家族は前へ進む・・幸せと・・不幸と・・暗雲と・・

地図を作る簡単じゃないお仕事

 「はい、わかりました・・ありがとうございます・・」

 連戦連敗、冒険者ギルドの中でパーティを組んでくれる冒険者を手当たり次第にあたっている若い女性が一人。

 ダンジョンの地図作りを生業にしている冒険家のアイ。

 普段ならいつも一緒にいってくれる仲間がいたのだが山で採取したキノコに毒キノコがまじっていたらしく、みんなして食中毒。

 手持ちのお金で薬を買いみんなに飲ませたが、状態が相変わらず。

 責任をもって仲間の治療を・・ とおもったが、依頼で得た手持ちのお金は大量の薬で消え・・。 

 新しい地図作りの依頼を受注したのはいいが一人ではとてもじゃないが探索はできないわけで・・。

 報酬が減るのは致し方がないがなんとか一緒に行ってくれる冒険者をさがすために冒険家ギルドにきたが、か弱い女性の依頼とのことでほとんどの冒険者に断られ途方にくれていた。

 「はぁ・・あたしって、そんなに心細ないかなぁ・・ お金もってないって思われているのかなぁ・・」

(まぁ、たしかに報酬は成功報酬からの後払い・・ 信用してくれないよね・・)

 がっかりして出直そうと出ようとした瞬間、すれ違いで女性の冒険者らしき人とすれ違う。

 男ばかりのギルドに女性・・ 女だからなめられてたと思っていたアイにのっては女性の冒険者はとっても話しかけやすく思えた。同性だからなんとか聞いてくれるかもと思ったのだ。

 その冒険者らしき女性は受付嬢と話しこんでいる。どうやら彼女も依頼を受けにきたらしい。

 (・・うん!年も近そうだし同性だし、話を聞いてくれるかも!受付嬢と話ししているってことは冒険者で間違いない!・・てか、もうあてはないし、攻めないと!)

