第2話 怨み②
【怨み(うらみ)】≡続き≡
僕の友達は、彼は僕の彼女を好きになっていた。
僕は付き合っているのに困るなあ、と半ば思っていた。ので、事情を丁重に説明して謝った。
僕なりの親切のつもりでであった。このまま好きでいさせると彼を傷つけることになると思ったのだ。
だが、僕がずっと好きであったように、彼もまたずっと好きであった。そんな彼を、別れてからは応援もしていた。
正直自分も好きだが、友達である上では友達のことを優先するのが当たり前だ。
それに、友達である僕やその他の子を優先せず好きな人を優先するようなやつがどうせ付き合えるはずないとも思っていた。
修学旅行の時も、
「告白しちゃえー!」
とずっと言っていた。自分の気持ちを押し殺してずっと応援し続けた。いつか自分が報われることを信じて。
そして彼は、修学旅行最終日に告白した。
あいつは考えさせて欲しいと言って、OKしたらしい。
なんだろうこの気持ちは。友達のことを優先せず、自分の欲求に従ったカスが勝つだなんて。僕には理解できなかった。
10分、1時間、2時間と時はすぎていき、気づけば日が回っていた。それほどまでに僕はショックで、受け入れることが出来なかった。
それにおかげで、本当に人のことが信用できなくなった。
あいつは友達のままでいたい、と言ったが、それは自分の私利私欲を満たすためだけの道具にしようとしているのではないかと思った。付き合っている時もそうされていたのではないかと思った。
本当に好きだった人に、
「付き合ってからも友達みたい」
なんてことを言うなんてありえないはずだ。
世の中は理不尽だ。カスが勝つ世の中になっている。そんな中1人悲しく善意に働き、また負ける。
僕は勝つことなんてできないのだ。僕は人間のことが好きなせいで、本能的に人にやさしくしてしまう癖があるらしい。情緒不安定みたいに、どうしようもないことだ。
だがそんなやつでも憎悪のひとつやふたつわくことが証明できたのでは無いか。なんてバカバカしい。
どう捉えても振られたことには変わりないのだ。
振られたことに関してはなんでも良い。だが、友人関係面では酷く腹が立った。
だがどうすることも出来ず、ひとり悲しく泣くのだ。
この気持ちはきっと、そんな自分を含む人間に対する怨みだとわかるのであった。
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