営む者と、挑む者

地下1 店作り

「ほぉ〜」


 こんな奥まで潜ってきちまったが、意外と神秘的な場所じゃねぇの。


 よし! ここに店作ろう!


 恐らくだが、この下がダンジョンの最深部だろうからな。


 そこに行く為の準備をする場所が必要だろ?


 んで俺は錬金術師。色んなもんが作れる。


 それを売りさばく店だ。


 そーと決まったらとっとと作っちまおう。


 まずは……ここら辺の石がどんなもんか見てみっか。


 ヒョイと拾い上げてよーく見てみる。


 あぁ〜……柔らかくも硬くもねぇな。


 至って普通の石だ。


【変換錬金】で、硬い石にしよう。


【変換錬金】っつーのは、対象の物質構造を変換出来るってスキルだ。


 よーするに、林檎りんごをダイヤモンドとかに出来るってこった。


 こいつを使えば一気に大金持ち……だったんだが、ダイヤモンドの硬さを超える物質がダンジョンから次々と見つかっちまってダイヤの価値は今現在進行形で大暴落してやがる。


 ま、そのダイヤの硬さを超えるやつにしちまえば良いんだけどな。


 デカメの石をドンドン硬くしてく。


 あー、どんくらいいるんだろうかね?


 まあこんな所だし、一旦小さめにしておいてその後拡張していく感じにするか。


 うし、じゃあもっとデカ目の石探すか。


 ……クリスタルとかの色が凄ぇきれぇだな。


 アニメとか漫画でしか見た事ねぇぞ?


 ま、このダンジョンとかもアニメとか漫画でしか見た事ねぇが。


 今俺そんな所にいるんだなぁー。


「ゲコ!」


 お!? この階層のモンスターか!


 見た目は……かえるっぽいな。


 えーと武器はどーこにしまったっけな……。


「ゲェコ!」


 うわっと! 危ねー、タックルかまして来やがった。


 おいおい見た目に反して結構脳筋系か?


 そこは舌でピャッってやるんじゃねぇの?


「ゲコゲコ!」


 またタックルかよ、単調な奴だなぁー。


 あーあったあった。


 たく、【アイテム収納】も便利じゃねぇな。


【アイテム収納】っつーのは……いや、大体分かるだろ?


 まあ圧縮空間を生成してそん中に色んなもんぶち込めるってスキルだ。


 人によって広さは違うらしいが……俺の場合広さが東京◯ーム何個分かある。


 細けぇこたぁ忘れた!


「グェコ!」


 うし、また突っ込んできたな。


 前に錬金しておいた武器を試すかー。


 名付けて! …………思い付かねー。


 俺そんな厨二系じゃねぇからな。


 取り敢えず武器のジャンルは『鎌』だ。


 まー俺の戦闘スタイルが合ってるっていうのと、単純に鎌は色んな改造がしやすい。


「おらぁ!」


 という事で斬りつけたりはせずその改造された部分で攻撃する。


「ゲコォ!?」


 お? まさかお前、突進中に攻撃されないとか思ってたか?


 いやいや、んな訳無ぇか。


 取り敢えず今攻撃したのは鎌のはちの部分。


 よーするに刃の背の部分だ。


 そこには俺がここに来るまでに錬金した薬品がジャンルごとに分かれて入ってる。


 流石に多いと重くなって戦えたもんじゃねぇから種類は5種でどれも一回ポッキリ。


 でも効果はピカイチだ。


「グェ、ガァ、ゲェェェ!」


 おーやっぱこの階層のモンスターでも効果あんのか。


 流石さすが俺の薬品だ。


 蛙はそのままもだえながらどっかに行っちまった。


 ま、あのままだったら死ぬだろうしもう良いか。


 さぁーてと、店作り再開すっかー。


 えーとどこやったっけなー?


 見つけた、やっぱここだったか。


『キセル』


 俺の大事な相棒だ。


「スゥー……ハァー」


 戦闘後の一服いっぷくたまんねーぜ。


 ここら辺の石持って帰るか。


【アイテム収納】の出入り口を地面にスライドさせりゃあすぐ色んな石集まるだろ。


 それを錬金して形が合うようにすりゃあいい。


 ズダダダダァーと石が凄い勢いで【アイテム収納】の空間内に入っていく。


 よし、まあこんなもんでいいだろ。


「んじゃ、とっとと帰りますか」


 そう言って建設途中の店へ帰った。

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