。
3年……家族の下を離れて、俺が心の整理にかかった時間でもある。例え血が繋がっていなかろうと関係無い。ただ……それだけのことなのに3年もかかってしまった。勿論、本当の両親の事も忘れたりはしないよ。記憶は残っていないけど、俺の大切な家族だから…
ーー昨日は現地に到着した後に旅館に一泊し温泉で日頃の疲れを癒した。料理は産地の食材をふんだんに使った料理が並び、美味しい食事を満喫した。そして俺は朝から山に登っている。山と言っても観光スポットにもなっている場所で子供でも簡単に登る事ができる場所なのだが……
「ハァ…ハァ…ハァ… もう少しで山頂だ!」
子供でも簡単に登れると書いてあったけど……結構辛い。日頃の運動不足を実感してしまう。だけどここは景色もいい、空気も旨い! みんなにもここへ来てもらいたいと本当にそう思った。ここで決まりかな? あ~あ、早くみんなに逢いたいな......
グラ グラ グラ グラ グラ グラ
「結構大きな地震だな……??」
グラグラバキバキバキバキ ズズゥーーーズン!!
「えっ?!!」
地面が割れた!?
あっ!? やべっ!!
俺は成すすべなく地面の中に吸い込まれ意識を手放した。
【ーーこの世界でダンジョンへのファーストコンタクトを確認致しました。】
【ーー世界で初めてダンジョンへの侵入を確認しました。称号『(初)ダンジョンに挑戦せし者』を獲得致しました。】
【ーー称号『(初)ダンジョンに挑戦せし者』の効果が発動しました。スキル『鑑定』『マップ』『アイテムボックス』を習得致しました。】
ーー意識が遠のく瞬間に頭に響く声が聞こえた気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます