第11話 胡蝶の夢 Scene5
部屋の明かりは既についており、LEDの白く強い光が室内を照らしてる。
室内は、実に女の子と感じさせる家具の色や配置となっていて綺麗にまとまり整理されていた。
あとなんかいい匂いがした。
今更ながら、妹以外の女子の部屋入ること自体初めてだったので少し緊張する。
「おいっ。あまり女子の部屋をジロジロ見るもので無いぞ。童貞感丸出しじゃぞ」
だいだらの見透かした様な一言にドキッとする。
『は、は、はぁ? べ、別に見てねぇし』
古豪さんの手前、一生懸命取り繕う。
「いや、返し方もまるでお手本通りじゃな。テンプレート化でもされとんのか。」
一瞬の気まずい空気に、既に耐えられなくなっていると。
「まあ、良い。で。 この娘が、当該相談のおなごで間違い無いかの?」
『え?』
気づかなかったがベッドの上には、女性が一人静かに寝息を立てていた。
最後に入った俺は、だいだらと古豪さんが死角となりその存在に全く気づいていなかった。
「はい。間違いありません。私の娘の菜乃葉です。」
無人かと思っていた部屋の中には、
この部屋の主【なのは】はずっとそこに居たのだ。
そして眠っている。
先ほどの、無神経に扉を開ける音、だいだらとの会話のやり取り、部屋を明るく照らすLED灯。それらが今、同じ空間で起こっているにも関わらずこの子は今も眠っていたのだ。
確かめるため、違和感を感じながらも俺はベッドに近寄りその眠っている少女を覗き込んだ。
この子が、今日俺たちが呼ばれた理由で、何らかのトラブルないし問題を抱えている。
そして、今こうして眠っていること自体が何らかの関係があるのだろうと察する。
外見は、横になっているので分かりづらいが少し小柄で中学生くらいに見えた。
顔立ちは整っていて、品のある感じはお母さん似なのだろう。まだ幼さも残り、可愛らしい感じの子だった。
そこで俺は気づいた。気づいたというかビビビと記憶が呼び起こされる感覚が走った。
そして。
『なぁ、だいだら。』
『俺、たぶんこの子とどこかで会ってる。会ったというか、すれ違っただけかもしれないけど。いや、今日の駅前を探索してた時か。靴屋、服屋、いや違う。雑貨屋か? いや、でも一度や二度じゃ無いような気もする。 くそっ、ダメだ。あとちょっとで思い出せそうなのに・・・・。』
くそっ。何かに、役立てられるかもしれないのに
あとちょっとのところで思い出せずヤキモキする。
『すまん、だいだら。思い出せない。ひょっとしたらと思ったけど俺の勘違いだったみたいだ。』
何か期待させる感じを出してしまったため、申し訳なさそうに2人に目をやる。
すると、だいだらと古豪さんは2人同じように驚いた顔でこちらを見ていた。
『え?』
だいだらは、驚きから呆れた顔で、
「え?はこっちのセリフじゃ、ばかもんが。」
(ん?バカとは失礼な)
「古豪 菜乃葉。お主の学校の生徒で、お主のクラスメイトじゃろ」
『・・・・・・え!?』
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