 そうかんがえるやいなや、とっさに話し込んでいる彼女の会話にわってはいる。

 「あの!!」

 急に話しかけられびっくりする女性。

 「え!?何??」

 「えと、、、 依頼をこれから受けられるのですか?」

 「・・あ・・うん、そうね。でも今回は時間に似合った依頼がなさそうだから次回に改めようかとおもっていたところ・・」

 「あ・・あの、あたしの依頼を手伝ってくれるかたを探しているんです!一緒にいってくれませんか?成果報酬になっちゃいますケド・・」

 「え?うん、条件によるけど、お話聞かせてくれるかしら。どんな依頼?」

 「あ!ありがとうございます! 今期重点探索地点の地図作りです。護衛の方をさがしてました!」

 「地図作り・・ あなたも冒険家なのね?」

 「はい・・ まだあんまり実績は・・・」

 「うーん、今期の地域なら私の都合にあうかな。私もあの場所は未開拓だし、実績積みにももってこいだし・・ そうね、成功報酬はそれに見合った額でいいわ」

 「え!いっしょにってくれるのですか?」

 「はい、いいですよ!ただ条件があります」

 「え?条件・?」

 一瞬ドキっとするアイ。さっきも断られまくりだったため、ひどい条件を提示されるにちがいない。そう思ったのだ。

 「えっと、私一人だけじゃないってこと」

 「え・・それじゃ・・報酬もっと増えるんですか・・?」

 「いえ、私の分だけでいいわ。一党・・いや、わたしの家族をみんな連れてくるから。みんなもいっしょに探索につきあわせてほしいの」

 「え!本当にそれだ・・」

 「それだけ!!」

 女性はめっと、人差し指を口につける。アイは一瞬ドキっとした。

 「じゃ、手続きするからサインお願いね。同伴攻略だから別途私の一党にも報酬はいるの」

 「はは・・ それはおいしいですね・・」

 「だから、本当はあなたからの報酬はいらないんだけどね。 さっきいってたのはなし、私への報酬はいらないわ。お付き合いさせてちょうだい?」

 「・・いいんですか・・?」

 お金にも困っていたため、好条件を提示されたアイは思わず涙目になった。

 「ちょっと、涙目にならないの!そんなんじゃ依頼は攻略できないわよ? あ、私名前まだなのってませんでしたね」

 「え・・あ、 はい・・!」

 「私は、グレイ。よろしくね。」

 「グレイ・・さんですね。よろしくお願いします!髪の色も、瞳も灰色だからグレイだとばかり・・」

 「いや、そちらの意味もあるかもだけど」

 「あ・・失礼なことを・・・」

 「いや、気にしないで! では後日よろしくね。集合時間は##日で集合場所はギルドの前で」

 「はい!よろしくお願いします!」

 アイはグレイと仲良く握手をすると、グレイはハグをしてきた。思わず赤面するアイ。

 「じゃ、よろしくね!」

 と、一礼するとグレイはギルドを去っていった。

 (グレイさんかぁ・・ いい人だなぁ・・・)

 なんとか同伴者が決まったアイ。自分の仲間の為にクエストをこなすのだと、意を決めた。


***


 空は晴天。すがすがしい天気だ。

 アイは大きく息を吸い込むと深呼吸をした。

 「んー 今日も天気いいなぁ! 絶好のお仕事日よりだよね!」

 場所は見晴らしが丘という森に囲まれた原っぱ。グレイと約束をし、ギルドを出ようとした直前、はっとしたグレイは急に落ち合い場所変更の提案をしたのだった。

 (・・けど、なんで町中でなく人気のない場所えらんだんだろ・・)

 まぁその理由もグレイの家族と同伴することによって明らかになったわけだが・・

 「おはようーーー!!」

 森の方から呼ぶ声がした。

 はっとしてアイは声の方向をみると、手をふりながらグレイが一人でやってきた。

 「おはようございます!」

 「ごめんねー。急に場所変更しちゃって。変な魔物に襲われなかった?」

 「いえ。大丈夫でした」

 「この辺もちょっと強めのもでるからね。一人でここに呼んじゃったから心配したわ」

 「ちゃんと、装備もととのえてきましたので!」

 そういえば、グレイのことよくみてなかった。と思ったアイはグレイをまじまじとみる。

 ちょっとやせ形ですこしたよりないかなと思ったが、防具越しにほどよく筋肉つつけているようだ。

 軽装ではあるが剣は長剣を腰につけている。ほかに冒険具を多数いれているかのようなポシェット・・。

 「ん?なんかついているかしら?」

 「あ!いえ!なんでもないです」

 アイは赤面して俯いてしまった。

 「そうそう、家族を紹介しないとね」

 「え?・・あ・・はい!」

 「みんなー でておいでー」

 家族・・しかし、なんで一緒にこない?なぜ隠れているんだろう・・と思うアイ。

 (なんか、不思議な感じがするなー)

 すると茂みのなかから女の子が二人ひょこっと顔をだし、笑顔で駆け寄ってきた。そのあとからアイと同じ歳ぐらいと思われる女性が二人歩いてくる。

 (え、女の子?・・てか、みんな女性だ・・)

 女の子たちはグレイにかけより元気にハイタッチ。つづいてきた女性二人もグレイの横にならんだ。

 「改めて自己紹介するわね。私の家族達!アイさんといっしょに同行してくれる『仲間達』よ」


***


 「はじめまして!ママからお名前うかがってます。アイさん・・ですね。宜しくお願いします!」

 「こんにちは!」

 「ちぃ──!!っス!」

 「お初にお目に掛かります、私、シィタともうします。短い間ですがよろしくおねがいいたします・・」

 「はじめまして・・」

 次々と挨拶され、どぎまぎするアイ。

 「わわ・・・ はじめまして!アイです。よろしくおねがいします」

 「肩苦しいこといいことなしよ。えっと、家族の名前紹介するわね、この子が妹のシィタとアクアそしてヨル・・で、このチビたちは私の娘の、セタとナナシーっていうわ」

 「え!?お子さんがいるんですか!こんな若いのに!!!」

 「・・・ んー 説明するとながいけど、みんな血はつながってないわ」

 「え!」

 「私とシィタが核になって作ったファミリーなの。いろんな・・わけありで・・」

 「・・そうなんですね・・ どうりで似てない・・ あ! すみません!」

 「クス。よく言われます」

 草原に笑い声が響き渡る。とにもかくにもアイはうれしかった。自分の一党をたすけるための探索・・一人でできずに悩んでいたときの神からの祝福かもしれないグレイとの出会い。

