第7話 蜘蛛、クマ、狼
俺は黄色の談話室に入るとドレッサーの前に座り、大急ぎで腰にある隠しポケットに仕舞っていた詩集を取り出す。
身分の高い淑女が装身具や杖以外で、持ち歩いて白眼視されない物はせいぜい扇子くらいというとんでもない世間体のあるこの世界で、しかしどうしても詩集を持ち歩こうとする俺に、コニーが縫子などに頼み込んで、リボンやフリルに偽装した隠しポケットを用意してくれた。
コニーには苦労をかけてばかりで申し訳ないが、ようやっとこの時が来た。
詩集を大急ぎで開くうちに、音楽が戦闘曲に切り替わり、誌面に文字が浮き上がる。
ウルフ、かれんちゃん、いま何してるの~~?
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
はあ、はあ、はあ。
肩で荒く息をつき、木々が落とす影に注意深く意識を巡らせる。
ドスドス、ガサガサと派手に音を立て8本足の化け物が、飛びかかってきた。
ウルフは盾で防ぎつつ、半身を引いて巨大な蜘蛛の体当たりを受け流し、体勢を崩した蜘蛛の背に剣をぞぶりと突き立てる。
バヅン!
と嫌な音を立てて、すっかり開いていた左の脇腹に、別の蜘蛛が噛み付いた。
他より幾分小柄な蜘蛛の動きを見落としていたのだ。
「うぐ、クソが!」
噛まれた脇腹が、激痛にドクドクと脈打つようだ。
そのまま吸い付く蜘蛛に、引き抜いたばかりでぬめる剣を突き立て、なんとか引き剥がす。
蜘蛛は脚や顎のギイギイいう嫌な音を立てながら、次第に力を失っていく。
ウルフは大汗をかきつつも、徐々に体温が失われていくのを感じた。
「まずいまずい、くそっ、くそ!」
痛みとしびれに震える手で、なんとか魔力の回復ポーションをこじ開け一気に飲み干すと、右手を左の脇腹に当て、回復魔法をかける。
「あーっちくしょうが」
上手く効かない回復魔法を一転、解毒魔法に切り替える。すると、ドブっと親指ほどの赤黒い塊が傷口から吐き出された。
ウルフはすぐにまた回復魔法をかけると、今度はシューっと蒸気が噴き出るような音とともに、傷口が塞がっていく。
傷口が急激に塞がる事で生じる焼け付くような痛みに、ウルフは一呼吸の間だけ、固く目を閉じて耐える。
ふーっと長く震える息を吐く。
昨日まで当座の旅の目的地としていた町が火の魔人によって焼かれてしまった。
早く食べるものを手に入れ、安全に眠れる場所を見つけなくては。
短い時間でいい。一時間だけでいい。眠りたい。
ウルフの血走った目があたりを探る。
「あれっ、リリーナ?」
岩壁からしみ出る清水に、うつむくドレス姿のリリーナが映り込む。
リリーナはおもむろに顔をあげると、ウルフと目があった。
「お、こっち見た。おーいリリーナたん、いや、秋山さんて呼んだ方がいいかな?見えるぅ~?」
ウルフが手をふると、リリーナも手をふる。口をパクパク動かしながら、片手に持った何かをしきりに見せようとしているが、岩清水の湧き出る幅は狭く、流れと共に映像は不規則に揺らめいていて、よくわからない。
忙しなく、手元とこちらを交互に見ている。
本だろうか?
