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「それで・・・何を・・・?」
今日は22時に面接が終わり、その部屋で・・・
矢田さんにガンガン攻められそうになっている・・・。
「だって今日、的場さんの同期から“2人で何してる”って言われたからね。
期待通り“何か”しないと。」
そんなことを言いながら・・・
壁際まで追いやられ・・・
グッと私に近付いてくる・・・。
「“友達に”とか言ってたけど、俺全然そんなの無理なんだけど。」
そう言ってもっと近付いてくるから、私は矢田さんの胸を両手で押す。
握り拳にした両手で・・・。
ビクとも動かない矢田さんの身体。
そして、私の小さな小さな握り拳・・・。
それを見て、それを感じて・・・
やっぱり苦手だと思う・・・。
悲しくなるくらい苦手だと思う・・・。
でも・・・
恋している瞳で私のことを見下ろしてくる矢田さん・・・
全身で私に恋している様子の矢田さん・・・
そんな矢田さんを五感で見て・・・
悲しくなるくらい私の五感が振動している・・・。
私の“女”が、振動している・・・。
振動してしまうくらい、喜んでもいる・・・。
「恋愛とかそういうのは、苦手で・・・。
精神を統一出来なくなるから・・・」
小さな声でそう呟いた。
震える握り拳で矢田さんの胸を押していると、その握り拳を矢田さんの両手が上から重なり・・・ギュッと握ってきた。
「俺も恋愛が苦手だよ。
的場さんのことがめちゃくちゃ好きなのに、正直どうしていいのか分からないよね。」
こんなにモテそうな人がそんなことを言う・・・。
この会社で出会って数日のこの人が、私のことを“めちゃくちゃ好き”だと言う・・・。
それに小さく微笑みながら聞いた。
「私のどこが好きなんですか?」
そう聞いた私に、矢田さんは顔を赤らめながら照れたように笑って・・・
「めちゃくちゃ可愛いところ。」
そう、答えて・・・
「俺、凄く好きなんだ。
凄く好きで・・・」
私の無力な小さな小さな握り拳を強く握られる・・・。
「付き合いたい・・・。
俺、的場さんと付き合いたい・・・。
彼氏と彼女になりたい・・・。
毎日連絡取って、毎日会いたい・・・。」
そう、言われてしまった・・・。
言われてしまった・・・。
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