夢を見たの……。

まえだたけと

夢を見たの……

 夢を見たの。そこは緑の森。小鳥が歌い、小さな川がさらさら流れ、草花たちがゆったり踊る。私も木漏れ日を浴びながら彼らと一緒になって歌って踊る。周りには誰もいないから、自由に、私だけのダンスを。世界とひとつになれたような、そんな夢。


 きっと疲れてる。だから夢を見る。今日も暗い部屋に鳴り響く時計の音で、浅い夢から飛び起きる。寝る為だけの、音も光も風もない部屋に私はひとり。蛇口からこぼれる臭い水で洗った顔を、知らない誰かに気を遣って塗りたくる。無機質に切り取られた空から注ぐ光が痛い。不気味なほど静かで消えたいくらいの人混みに紛れ、孤独。

 休み時間も休まらない心。うとうとすると決まってあの森の夢を見るの。小さな鳥と小さな川と踊る草花たち。今日は動物たちも一緒に踊った。あの森はどこに?どうしていつも私を連れ出すの?どうせ叶わない夢なら、私を連れ出すのはやめて。私は夢なんて見ない深い眠りを夢見てる。


 夢を見たの……。





































 





 








 




 こうなる前にちゃんと休みましょう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夢を見たの……。 まえだたけと @maetake88

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