「元気そうで良かった。ていうかその蛇なに?蛇だよね?」
リリーナの首にまとわりつく蛇を、ウルフはいぶかしむ。
「まあいっか。聞こえないかもだけど、ウルフは元気だよ〜!でもね、最近魔人の動きが活発になってきちゃったとかで、被害がすごく拡がってるんだよね」
ウルフは水で手や傷口のあった脇腹を洗いながら話す。
「どっかでうっかりメインストーリーを進めちゃったのか、状況は進んでるみたい。そんなつもりなかったのに、イベント踏んだんだろうね。ほんと申し訳ないよ」
顔をバシャバシャ洗い、一口含んで血や泥をすすいで吐き出し、改めて水を飲む。
一連の流れが手馴れている。
「だからさ、いやね、マジで怖いんだけど、あたしのせいかもって考えると、辛くて、悲しくなっちゃってさ。オエーって吐きたくなるんだよ。被害にあった町とか」
ウルフはうつむき、小さな震える声で言葉を絞り出す。
「……人とか」
顔を再び洗い、目の周りをしきりにこすり、顔をあげる。
「マジやばいの。だからね、だから、魔人と戦わなきゃいけないかなって考えてる。できればさぁ、秋山さんにさぁ、攻略法聞きたかったよ」
ウルフは眉尻を下げて、泣きそうな顔で笑うが一転、腰の剣に手を添わせ、厳しい顔つきで周囲を伺う。
「そこにいるのは誰だ。出てこい」
ウルフの錆を含んだ低い声が、歯の隙間から獣のうなりのように、木々の翳りの中を這う。
「ウルフさん!ウルフさんですよね、私です!」
そこにガサガサ音を立て、両手をひらひら振りながら現れたのは、一人の中年男だ。大きな背嚢から見るに、行商人だろう。
「あーっ、えっと、ゴブリンの人!」
男の顔を見て、ウルフは警戒を解く。
「ははは、そんな省略の仕方があります?はい、以前ゴブリンに襲われていたところを救われた者です。行商人のレンドンです」
「あ~そうそう、レンドンさん。今日は無事そうだね」
「レンドンと呼んでください。その節は本当に助かりました。実は今回も、滞在先の町が魔人に焼かれ、避難民と一緒に隣町に街道を移動中、蜘蛛の群れに襲われた次第で」
「うえっ、あの蜘蛛まだいんの?」
ウルフは手にした剣の切っ先で先ほど倒した蜘蛛を指す。
「いえ、よもやここまでかと震え上がっていたところ、蜘蛛が一斉に森に向かっていったんです。木のすき間から見える魔法の光が、下手な魔法使いよりよほど気前よく発動されるので、ウルフさんがいるとすぐ分かりましたよ。引き付けてくれたのかと」
「違う違う、こっちはこっちで別に襲われたんだけど、あいつら蜘蛛なのに群れで動くから仲間がやられて反応したのかもね。じゃ無事なんだ。良かった~!」
「それが、重傷者が何名か」
「ちょと、それ先に言いなよ!案内して、早く!」
ウルフはレンドンの肩を押し、避難民たちの救助に走り出す。
途中で一度振り返ると、リリーナに向けて大きく手を振った。
遠ざかっていくウルフの声が聞こえる。
「レンドン、なんか甘いお菓子とかない?売ってほしいんだけど」
「いえ、残念ながら……」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
やはり一方通行じゃない。
俺は詩集を閉じた。
コンタクトを取る方法はある。
ただ、あっちの環境が基本的に良くない。旅暮らしのウルフに鏡みたいな破損しやすい荷物を持ってくれとも言えないし。本にしても、あっちの世界では富裕層や、魔術師のような知識階級しか持たない超高級品で、アイテムの全てに重量設定の設けられている【
でも、魔人に挑戦するなら攻略法、というか対策はどうあっても伝えたい。
今のかれんちゃん、あまりにも傷ついている。
【
状況としては、ウルフの所属するベオル国の軍勢が魔人に一斉攻撃を仕掛けるも、仲間は次々倒れ、最終的にウルフと魔人の一騎打ちとなる。
この時、6体のどの魔人と戦う事になるかはランダムなので、プレイヤー毎に体験が変わる仕組みだが、基本の流れは同じ。
