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翌日・・・



今日は大学の授業がない日だったので、お兄ちゃんと一緒に出社をする。

オフホワイトの少しオーバー気味のシャツに、ピンク色のレースのタイトスカート、そこに薄いグレージュのジャケットを羽織った。




黒髪の長い髪の毛は、ストレートにセットをして毛先だけ少し内側に巻いた。




いつもより少し高めのヒールを履き、お兄ちゃんと腕を組んでピッタリとくっつき会社の最寄り駅を出た。




「りーちゃん、会社に着くから・・・そろそろ離れてね・・・。」




「嫌・・・っ!!」




「会社の人に見られると・・・色々と言われるから・・・。」




お兄ちゃんが困った顔で笑っていて、その笑顔を見上げながら聞く。




「何て言われるの?」




「何てって・・・その、りーちゃんはまだ大学生だし・・・。

小さな頃から、一緒に育ってるし・・・。

りーちゃんは・・・凄く可愛いし・・・。

結構、色々と言われるよ?」




「色々って?

エッチなことしてるでしょって?」




お兄ちゃんの腕をギューッとしながら聞くと、少し無言になり・・・。




「そんな感じのことも・・・。」




「してるよって言えばいいじゃん。」




「・・・言ったらダメでしょ、りーちゃんが変な目で見られる・・・。」




「自分の心配じゃなくて、私の心配してくれるんだね。」




「僕は昔から、変な目で見られるのは・・・慣れてるから・・・。」




「そんなの私だって慣れてる!!」




そう答えから、2人でどっちの方が変な目で見られていたかの言い合いをしながら会社に向かった。




そして・・・今日のバイトが始まり、しばらくしてから私はカメラを持っていた手を下に向けた。




「今少しいいですか?」




声を掛けたのは、一昨日私がオバサンと言って噛み付いた2人のオバサン。

そのオバサン2人が少し驚いた顔で・・・でも、私を無視することなく見てきた。




そんな2人に言った。




「一昨日は噛み付いてすみませんでした。」




謝った私に、オバサン2人は凄く驚いた顔をしている。

そんなオバサン2人に続ける。




「私はお兄ちゃんのことが昔から大好きなの。

お兄ちゃんと結婚したいと思って、それを夢見て生きてるの。

だから、あんな風に私に彼氏の話とかしてきたからムカついた。」




そう・・・噛み付いた・・・。

でも、これは鋭い歯で噛み付いたのではない・・・。




甘く、噛んだ・・・。

甘噛みをした・・・。




「私は、お兄ちゃんのことが大大大好きなの。

本当に・・・大好きなの。

だからもう、あんな話しないで。」




私を普通の鮫にはしないで・・・。




彼氏なんていらない・・・。




彼女なんかになりたくない・・・。




そんなの、普通じゃないかもしれないけど・・・。




でも、それは曲げられない・・・。




変えられない・・・。




私は獰猛な鮫・・・。




それもピンク色の鮫・・・。




変えようとしないで・・・。




この現実の世界を泳ぐのはとても厳しいけど・・・




それでも、生きているから・・・。




私は生きているから・・・。




私は、生き延びる・・・。




“お母さん”が私をピンク色の鮫に生んでくれたのなら・・・




ピンク色の鮫のまま、私はこの世界を生き延びる・・・。




守る為に、戦う・・・。




この鋭い歯で噛み付いてでも・・・。




この鋭い歯で、甘噛みしてでも・・・。




生き延びてみせてやる・・・。

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