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そして、18時過ぎ・・・。
私はお兄ちゃんが通っている大学院の前でお兄ちゃんを待っている。
そんな私を・・・スーツを着ている人達も結構いて、ジロジロと見てくるのが分かる。
分かるけれど・・・グッと我慢をして口を閉じていた。
その時・・・
「りーちゃん・・・。」
お兄ちゃんが私を呼び、パッとお兄ちゃんの声の方を振り向く。
そしたら、今日も仕事を17時に上がらせて貰っているお兄ちゃんが・・・
お兄ちゃんが・・・
綺麗な感じの、スーツを着た女の人と並んで歩いてきた・・・。
その女の人を見て・・・
その女の人を見て・・・
私は、口を開いた・・・。
大きく、開いた・・・。
「そのオバサン、誰!!!?」
「りーちゃん・・!!」
お兄ちゃんが焦った様子でそのオバサンの方を向いた。
「すみません、妹です・・・。」
「若くて可愛い子からオバサン言われるとグサッとくる・・・!!」
オバサンは取り繕うこともなく、そう言って口を大きく開けて笑っている。
そして、私を見てきた・・・。
「お母さんにはいつもお世話になってます。
理子ちゃんのお母さんの会社の後輩で、私も去年からこの大学院で勉強してるの。」
そう、言われて・・・。
「オバサンも、大学院で税理士の科目免除制度利用してるの?」
「そう、ここで取りきったら全部の科目が取れるんだよね!」
そして、オバサンが口を大きく開けながらお兄ちゃんの方を見て・・・
「岩渕さんの息子さんも通ってるって聞いたから、私から声掛けちゃった。
お父さんとよく似てるしすぐ分かったよ!」
そう言って口を大きく開けて笑うオバサンは・・・
そんなにオバサンでもなくて・・・。
本当は、オバサンでもなくて・・・。
お兄ちゃんより少しだけ年上くらいの、オバサンだった・・・。
「お兄ちゃん、年上の女が好きなの・・・?」
オバサンが先に大学院に入った後、私はお兄ちゃんを見上げながら聞いた。
そんな私をお兄ちゃんが困ったように笑って・・・
「僕が好きなのは、りーちゃんだよ・・・。」
そう言ってくれて、私は自然とニヤニヤしてくるのが自分でも分かった。
「はい!これお弁当!!
唐揚げは真理姉が作ってくれたやつ!!
小町さんから教えて貰った唐揚げで、加賀さんが大好きな唐揚げなんだって!!」
「今日もありがとう・・・。」
「毎回は準備出来ないけどね!!」
私がそう言うと、お兄ちゃんは嬉しそうに笑った・・・。
そして、お弁当箱が入った袋を大切そうに抱えて・・・
「今日もありがたく、いただきます・・・。」
そう言った・・・。
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