ウルフは魔人にダメージを与えるが、強大な力に吹き飛ばされ、瀕死の重傷を負いつつもなんとか逃れ、逃れ、ついに倒れてしまう。
しかし、ウルフの霞んだ視界には男女ともつかない、オープニングにしか出てこない謎の人物に、やっぱりオープニング専用アイテムであるところの竜血薬を与えられ、魔人の目を欺くためと石棺に隠され、そこで長い長い眠りにつく事になるのだ。
リリース当初から、いつかここら辺の謎回収用シナリオがアップデートされると、まことしやかにささやかれ続けていたが、どうなったろうか。
残念ながら俺が知る日は来ない。
20年に及ぶ眠りから覚めて石棺から這い出ると、ウルフは超人的な身体能力とあらゆる魔法を習得する力を得ており、そこで初めて【
これがオープニングの流れだ。
【
俺の技量じゃ無理だったけど。
全裸で魔人討伐、という装備品を一切身に着けずに魔人を倒す、「この世界に石あるじゃないですか。拾えるけど正直使い道が分からないなーって、皆さん一度は疑問に思った事があると思うんですよ。僕もそうでしたしね。でもこれでね、倒せちゃうんですよ。魔人」から始まる、人気のゲームプレイ動画もあるくらいだ。
だが、あの世界を実際に生きるかれんちゃんウルフには、まともな対策を知っていてもらうに越した事はない。
オープニングでファーストコンタクトした魔人はウルフと因縁で繋がっているとかで、通常よりもだいぶ強く、絶対ウルフ殺すマンとなっている、実質上のラスボスなので、対策必須だ。
ラスボスと言っても自由なゲーム性であるが故に初っ端に邂逅することも十分にある。
勿論そのまま倒すことも可能だが、出来る限りそこは避けて欲しい。
どうすれば……そうだ。
「ベアクマート、なあ、聞こえないか、ベアクマート!」
指輪に話しかける。こっちから通じさえすれば。
短時間でいい、なんとかかれんちゃんとコンタクトが取れれば……。
「はい、お呼びです」
ベアクマートの声が鏡から聞こえ、併せてのんきそうな、ピンクぶちのパンダが映る。
「なんだ、呼べるんかい」
「正直あんまりよろしくないんですけどね。世界の境界が不安定になりますさかい。でもま、ご要件があるなら手短に頼んます」
「さっき見てたかもしれないけど、かれんちゃんとコンタクト取りたいんだ。それが無理でも、あっちの世界と繋がりやすい方法が欲しくて」
「別世界と頻繁にやりとりしはるんは、ホンマに推奨されへんのですけど」
ベアクマートはしばし黙る。
「ま、しゃーないですな。ぼくの方は進捗ないですし」
「ないのかよ~」
「やっぱり世界の内側の問題っちゅー線が濃厚で、ぼくらの方からの特定は難航……実質無理かもって状況です。それはともかく、リリーナさんがお持ちの詩集を使わしてもろて、精霊城内の異世界接近ポイントを追えるようにしましょ。捜索範囲は400m以内、前後左右は見た通りに光ります。2mより上にあるなら赤、下なら青です。接近すると表紙の中央あたりが光りますよって、ご活用ください。接近ポイントは常に流動するちゅう事と、毎日必ず接近するわけじゃないちゅう事、そこだけご了承くださいね」
上だ下だ、右だ左だといわれても、精霊城内は迷路のように入り組んでいる。これは地図があると嬉しいな。早めに入手しよう。
「ウルフと会話出来るようにならないかな?」
「そらあきませんな〜。声まで聞こえる距離ちゅうのんは、いよいよ持ってあきません。鏡のすぐ向こっ方に見えても、世界と世界の間は物質的な距離とはまた違うもんで阻まれとりますねん。そこまで近いと隙間に引きずり込まれて、スパッと死ぬこともかなわんと、意識と体が引き裂かれる、らしいでっせ」
「そ、そうなのか。じゃあ伝言頼める?」
「手短に頼んますわ」
「ウルフの記憶の中で、一番最初に戦った魔人はラスボス級に強いから、戦うにしても対策立てて後回しで、って。それだけ絶対伝えて」
ベアクマートは了承するとメモを取り、ふと顔をあげる。