 そして、たくさんの仲間ができ一緒に探索をやってくれる。一瞬女性だけの一党で戦力になるのかなと思った自分を咎めたい気分になった。

 「アイさん、一瞬女性だけで大丈夫かと不安に思ったんじゃないかしら?」

 と、心を見透かされたかのようなグレイの質問にアイは動揺した。

 「あ!え!そんなことぜーーんぜん思ってないです!」

 「フフ! まぁ、 みんなの職業を紹介しとくわね」

 「私は魔法剣士。魔法と剣術の複合戦術が得意なの。で、シィタは精霊魔術師。精霊の力をかりて自然魔法を使うわ。で、アクアは冒険家。アイさんと同じ職業に近いわね。そして彼女がヨル。冒険者らしからぬ姿しちゃっているけど心強い戦士なの」

 アクアがにんまりし親指をアイに向ける。急なアクションにびっくりしたアイだが笑顔でおかえしした。

 「セタは剣士。小柄な体のわりに大きな剣を使うけど技は私の折り紙付きよ。で、ナナシーは魔術師。全属性の魔法を得意とするわ」

 「・・で、アイさん、不安かしら」

 「いえ!全然! これなら余裕ですよね!」

 「安心してくれてうれしいわ」

 グレイの紹介でみんな冒険者としての肩書きを持っていることがわかりとりあえず安心するアイ。さらなるグレイの説明でみんなで数々の探索をおこなっており、ギルドでも有名な女性一党だったことがわかった。

 しかし、受注はグレイがすべてひとりでおこなっていたため、ほかの家族がいることはしられていないらしい。

 「で、もう一つのお願いなんだけど、私に家族がいるってことは他の人には内緒でお願いね?」

 「え・・あ、はい・・わかりました・・」

 「宜しくね!」

 家族の事は内緒。それが妙にひっかるが、アイは後から知ることになる。


*** 


グレイはぐーっと伸びをすると、早速行動予定を提案した。

 「探索先の洞窟までは一日かかるから、途中の宿町で一泊、そこで装備を調えて向かうことにします。それでいいかしら?」

 「はい、お願いします。宿代は報酬の中から・・」

 「大丈夫よ!あそこの宿町温泉があるっていうじゃない。そこにみんなで入りたかったのよ」

 「そうなんですね! 温泉かぁ・・ あたしも久々です!」

 「よかったらゆっくり休むといいわ。美肌の湯とも聞きますから」

 グレイはにっこりアイに微笑みかける。アイはとにかくかしこまるしかなかった。

 「さ、急がないと宿町につくまえに日がくれちゃう。いきましょ?」

 グレイの家族のみんなが、おー! っとかけ声をあげると、グレイを囲むように草原から移動をはじめた。

 アイも少し間をあけてついていく。

 (いいなぁ・・家族・・ あたしには仲間がいるけど、あんな深いつながりじゃないし・・ うらやましいかも・・・・)

 家族という言葉にあこがれを持ったアイ。 自分も家族がもてたらなぁ・・っと思いながら中継地点まで足をすすめる。


 日が暮れ始め夕焼けが空一面に広がる。

 アイとグレイ達は探索へ行く前の宿場町についた。集合場所から時間はかかったものの、魔物や盗賊との遭遇もなくまるでピクニックを楽しむかのように色々な冒険談義を話しながらの旅路だった。

 アイ自身も見たことも聞いたこともない異国の話しや新種の魔物との戦い、ほかに新しい技術や魔法など冒険家とはいえ興味にたえない話しをたくさん聞け楽しい移動ではあった。

