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「ただいま~・・・」
23時前に家に着くと、リビングの扉から大きな影が・・・。
反射的に後ろに飛び退くと・・・
「お兄ちゃん!」
一人暮らしをしている3歳上のお兄ちゃんが実家にいた。
また、いた。
それに笑いながらお兄ちゃんを見上げると、今日も相当疲れている様子。
「また実家に夜ご飯食べに来たの~?」
「ちゃんとした物食わないと死ぬ・・・。」
「外食もお惣菜も飽きちゃったなら作るしかないんだから自炊しなよ!!」
「材料から全て揃えて半日から1日以上掛けて作る料理なら出来るんだけどな。」
「豚の角煮とかカレーとかラーメンとかチャーシューとか美味しかったもんね。」
そんな会話をしながら私もリビングに入り、お母さんが作ってくれていた夜ご飯を食べていく。
お兄ちゃんは部屋に行かずリビングのソファーに横になっていて・・・
「悩み事か~?」
と、聞いてきた。
「そんなに分かる?」
「そこまで分かりやすいの珍しいよな。
お前は顔にも身体にも絶対に出ないから。」
「コミュ障のお兄ちゃんにも分かるとか、今の私ヤバイね。」
「俺コミュ障じゃねーから。
お前がコミュ力ありすぎるんだろ。」
お兄ちゃんが怒りながらテレビをつけて・・・しばらくしてから消した。
見たい番組はなかったらしい。
「え、早く言えよ。待ってるんだけど。」
「今の待ってた~?
普通そのタイミングでテレビつけないんじゃない?
お兄ちゃんの方がある意味見えない!!」
そんないつもの兄妹のやり取りをして・・・
「会社にいる派遣さんからガンガン攻められてるんだけど~!!!」
と、打ち明けた。
お兄ちゃんはこんな感じだけどモテるので、高校や大学、社会人になってから男子に好意を向けられた時にはよく相談していた。
「今度は派遣かよ!!
入社したばっかりの時は同期からもガンガン攻められてただろ!!」
「あれはガンガンではなかった!!
私の出方も見つつ攻めてきた感じ!!
今回の派遣さんはガンガン攻めてくる!!」
鯖の塩焼きを食べながらそう言って・・・
「お兄ちゃん・・・また急に帰って来たでしょ?
それで、私の夜ご飯のお肉取ったでしょ!?」
「今日生姜焼きだったからな!!」
「毎回私のお肉取らないでよ!!」
「いいだろ、魚もちゃんと食え、魚も!!」
「まだお肉がいいの!!
身体がまだお肉を欲してるの!!」
「・・・今回そんなにガンガンなら、こういう感じ見せればいいだろ?
そしたらその見た目と性格のギャップに段々引いてくれるだろ。
見た目が可愛すぎるからな、お前。」
モテるお兄ちゃんがそうアドバイスをしてきて・・・
「見せたよ・・・見せるつもりはなかったけど、見せちゃったよ・・・。
サンドイッチで何も満足出来てないタイミングで牛丼食べてる所に遭遇して・・・。
焼き肉屋と牛丼屋にまで一緒に行っちゃったよ・・・。」
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