「あのぉ、ときに、リリーナさん。ぼく、ゲームとかやったことないんですけど」
「うん。そっちにはないの?」
「ありますよ。でもぼくはあんまり興味なくて」
「そうなの。興味出た?」
「この仕事してると、異世界転生適合格者さんはゲーム好きな方が多いな、いうんが実感としてあるんです。けど、適合格者さんとこんなにお話しさして頂く機会もなかったんで」
トラブルが無ければ投げっぱなし、なんだろな。
まぁそうなるよな。
「ゲームで魔人さんを倒すと、なにかこう、ええことあるんですか?」
「良い事……?プレイヤー的には達成感、ゲーム的には魔人に滅ぼされなかった世界があって、ボーナスがあるかなぁ」
「ボーナス!ボーナスはええですね!うきうきですやん!どんなん頂けますのん」
コイツは何と言うか、ほんとにリーマンって感じだよな。
「6体魔人を倒すと、『魔人いずる道』っていうイベントダンジョンが解放されるんだよ」
「それって……ゲームが続くいう事です?」
「そういう事です。露骨にがっかりするなよ」
「はぁ、ゲーム好きさんにはそれがボーナスいう事ですか」
「好きなことが続くのは嬉しいだろ。そのダンジョンで、魔人って結局なんだったのかが、うーん、そこまではっきりしないニュアンスで語られてさ、強力な武具とか手に入るんだけど、ダンジョンの最奥にでっかい扉があって、その向こうに魔人のいた世界が広がってんだろうなぁ~って感じなんだけど、開かないんだよなぁ~。アプデ後そこ行けるようになる、って噂もあったんだけど」
「はあ、お辛い事聞いて、すんませんでした」
「いいっていいって、好きな事語れるのは楽しいし。聞いてくれてありがと」
そんなしょうもない話をして、ベアクマートとの通信は終わった。
ベアクマートの声が消えると、トントンとノックがされて、黄色の談話室にコニーと、何故かリリーナの闇婿シャラムが入ってきた。
シャラムが扉を抑え、お盆を持ったコニーを通す。コニーは恐縮しながら部屋に入り、水をついだグラスを俺に手渡す。
そのコニーの手に、アダンデが興味を示して顔を近づける。
「ま、まぁ、まぁこれは、蛇、いえご立派な杖竜様で」
蛇の苦手なコニーはびくつくが、アダンデはすぐに興味を失って俺の首元に戻ってくる。
蛇、そういえば、かれんちゃんもアダンデを蛇と言っていたな。何その蛇、と。
【
知らないといえば、ウルフが助けたというあのレンドンという行商人の男、俺はあいつを知らない。とはいえ俺のイベント踏破率は70%程度だし、イベントに係わるキャラクターも膨大だから、知らないキャラがいてもおかしくはないし、単純に忘れただけかも。
でも、魔人が町を焼くようなド派手なイベントは無かったはずだ。
砦が破壊されたり、軍隊が戦うイベントはあった。でも町ってのは。
いやこれもまた、~ そして一か月後 ~と同じ、プレイヤーには見えなかった裏側なんだろう。
例えば城があって、その城門から謁見の間まで徒歩20分かかるとして、それがどんなにリアルな数字だとしても、ゲームにそのリアルさは取り入れられない。プレイヤーにとってあまりに不便だからだ。
なんという当たり前の事を失念していたんだ。~ そして一か月後 ~の裏側と同じく、ゲームでは省略された町、登場しない人々、描かれない事件や悲劇があってもおかしくはない。
どんなに面倒でも不便でも、今の俺たちは100%のスケールと向き合わなければならないんだ。
アダンデは俺に撫でられながら、くるくると鳴き声を出している。
だからってなにも、こんなかわいい子を省略する必要ないのになぁ。
「リリーナ様、今日はお疲れでございましょ。すぐにお休みくださいまし。お部屋はすっかり整えましたから。模様替えのご要望があれば、いつでもお言いつけ下さい」
「うん、ありがと……そういえばシャラムはどうしてここに?」
シャラムを見上げると、ふいと視線をそらされた。
