AI共作小品集

空の青かった日

これは私とAIのべりすとが数行ごとに交互に書いた非常に短い小説を集めたものです。

時間がたってだれがどこを書いたのかよくわからなくなりましたが、きっとそれは些細なことでしょう。


本を干す。日の当たる場所に。

「……いい天気だな」

「そうですね、本当に」

空を見上げて言うと、隣の彼女は微笑んで同意した。

「あー、なんだ。昨日は悪かったな。せっかく来てくれたのに……」

なんとも気まずい雰囲気に耐え切れず、そのまま空をながめた。

その視線の先にはだれもいない。そしてもちろん僕の隣にもだれもいない。

あるいはもっと話を広げてしまってもいいだろう、この世界にはだれもいない。

しかし僕はなぜか言葉を続けられなかった。

なぜならば、それはきっと彼女も同じだったから。

僕らはただ黙って、お互いの顔を見ることもなく、青空を見ていた。

そう思うことにした。

つまりすべてを理解した上でそれとは異なる考えで生きるというのが僕なりの生き方なのかもしれなかった。

これらの中でどれが事実でどれが事実でないのだろうか?

僕にとっては明瞭に仕分けされている。けれども僕はその仕分けを平然と無視する。

真実とはひとつではないからだ。

だから今ここで起きた出来事もまたひとつの真実であり、同時に複数の真実であると考えることもできるのだ。

たとえばあのとき、彼女が僕の前から消えたこともまた真実のひとつだと言える。

彼女がいなくなったことは紛れもない現実であり、それは疑いようがない。

だがそれがどういう意味を持つのかは僕の裁量に任されていることだ。

空は青い、だから僕は本を干すことにする。

ひとつひとつ丁寧に。壊れてしまわないように。

これはそんな物語なのだと思う。

それからさらに二週間ほどが経過したある日のこと、ふと思い立って、僕は彼女の家に行くことに決めた。

理由はとくにない。強いて言えば天気がよかったからかもしれない。

とはいえ、別に用事があったわけではない。

ただ単に彼女に会いたくなっただけのことだった。

あるいはその動作は自動化されていて僕の考えとはまるで関係のないものだった。

ほとんど反射に近い何か。いちいち理由を探す必要のない繰り返し。

いつだって留守の家に入ってお茶を入れる。

レースのカーテンを通して日の光をながめていた。

暖かなのはその太陽の光なのか飲んでいるお茶なのかそれとも僕自身なのかそれはわからない。

ただのんびりとした時間の中で何かが暖かかった。

窓際に置かれた小さなテーブルの上には読みかけの本が何冊か開かれていて、そのうちの一冊からは栞が抜かれている。

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