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“加賀さんと知り合いなの?”




矢田さんにそう聞こうと口を開いた時・・・




「的場さん!お疲れ!!」




と、また男の人から話し掛けられた。

見てみると同期の男子3人。




「お疲れ~!!」




微笑みながら返事をすると、同期3人も笑顔を返してくれる。

その内の1人は私のことを女として好きな様子で・・・。




「派遣さんと昼食べてるんだ?

女子達に聞いたけど、土曜日も女の子と派遣さんだけで飲みに行ったんだって?」




「行ったよ~!

うちらは打ち合わせですぐに出たけどね?

矢田さんも別の面接にすぐに向かうことになってたし!」




3人とも少し戦闘態勢なのでそう答えた。

でも、無意味だったようで・・・




「そんなにイケメンだと派遣でも人生楽勝なんですね!!」




そんな失礼なことを言い出した。




「そういうのやめなよ~!!」




微笑みながら静止を求めるけど、同期3人の戦闘態勢は更に強くなってしまった。

私が静止を求めたことにより逆に煽ってしまったことにやっと気付く・・・。




「派遣さん、何で派遣なんですか?」




「派遣だといけませんか?

派遣でも皆しっかりと働いているはずですけど。」




「本当にしっかり働いてるんですか?

夜中まで会社に的場さんと2人きりで、会社で何かしてるんじゃないですか?」




同期の男子がそんなことまで言い出してしまい・・・。

それには冷めた目で見てしまう。

そんなことをするような女に私も見られていたらしいから。




「それは考えたこともありませんでしたね。

今夜にでもやってみようか、的場さん。」




まさかの・・・矢田さんが意地悪な笑顔で私のことを見てそんなことを言ってきて・・・。




それには笑ってしまった。




「やりませんから!!

毎日のように矢田さん他の所でも面接入ってて、深夜でも終わったら慌ただしく向かってるじゃないですか!!」




「そうなんだよね、深夜でも早朝でも面接入れられちゃって。

今は一次面接を“社長”が頑張ってやってくれてるけど、最終面接は俺なんだよね。

応募者全員と面接していくから、皆が皆平日の日中に来られるわけじゃないから。」




矢田さんがそう言って同期3人を見上げた。




「派遣社員なので大変なんですよ。

的場さんを口説くのは面接と面接の間か、その日の面接が終わって少し時間がある日くらいですね。」




そんなことを言って・・・




「お昼休みの今も必死に口説いてる最中なので、乱入されると派遣社員でも反撃しますからね。」




もっと同期3人の戦闘態勢を強くさせてしまう・・・。




「的場さん、仕事を頑張る人が好きらしいので。

派遣社員でも仕事を頑張りますよ。」




更に、私が言ってもいないことを言っていた・・・。




闘争心剥き出しのままの同期3人が食堂を出ていき、その後ろ姿をしばらく眺めていた・・・。




だって・・・




「あの子達、良い感じにやる気になってくれたね。」




矢田さんの言葉に私は深く頷いた。

同期3人からは闘志が燃え始めていたから。




深く頷いた私を矢田さんが見詰めた。




「あれくらいでもダメだよ。

今回採用する人達は、もっと戦える者じゃないと。

副社長と戦える者でないといけないからね。」




「戦える者・・・。」




私が小さく呟くと、矢田さんは嬉しそうな顔で笑った。




「的場さんは“戦士”だからね。

小町さんが・・・副社長が見付けた戦士だってさっき聞いたよ。」




「小町さんから?」




「いや、秘書の相川さんから。」




矢田さんにそう言われ、小町さんの秘書である男性の相川さんを思い浮かべる。




そして、相川さんを思い出しながら少しだけ笑ってしまった。




「あの2人のコンビ、私好きなんですよね!」




「あの2人ね。あれこそ大親友だよね。」




矢田さんのその言葉に今度は久しぶりに大笑いしてしまった。

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