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オバサン2人は、「本気で好きだとは思わなくて、ごめんね」と・・・。
やっぱり、私を憐れみの目で見てきたように思う。
お兄ちゃんが否定していたから・・・。
“僕達はそういうのではないので。
誤解しないでください。”
そう言って、否定していたから・・・。
お兄ちゃんのことを明らかに狙っているようなオバサン2人に、否定していたから・・・。
会社でお兄ちゃんを見かける度にあのオバサン達はよくいて・・・。
オバサンっていってもお兄ちゃんより少し年上くらいのオバサンだけど、お兄ちゃんに明らかに色目を使っていて・・・。
そんなオバサンに、お兄ちゃんは私との関係は何でもないと言っていて・・・。
ああいうことまでしているのに・・・。
私がお願いしているからだけど、しているのに・・・。
私のことを好きだと言ってくれているのに・・・。
「彼女になんて、なりたくないよ・・・。」
お兄ちゃんまで、私を普通の鮫に変えようとしてこないで・・・。
ピンク色の鮫のままの私を、戴いて・・・。
「いただきます・・・。」
今日は大学院がなかったお兄ちゃんが、20時に帰宅をして私が作ったご飯を食べていく。
しっかりと煮込んだビーフシチュー・・・。
それを真剣な顔をしてゆっくりと食べていくお兄ちゃんの顔を見ながら、私もご飯を食べていく。
そして、お兄ちゃんが食べ終わったのを確認してからお兄ちゃんに話し掛けた。
「お兄ちゃんのお父さんから連絡あったけど、今日も帰り遅いみたい。」
「そうなんだ・・・。
最近忙しそうだよね・・・。」
「私のお母さんも今日は遅いんだよね、2人でデートかな?」
私がそう言うと、お兄ちゃんが少し悩んだ顔になった。
そして・・・
「あの2人、本当に結婚するのかな・・・?」
と、聞いてきた・・・。
「なんで・・・?」
「今日、会社で少し的場さんと話して・・・。」
「妙子(たえこ)ちゃんと?」
的場妙子ちゃん・・・。
真理姉の旦那さんの妹、妙子ちゃん。
加賀製薬の人事部に所属していて、私の本当のお兄ちゃんとも仲が良い。
私の家にもたまに来ていたし、お兄ちゃんも妙子ちゃんの家にたまに行っていた。
てっきりお兄ちゃんと付き合うのかと思っていたけど、そんなことにはならず・・・。
妙子ちゃんには彼氏が出来た。
そして、妙子ちゃんは私のお兄ちゃん2人と小学校6年間同じクラスだった・・・。
お兄ちゃんは、妙子ちゃんのことが結構好き・・・。
結構どころか・・・凄く好き・・・。
好きというより、憧れらしいのだけど・・・。
可愛い見た目、何をするか、何を言うか分からないその存在は目を惹き付ける。
妙子ちゃんを加賀製薬の動画にアップすると、その回の再生回数もコメント数も凄いことになる。
そんな妙子ちゃんは・・・目が物凄く良い・・・。
私の本当のお兄ちゃんが喧嘩で本気を出してしまうくらいに、目が物凄く良い・・・。
そんな妙子ちゃんと何を話したのかと思っていたら・・・
「的場さんは、あの2人は大親友だって・・・言ってて・・・。」
そう、お兄ちゃんが言ってきた・・・。
「大親友・・・?」
私は驚きながらお兄ちゃんを見る。
お兄ちゃんは少し不安そうな顔で私の顔を見てきている。
それは、そうで・・・。
だって、私は・・・
だって、私は・・・
「嫌・・・!!!」
そう、大きな口を開けて叫んだ。
「私はお兄ちゃんとも真理姉ともきょうだいになりたい!!
本当のきょうだいになりたい!!!」
「うん・・・。」
「今でもきょうだいだけど・・・でも、本当のきょうだいになりたい!!!
私、お兄ちゃんと真理姉と本当のきょうだいになりたい!!」
「うん・・・。」
私が昔からよく言う言葉を、今日も言う。
今日は叫びながら言う。
「お母さんに聞いてみる・・・!」
「あの2人は、いつも否定してるけどね・・・。」
「入籍しないつもりなのかな・・・。」
そんな怖いことを考えて、私は不安になりながらお兄ちゃんを見詰め続ける・・・。
「お兄ちゃんは・・・私のお兄ちゃんだよね?」
何度聞いたか分からない言葉をお兄ちゃんに言うと、お兄ちゃんは優しい笑顔で私を見詰め・・・頷いてくれた。
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