[3] 領域
AIに書かせるのは楽だ。
書きなれてないジャンルの話を書くにあたって試しに補助付きで書きてみるのはいいかもしれない。表に出す必要はないが。
ただし楽すぎていけない。
こんなことをしていては小説を書く気力がだんだんと失われていく。現状頼りすぎるのは危ない気がする。
だいたい1万字ぐらいで話をまとめたい。
半助は湖に足を運ぶことにした。
なぜか? そこにいけば自分の姿を確認できると思ったからだ。
外見について肝心の顔が与える印象を知らない。
ケモノガミや枝の老人はそれを見ただろう。彼らがどのような感想を抱いたのかはわからなかった。
たいしたリアクションをとってはいなかったようだ。妖怪同士だからそんなものなのかもしれない。
夕方、山を歩く。村人に会っても問題ない。こんな時間、こんな場所なら変なものに出くわすのが当然だ。
しばらく行くと湖のほとりに出た。水面には夕日が映っていた。
半助は湖のそばにある大きな岩の上に登って湖に映る自分を見下ろした。
「これが俺か」
妖怪であった。
全身毛むくじゃらである。頭からは獣の耳が生えており、尻のあたりから尻尾が伸びていた。
目つきは鋭い。ケモノガミや枝の老人のようにどこか優しい雰囲気はない。
「狼男か」
半助はそう呟いた。
その場に寝転がる。やることがなくなってしまった。
自分は望んで妖怪になったのだという。それが正しいと仮定しよう。
ではどういう理由があって妖怪になったのか。
わからない。わかっていれば話は簡単だっただろう。
空を眺めて考える。半助は自身の人生をゆっくりと振り返っていった。
生まれてからずっと村の中で暮らしてきた。村の外へ出たことは数えるほどしかない。
その少ない機会で目にしたものといえば、畑や田んぼ、そして森と山。
半助にとっての日常とはそういうものだった。
しかし半助はある日を境にそれらの景色を見るのが嫌になった――。
岩の上でそのまま半助は眠った。
朝、太陽の光によって目を覚ました。頭がすっきりしている。
勢いのままに半助は目標を定めた。それは『この世界で生きていくこと』だった。
そのためには何をするべきか。まずは世界を見て回ろう。
妖怪は死人と同じだという枝の老人の言葉を思い出す。
ならばこの世界において生きるために世界そのものを知る必要がある。完全ではなくとも。
半助は妖怪となった自身の身体を確かめるように動かした。
「悪くない」
笑みを浮かべた。
特に準備をしなくともよい。歩き出す。
山はつながっている。下りずとも隣の山に行く道はある。
半助はその道を進んだ。道中、生き物の姿は見かけなかった。
妖怪というのは案外嫌われているのかもしれない。生き物を遠ざける何かを発していたりするのだろうか。
自分だって生きている時に妖怪に出会ったことはなかった。わざわざ探したようなこともなかったけれど。
むやみに騒がせることなく隣の山までやってきた。
木々に囲まれていて薄暗い。地面は湿った土で覆われている。
鳥の声も聞こえないし虫の音もない。静かな山だった。
妖怪となった今、音はよく聞こえるようになった。視覚についても同様だ。
半助は山の中に踏み込んでいく。
「止まれ」
ふいに声をかけられた。
半助は立ち止まる。声のした方に振り向こうとしてできなかった。
首を動かせない。筋肉ががちがちに固まって言うことを聞いてくれない。
痛みはない。ただ動かせないだけだ。
「お前、人間じゃないな」
背後から再び声をかけられた。今度ははっきりと聞き取れた。女の声だった。
半助はなんとか首を後ろに向けようとする。
「動くな」
ぴしゃりと言われた。
「なぜだ?」
「後ろを振り向くな」
「どうしてだ」
「いいから」
「わかった」
「よし」
どうしたものだろうか。いや考えたところで特にできることはないわけだが。それでも考えることを止める理由にはならない。
相手はいったい何者で、自分はなぜ動けないのか。考えられる可能性としては相手も妖怪であることがあげられる。
だったらどうするのか、答えは簡単だ。単刀直入にまずは確認しよう。
「あなたは妖怪ですか」
「そうだよ」
あっさりと認めた。
「俺を殺しに来たのか」
「違うよ」
「ではなぜ俺の体の自由を奪っている」
「あなたは規則に抵触した」
「規則とは何だ」
「知らないの?」
その声は驚きと呆れを多量に含んでいた。
「妖怪にはそれぞれ縄張りがある」
「はじめて知った」
そうした基本的なことこそケモノガミたちは教えておくべきだと思った。
「知らなかったの? あなたは私の縄張りに入った。だから私に見つかった」
「俺はあなたの縄張りに入っていたのか」
「うん」
「それは申し訳ないことをした。謝ろう。すまなかった」
半助は素直に謝罪した。
すると少し間があいて、
「許してあげましょう。私は寛大だから」
と彼女は言った。どうやら自分は許されたらしい。
「ありがとうございます」
半助は礼を言う。硬直が解けた
振り返ればそこには巫女装束で狐のお面をかぶった少女がいた。手には札を持っている。
妖怪であることは雰囲気からわかった。けれどもその外見はほとんど人間のように見えた。
半助は彼女に訊ねたいことがあった。
「質問をしてもいいでしょうか」
「いいけど、先にこっちが聞くことがある」
「なんでしょう」
「お前は何を求めている?」
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