第12話 胡蝶の夢 Scene6

「お主、いろいろと大丈夫か?前々から思っとったが、ちゃんとクラスに馴染めておる?なんかワシ、そっちが心配になってきんじゃが。」

だいだらは、心配から徐々に哀れみの表情へと変わてっいった。


ぐぬぬ。

まさか、こんな形で俺の学校生活の片鱗が露呈する 

ことになるとは思いもしなかった。


頼むからまず、その哀れむような表情を止めてくれと心から思いつつ、静かに『なるほど』と頷く。


「いや、なるほどちゃうわっ。」

だいだらが珍しく関西弁でツッコんだ。



古豪さんはというと、絵に書いた様な苦笑いを浮かべ気まずそうに、むしろ気を使うように

「うちの菜乃葉も目立つような子じゃないから」

とフォローを入れてくれた。


その優しさが、逆に心に刺さる。

次、学校に行ったら誰でも良い。誰かに話しかけてみようと少なからず思った。


「まぁ、お主に学友がおらん事など想像に容易いことじゃったわ。今更驚く事でもないがの」

かなりストレートな物言いで、勝手に結論づけられてしまった。


勝手に決めつけるな!と言いたいところだったが、まぁ、当たっていたので特に反論はしないことにした。逆に、掘り下げられても傷口を広げるだけだと直感的に悟った。


気まずい空気が場を支配する。

(実際に気まずいと思っているのは俺だけかも知れないが。)



しかし、そんないたたまれない空気を破ったのは、またしてもだいだらだった。


「改めて確認するぞ。古豪とやら。そなたの娘っ子が目覚めぬようになって幾日経つと言った?」

だいだらは、身を乗り出し菜乃葉を正面から覗き込んだ。銀髪の髪が垂れ下がり菜乃葉の頬に触れる。



「今日で、13日目になります。」

古豪さんの表情も一変、真剣な顔つきに戻って答える。



だいだらは、今回の依頼内容を遠巻きにも俺に教える様、古豪さんに事実確認を始めた。





−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



大まかの内容は、だいたい理解した。

要は、古豪 菜乃葉。目の前で今もこうして寝息を立ててるこの少女は・・・もとい。クラスメイトは、13日前から現在にかけてずっと眠り続けているのだという。

声をかけようとも、身体を擦ろうとも目覚めない。


当然、最初の頃に救急搬送され、いろいろと検査入院はしたが原因の発見までは至らなかった。一旦一時帰宅となり、その後も別の町医者に来てもらい診察も受けたが全く異常が見られないとのことだった。

大きな大学病院を進められ、現在入院待機中とのことだった。明後日には家を立つ予定なのだそうだ。



入院前にそんな相談をウチの母にしたところ、「お医者様も良いけれど、ダメ元で一度神様にも見てもらっちゃう?」

と、今回のデリバリー神様の提案を受けたとの事だった。


古豪さんは、藁にもすがる思いでその申し出を受けた。


まぁ、今の状況はこんなところだろうか。





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