第15話 胡蝶の夢 Scene9
「まぁ、こんなもんじゃろう。」
一通りの説明を終え片手で肩を揉みながら首をぐるぐる回している。
小さい女の子には似合わない所作に目を細める。
「古い霊獣ゆえ、こちらの予想に反することもあるじゃろうが、基本的に人へ害を及ぼす類のものでは無いはずじゃ。例外を除いてはな。」
「あまり気負いせず、いつもの調子で行ってこい。」
既に、最初に聞いた内容を忘れそうになっている俺の背中を、パンッと一発叩き激励する。
『ん?行ってこい?』
たしかに、そう聞こえた気がする。
『おい。だいだら、俺の聞き間違いだと思うが。今、行ってこいって言わなかったか?』
「お?言ったけど?」
澄ました顔で答えるだいだらは、童顔の顔が余計幼く見えた。
『行くぞじゃなくて?』
「おう。気を引き締めて行って来い!我が神薙よ」
てっきり、この場で何かしらの儀式なり神威を発動をするものと思っていた俺は、呆気に取られる。
『待て待て。行くって何処にだよ?!』
だいだらは、不敵に笑みを浮かべて言う。
「決まっておろう。古豪 菜乃葉の夢の中じゃ」
教えて!だいだら様 しまリス @shima_risu
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