地下3 ドラゴン討伐?

「ほら、ここが俺の拠点けん店だ」

「ゲコォ!」


 ほんとに付いてきやがったよコイツ。


「ゲコゲコォ!」


 はぁ〜、モンスターを自分の店に連れてくる事になるたぁなぁ。


「ゲコゲコ!」


 あいつぁはしゃいでやがるし。


「連れてきたからもう良いだろ? とっとと素材の在処ありかを言え」

「ゲ、ゲコ!」

「あぁ? まだ居たいってだよ? 俺ぁ約束守って拠点に連れて来たろうが」

「ゲ……ゲコォ……」


 まー確かにゲコの言いてぇ事も分からんでもねぇ。


 だがな、俺は近くにモンスターがいるなんざぁなんだよ。


「ゲ、ゲコゲコ!」

「あ? 来たいんだったら客にでもなったら来い」

「ゲコ?」

「客っつーのは、俺の店で売ってるのを買う奴のことだ」

「ゲコゲコ?」

「売るっつーのは……あぁーなんて言うんだぁー? えーとな、まず俺が居た地上ちじょーではなぁ――」


 俺モンスター相手に何やってんだろうな?


 ダンジョンに来て一番馬鹿な事やってるかもしんねぇ。


 ま、どーせ客来なくて暇だから良い暇つぶしにゃあにるかな。


 一通り話は終わり、無事素材の在処なんかも聞き出せた。


「んじゃあ今度来る時は金持って来いよー」

「ゲコォー!」


 ……ま、ここに金なんてもんはぇんだけどな。


 さてと、俺は……そうだった灯り作ってる最中なんだったな。


 とっとと作っちまおう。


「スゥー……ハァー」


 うし、キセルも吸えたし作業を辞めたとこまで高速移動すっか。


 高速移動は俺が錬金して作り出した方法だ。


 俺の靴底には色んな仕掛けがある。


 かかと部分には『レウレス鉱石』っつー鉱石を粉末状にしたのを、踵に小さく空けた穴から入れてある。


 こいつがさっきの高速移動の状態だ。


『レウレス鉱石』はー、まあ地上じゃあ何の価値も無ぇただの石扱いだが、実際は粉末状にすると効果を発揮するっつーちと珍しい鉱石だ。


 その効果は単純明快、粉末の一粒一粒が自身の一番尖った部分から空気をとんでもねぇ勢いで押し出すんだ。


 例えば雫形の粉末があったら上の方の尖った部分から空気が出るっつーこった。


 分かりずれぇ性質してやがんなほんとに。


 灯りを作りながら思う。


 あぁードラゴン倒すか。


 ドラゴンの鱗は色んなもんに使える。


 回復薬だったら『極回復薬』とか作れちまうな。


 うし、倒すか。


 場所は把握してあるのでとっとと向かう。


 高速移動は何回も使用できる。


 粉末の量がえげつねぇからだ。


 構造上粉末が中に入ったら出られねぇようにしてあるから粉末が押し出した空気の影響で出る心配はない。


 さらに一回の高速移動で粉末一粒ときたもんだ。


 ほんととんでもねぇ鉱石だな。


 ドラゴンの間へ着く。


「グオオオオオォォォォォオオオオ!」


 あぁー! あいっかわらずうるせぇな!


 そう叫ばねぇといけねぇ決まりでもあんのか!


 鎌はー、どこやったっけな。


【アイテム収納】も便利じゃないぜ。


 あったあったこれだ。


 さぁてと、これでぶっ殺せるってもんよ。


「ガァァァァァァアア!」


 ハッ! 耳栓さっきつけたから意味ねぇよ!


 高速移動で距離を詰めて鎌で斬る。


「ルガア゛アアァァァ!!」

「あぁ?」


 ……まさかこの程度か?


 おいおいまだ上層にいたドラゴンの方が強かったぞ?


 ったく、とっとと仕留めっか。


「おらよっと」


 俺特製の薬をぶっかける。


 ……あ、やべ、間違って使おうと思ったやつと違ぇ薬かけちまった。


 確かこの薬は……


「ガァァァァァァァァァァ!!」


 ゲコにかけたやつと同じやつだ。


「……キュゥゥン」


 ……キャラ変わりすぎじゃねぇかおめぇ?

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