第2話 恋ばなキャンパス
岐阜総合病院スタッフ喫煙室は2m四方のガラス張り出出来ている。
> 「困ったよ、ああ!困ったー。」ガラスの向こうから心配そうに覗くナースが
一人・・・。
> 病院の正面玄関から十字路のように通路は延びていた。
> 見渡せば十字路の右角にある喫煙室は誰でも視認出来るように出来ていた。ス
トレッチャーに乗せた救急患者を確認する為で休憩中といwども救急が優先され
る。それ故通路も看護師がストレッチャーの脇に患者を支えながら走り易い様に
幅広く造られていた。
> そういう彼女も偶然観てしまった輩だった。
> 「どうしたのナオミ?」スタッフ喫煙室のフロアにしゃがみ込んで咥えタバコ
の上善寺ナオミ(じょうぜんじなおみ)は、窮鼠猫に噛み付く状態だったが、そ
れを見かねた鬼瓦キリコ(おにがわらきりこ)がガラス扉を引き開け声を掛けて
いた。
> 「言ってもどうにもならんよ・・・。」右人差し指と中指でパーラメントのメ
ンソールを指に挟み灰を落としてからキリコを見上げていた。
> 「アンタ!タバコが山積みになってるよ?一箱空にしたのかい?」
> 「それにしゃがんだままで、パンツ見えてるよ?全くもう!」
> 吸いかけて半分に折れたタバコ、先だけグチャグチャに潰れたタバコ、フィ
ルターが焦げたタバコ計20本が、喫煙室のテーブルに置いてあった独立アシュ
トレーに山積みになっていた。
> 「こんなにしてからに・・・。看護師長が見たらブチキレられるよ全く!早く
コーヒー行こう。」 キリコに促されナオミはニコチン臭い空気と一緒に喫煙室
から屋外駐車場に出た。
> スタッフ専用駐車場には、高級外車などザラで、自家用自転車を停めるように
ぞんざいに駐車してあった。
> ベンツ、BMW7シリーズ、ジャガー、レクサス、ワゴンR。
> 色々所有していたが、頚四はナオミの所有だった。
> カローラ岐阜のショールームに新型の展示車カムリを磨きながら一昨日の逢
瀬を回想していた宗像亮一(宗像りょういち)は、誰にも相談出来ない修羅に陥
っていた。
> 「電気消してリョウさん?」ベッドサイドスタンドの小さい方の灯りを残して
全て部屋の明かりは消した。ボーイッシュのつばさは細く白い首をしていた。
> 肌は若い。胸には青い血管が浮き出ていてそこが可愛くてセクシーだった。
> 細い首に唇を這わせ胸を弄り小さな乳首を摘む。「はあん。」深い溜息が聴こ
えたが、止めない。つばさを攻める!首から肩、肩から背中に唇を這わせ・・・。
> リョウの動きが止まった!動けなかった!
> 「見たの?」うつ伏せのつばさは映画エクソシスト張りにユックリとリョウに
首だけ振り向く。ほぼ180度回っていた。戦慄の呪縛!
> 「うんまあ・・・。」竜が滝を遡る画像いや! タトゥーだった。
> 「だから電気消してって言ったのに、亮さん酷い!」両手で顔を覆い両肩を奮
わせるつばさは、開いた指の間から右目を覗かせ舌をベーッと出していた。
> それを見た亮一はちょっと安堵し、つばさの両肩を抱いて・・・。
> 翌日・・・。
> 「営業、宗像さん来客です。」サービスフロント受付嬢の内奥つばさ(うちお
くつばさ)がアナウンスしたせいで、亮一の回想が止まった。
> 新車販売ディーラーのカローラ岐阜のショールームは横長に広がっていた。
> 新車を4台並べて展示した方が来場客が触って載って覗いて満遍なく確認出来
るからだという営業所長の提案で展示しているのだが、営業マンは掃除が大変だ
から4台を1台減らして3台にして欲しいといつも思いながら、ウエスで磨いて
いた。
> コツコツコツ! トレッドの小さい足音、しかも急ぎ足。
> つばさだと感じた背後で、「上善寺直美(じょうぜんじなおみ)様でーす。」
> 「亮一くんお似合いの! 」又言ってると思っていた。
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