第23話 ナオミ、上の空

しんと静まり返ったナースセンターの垣根を超えてキリコの声は幅広の通路を

往来していた。

> ハッ、と気付いてクルリとキリコの佇んでいる師長デスク前に振り向く。

> 「ゴメン聞いてなかった。」背筋を伸ばし、あーなるほど、とばかりに両指を

組み口許を押さえてやれやれと言う風に小首を傾げて、「アンタっていつもそう

だけど、今度旦那になる人はそんなんで大丈夫なの?」

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