 それにグレイの家族も結構おしゃべりでいろんなたわいもない話しもした。とくにアクアは同じ職業というわけで、話しにとてものりやすく、技術交換などもできてアイにとってはとても有意義な時間になったわけだ。


 そして、日も暮れる間際に宿場町につく。

 「へぇ、けっこう賑わってますね」

 「そうね、ここはいろんな地方につながる中間地点にもなっているし、国ではめずらしい温泉も湧いているから冒険者だけでなく観光客も多いのよ」

 「なるほど・・・」

 「ここの宿場町への貴族や観光客の護衛依頼もあるわ。けっこうおいしいのよ!」

 ちょっと目をそらすと人混みにのまれてはぐれてしまいそうになるような、町中は凄いこみようだ。

 武器屋や装具屋などの店も建ち並ぶだけでなくお土産屋などもいりまじっている。冒険者だけの町というわけではやっぱりないわけだ。

 「さて、本日の宿にいくわよ。そこ、露天風呂もあるの! 入ってみたかったんだぁ・・」

 けっこうクールな面持ちなグレイだが目をらんらんと輝かせている。そのギャップに驚きを隠せないアイ。

 「グレイさん・・こっちが本命だったんじゃ・・・」

 「そうよ!」

 きっぱりというグレイ、アイは苦笑いを隠せなかった。


 ***


 日が完全に暮れ夜になったころ、一行は宿屋に到着。

 グレイが受け付けで手続きをしているなか、子供たちはホールを駆け回っていた。

 (元気いいなぁ・・ あたしも子供だったらこんな大きな宿に泊まったらうきうきでいられなかっただろうしなぁ・・・)

 と、グレイの子供たちを見ていると、目の前に鍵がひょいっとあらわれる。グレイが部屋をとってくれたらしい。

 「お部屋をとっておいたわよ。悪いけど、部屋は別室でお願いね」

 「あ!いえ!」

 「ここの温泉は最高よ!ぜひ入ってみてね!」

 「はい!」

 「じゃーねー アイ!」

 アクアとグレイ達が手をふって宿の奥の方にはいていく、手をあげて答えるアイ。

 (・・さてと、あたしもやすもうかなぁ・・ 明日はまた移動があるし)

 パステルは部屋の位置を確認すると、伸びをしつつ向かうのだった。


 ***


 深夜・・


 もう、次の日といってもいいくらい夜にアイは一人露天に入っていた。

 (ふぅ・・ まさか疲れでそのまま寝ちゃうとか・・・ まぁ、結構な距離歩いたからなぁ・・)

 誰もいない露天風呂、深夜だけに、町の雑踏も消え、綺麗な星空が白い湯気の中輝いていた。

 (誰もいない温泉って最高・・ なんか夢の世界に入ったみたい・・)

