第2話 『壊せなかった』
ある日、サン・キ・ユーさんは、教会長さんが、砂糖菓子を大量に、大きな壺に隠しているのを見つけました。ま、今で言えば、金平糖です。
北島の決まりでは、長は、お菓子とかも、各メンバーに等しく分けなければなりませんでした。
好きだから、嫌いだから、は、ダメなのです。
しかし、この教会長さんは、一人占めしていたのです。
タルレジャ王国では、(伝説によれば)火星から、火星サトウキビを持ってきていて、古くから盛んに栽培していました。
だから、お砂糖は貴重品という、わけでもなかったのです。
しかし、やはり、子供たちには、憧れのお菓子です。
サン・キ・ユーさんが、見逃すわけがありません。
教会長さんが留守の間に、仲間みんなで食べてしまいました。
『さあ、どうしよう。』
と、ひとりが言いました。
すると、サン・キ・ユーさんは、平然と言います。
『まかせろ。』
それから、彼は、入っていた壺を、壊しにかかったのです。
しかし、相手が悪かったのでした。
その壺は、超強化プラスチックで、割れるような代物ではなかったのです。
で、教会長さんが帰ってきました。
サン・キ・ユーさんは、こう、言いました。
『壺をけとばしたら、中身が溢れてしまい、どうしたらよいか分からないので、みんなで、掃除しようと、お口に入れてしまいました。』
教会長さんは、怒りたかったのですが、そうすると、自分の立場が危なくなりかねないので、みんなに、等しく分けたと、本部に報告したのです。
組織の内情を見抜いていた、サン・キ・ユーさんは、たしかに、利口だったのかもしれませんね。
しかし、ぼくは、その教会の管轄内なのに、お菓子を貰えませんでした。
鬼のみにもなってください。
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