「あだ、だよね、ごめんなさ……あでもその、ヘディ様の、闇婿に言われて。リリーナがひどく、疲れているようなら、闇の魔法を、使うといいと」
「闇の魔法?」
一般的に闇の魔法と聞くと、とても悪いもののような気がするんだが。
「闇の、夜の眠りの魔法。水の強制的な眠りとも、光の、ええと、ショックで気絶させるものとも違う、ゆっくりと自然に沈み込んでいく眠り……効果が出るまで2,3時間かかるけれど、7~8時間くらいはしっかり眠れる」
そんなクソ地味な魔法があんの?忙しく働く現代人が一番欲しがりそうなやつだ。
「こういう、疲れてるとき、その、疲労や軽い病や怪我の回復力も高めてくれるから、きっと役に立つだろうと」
ふと、先ほどのウルフの顔が脳裏をよぎる。
疲れ果て、髪はぼさぼさでひげは伸び放題、葉っぱか木くずみたいなのが絡まって、なのに俺に向かって、元気だよ、と笑いかけてきた。
ウルフにその魔法をかけてあげられたらな。ゆっくり眠らせてやれたらな。
不覚にも、鼻の奥がツンとして、目頭が熱くなってしまう。
「リ、リリーナ?」
シャラムが慌てる。
「いえ、ありがとう」
「ああリリーナ様、おいたわしい。こんなにお疲れだったなんて。すぐにその魔法をかけていただきましょう。効果が出るまでの猶予が2~3時間あるのなら、お休みまでの間に夜食だっておあがり頂けますものね」
コニーがシャラムに頷きかけると、シャラムがひざを折り、ゆっくりとリリーナの額に手をかざす。
秋の夜風のような空気に包まれて、全身から余分な力や熱がすっと抜けていくようだ。
「さあ、これで大丈夫」
「ありがとうございます、シャラム」
俺はシャラムの手を取って礼を言う。そこで初めて深い藍色の瞳と視線が合った。
シャラムは一瞬目を見開くと、すぐに視線を逸らしてうつむいた。
「僕は、僕はただ、言われただけだから」
「それでも、感謝します」
「う、うん。ゆっくり、休んでね」
シャラムの声がどんどん尻すぼみとなり、おどおどとした手つきでリリーナの肩を、触れたかどうかもわからないような軽さでぽんぽん叩くと、さっと立ち上がり、大またで部屋を出て行った。
夜の眠りの魔法のおかげで平静を保てているが、シャラムの端正な顔が驚き、恥ずかしそうにうつむくまでの様が、スローモーションのように脳裏に焼き付く。
どれだけ陰キャでもイケメンに違いはなかった。くそ~ダメだぁ~。
「リリーナ様、旦那様の一人とはいえ、今日お会いしたばかりの殿方の手を急にそんな、なりませんよ。早すぎます。それにまだ、お式はうんと先でございますからね」
顔を真っ赤にしているコニーに、俺はにこりと微笑みかける。
「コニー、そんなのは大した事じゃないですよ。精霊の調停者として、国婿の皆さんと親しくするのはとても大切なことです。私はその勤めをどうにか果たす、それだけの話です」
そうだ。
俺はウルフの、かれんちゃんの覚悟を見た。
あんなに傷つきながら戦い、俺に向かってはなんとか明るく振舞おうとし、人助けを惜しまず、魔人とも戦う覚悟すら決めようとしている。
おそらくウルフの記憶には、自軍の壊滅、自身の敗走と、魔人に対する恐怖が本能のようにしみ込んでいるだろうに。
俺もやらなくては。今のも半分は自分に言い聞かせたようなもんだしな。
【
こっちだってイベントは着実に進んでいる。
やられる前にやれ。落とされる前に落とすんだ。
それがこの世界の正しい生き方だろ。
俺の正気の続く限り、あいつら全員、攻略してやんよ!
多分そこに、なんらかの活路がある!
生霊化か……生まれ変わりの機会が……多分。
あるかなぁ……。
あ~~でも、本心としては普通にヤダなぁ~~~~!
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最後までお読みいただき、ありがとうございます!
応援なにとぞよろしくお願いいたします。
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