 広い露天風呂に顔だけ湯面にだし、ぷかぷかと浮かぶように入浴していたアイ。そのときだった。

 「え?どなたか入っていらっしゃるのですか!?」

 とっさの声に跳ね起きる。

 「!? はい!」

 思わず返事するアイ。湯気で見えづらいなか目をこらして見ると、そこにいたのはグレイだった。

 「あちゃー、主人に夜間貸し切りでお願いしたのに・・。口約束じゃだめね・・」

 頭をくしゃくしゃに掻きむしるグレイだったが・・・

 「あ! あたしすぐにでます!!」

 アイは露天から上がろうとするとグレイが手を前にだして止める。

 「上がらなくていいわよ。アイさん。いっしょに入りましょ。・・ ただしぃ・・ これから見ることはぜーったいに他言無用よ?」

 「え!わ・・わかりました・・・」

 グレイは後ろを向くと声をかける。

 「みんなー!はいってきてー! 先客様がいるけど大丈夫だから!」

 「はーい」

 子供らが駆け足ではいってきた。そしてグレイの妹たち。

 「あ!アイ!夜中にはいってたんだ!にしし!」

 アクアがアイの前で仁王立ちになり声をかけた。

 「アクア・・前隠しなさい・・はしたない・・ あ、アイさん。ご一緒させていただきますね」

 おしとやかに声をかけてくれるのはシィタだった。そしてヨルがだまって入ってくる。

 「はは・・いっきに賑やかになりましたね・・」

 みんなで入ることはとてもいいこと。しかしグレイはそれを避けていた。アイは疑問に思ったが、その理由が目の前で明らかになった。

 「よーっし、一番のりー!!!」

 アクアが露天にジャンプして飛び込んだ。

 「こらー! 体あらってから入りなさい!!」

 っと、グレイがアクアに声をかけるが・・。

 飛び込んだ勢いで水しぶきがアイにあたる。目をおおって改めてアクアを見た。

 (・・・・・ え? 魚? 下半身が魚に・・)

 あまりの光景に驚いているアイにグレイはため息をつきつつ声をかける。

 「・・ん-、 えっとね。アクアはハーフマーメイドなのよ」

 「え?」

 「そゆこと!あたし、水につかると体が変化しちゃうっすから!お客さん他にいるとこれにびっくりしちゃうからね!でも、地底湖探索もすいすいっす。水の中でも息つづくし」

 アイが唖然としてると、シィタがグレイに声をかける。

 「羽をあらってもよろしいですか?ねぇさま」

 「いいわよ」

 シィタがなにやら呪文らしき物を唱えると背中にばっと白い大きな羽が展開された。

 あまりの光景にまたもや唖然としたアイ。

 「シィタは有羽人なのよ・・・ 普段は魔法で自分の羽を隠しているの」

 「お見苦しいのをお見せしてすみませんね?アイさん」

 「あ!! いえ・・!」

 (・・天使・・・)

 またもや唖然としたアイ。

 そしてふと流し場で二人仲良く体を洗っている娘達に目がいった。

 セタは背中に深い傷・・ まだ若い女の子なのに・・あれは一生物だろう・・と思わせる。

 そして、ナナシーは、なにやら妖しい呪文みたいな入れ墨が全身に刻まれている・・・手かせ、首かせも外せないみたいだ・・ なにかあったのだろうか・・・。

 そして横に並んで体を洗うヨル。まるで死人ような肌ではあるが赤い文様が同じく全身に彫られている。

 なにやら気まずい雰囲気になったアイだったが、グレイがこう声をかけた。

 「まぁ、私の家族はいろいろ不自由があって大浴場には不向きなのよ。なので夜中に貸し切り・・の予定でしたけど・・ アイさんがいたのはまぁ、例外としましょう」

 「仲間ですから・・・ ね? アイさん!」

 「え!はぃぃ!!」

 「さ、みんなでゆっくり疲れを癒しましょう!」

 っと、グレイが声をかける。

 深夜の露天は賑やかなものとなった。


 ***


 そして、次の日、目標の探索もグレイファミリーのおかげで難なく攻略できた。帰りもみんなでまた温泉に入り、祝杯をあげる。

 とくにたのしげにからんでくるのはアクアのほうだったが・・。

 楽しいクエストの時間も終わりギルドにかえって報酬を得る。

 (これで、みんなの薬がかえる・・・)

 そして、一緒にたちあったグレイに礼をつげた。

 「ありがとう!グレイさん! このご恩は・」

 「一生も忘れない・・とかそういうのはなし!」

 「え!」

 「私のほうこそ礼を言うわ。ほんとうにありがとうアイさん。たのしい探索だったわ!」

 「いえ、あたしのほうこそ助かりました」

 「またご縁があったらご一緒しましょう?こんどはあなたの一党も紹介してね!」

 「わかりました!こんどはいっしょに・・」

 アイはなんだか涙がでてとまらなかった。グレイはそれを手で拭う。

 アイは一瞬どきっとした。

 「涙は哀しいときにとっとかないとね。それしゃアイさんまたね」

 またね・・ また再会しましょう。

 そう縁がうまれたのだ。彼女らとはまた冒険する機会がきっとある・・・


 そう思い心に信じ込ませるアイだった。


 (・・そうだね・・ また・・・)

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