一人前にしてくれた、テメェにファッキー・クリスマス
「ねえねえ、和算って知ってる?」
「ん?」
彼女がいつになく仕事に集中しているふりをしているので、わたしも彼女の仕事の話をした。
「あー、ネタ提供? ごめん、今和算の陰謀論はトレンドじゃないんだよね、でもありがとう。」
「いやー、ポイ活出来て、仕事になって、やりたい事をやれる仕事っていいよねえ。」
「それで百合愛先生? 冬コミまで11日、締切まで10日ですが、進捗は?」
「うーん、野ばらが下準備終えてないから着手できないな!」
「そうですよねすみませんねでも冬コミの資金は欲しいし一日は24時間なんだよファッキンクライスト!! 私が買いたい本の資金繰りと読みたい本の準備をやる為に、触手が2本ほど欲しいわね!」
「あ、今抱えている仕事って、エロゲ系なの?」
「そっちは着手すら出来てないよ…。」
そう言いながらも、彼女の手は止まらなかったし、震えも視線の向きも変わらない。机上ウォーターサーバーからお白湯を飲む時だって、不自然に私の事を見なかった。…相変わらず、一年も使っているウォーターサーバーなのに、お湯の出し方を覚えてないらしい。
「それでね、和算の話なんだけど。」
「うん。」
「徐々に衰退していったということは、どんなに価値があったと後世から評されたとしても、当時の人達はそれが「真珠」とは思えなくて、コットンパールに見えた訳で。あるいは時代は小判ではなく青銅が主流だったから、小判を捨てざるを得なかったわけだよね。」
「ああ、何よ。私たちは真珠で、アンチはブタって言いたいの?」
「あはは、確かにあの司教様の言葉は痺れたね。」
貴女方の価値が分からない人達の所にいる必要はありません。豚に真珠って聖書にも書いてあるでしょ?
「もうクソ母教会に縛られないと思ったら、もう東京教区中に、私たちのことが歪曲して伝わってたのはマジでキリスト教社会ぽさはあるね。」
「だってそりゃあ、本人たちはわかりたくないよー。私たちが、十五年前に既に安倍晋三元首相暗殺事件を予期していたなんて。しかもクソ母教会は羞恥に耐えられず聖書の誤用を周知させることに反対し、空気でもってして相手の病気を悪化させてドクターストップにまで追い込んだなんて、それこそ十字架の道行でイエスの苦しみを思い起こすことは出来ても認めないよ。」
「いやー、正直者はバカを見るんじゃないんだな。正直に言うとバカにしてると考えるんだな。私の取引先も、私が何百回と説明したから流れるように言えることが、「言い訳がましい」って言って、業界に晒すらしいよ。」
彼女は、どうやっても私と目を合わせたくないらしい。
「…『宗教って本当に怖い物なんですよ』。」
「何よ、今更。だから二人してやってんじゃん、『バカ騒ぎしようぜ』〜っていう、シノニズムを。」
「『聖典を燃やしたら暗殺されたって話、聞いたことあるでしょう?』。」
「なんだっけ、あの本のタイトル。日本社会って、経済成長期に2回ももてはやして大歓迎したイスラム教徒に対して、なんであんなヘイトぶちまけるんだろうね。ウクライナ難民二世の時代になってから、『露助の仲間』とかやるぞ、やるぞ。で、その頃には言葉狩りが終わってるから、大抵の日本人は『露助』を使うヤツらがどういう人間か知らないから、人生を棒に振るハメになる。」
「…『とんちを許すんですか?』。」
「………。」
「あは、やっと黙ったね。」
私が言うと、彼女は漸く黙って、お湯を一気に出し切り、猫舌のくせに一気飲みした。
「ねえ、何か言われてるでしょ。」
「………。」
「『講座』かな。『えっちな話』かな、『ほも』かな、『推せるアイツ』かな。多分だけど、内容や再生回数、リスナーの層から考えると、前者二つのどっちかだろうね。」
「…お前はそんなこと考えてないで、さっさと新しい作品を作れ。おれの家が飲みもしてないのにアル中の家だ。」
地元言葉の、濁った酒焼けしたような声色で、ため息をついた。
「あのね、野ばら―――。」
「だったら何だってんだよ。おれァやめねえぞ。」
「辞めさせないよ、今さら。」
「どっちが先に死んでも、『完成』はさせる。おれァ、自分の信仰や霊性を選んで、こっちに来たんだ。今さら
「そりゃ、そうなるように私は書いて書いて、それを野ばらに宣伝させたしね。」
「分かったら、そこに毛糸があるし、メールから有効なログ探して次の締切に間に合わせるかしてくれよ。」
「私、やめないよ。」
「そんなの―――。…。」
やっとこっちを見てくれた油断した彼女の眼を射抜いた。ふふ、私の才能に惚れ込んだ女だけある。多分今、彼女は私の考えていることが分かっているけど、敢えて細かく、口に出した。
「私はやめない。教義の擬人化も、社会風刺も、聖書への研究のための言語学習もやめない。この体がそれに耐えられなくなったとしても、新刊が間に合わなくても、本が書けなくなっても、フィールドワークが出来なくなっても、ノートがとれなくなってもzoomの声が聞き取れなくなっても。そこがキリスト教の建物を名乗るなら、どんな些細なことでも資本主義と貨幣社会と民主主義と一般常識に喧嘩売るよ。私の行動原理は『キリスト的かどうか』だからね。」
「…うん、そうだな。そうして欲しい。」
「それで、私は残念なことに、この度キリスト教社会からも、東京教区中にウワサを流されたから、もう聖書の言葉と常識でさえ話が出来ない。私の話が理解できるのは、神父や修道会、僧侶や牧師だけなわけね。最近牧師の中にも見て見ぬふりをする人達が出てきたから、マジで聖職者じゃないと、私の話は分からないんだな。」
「だからってお前、別にちんこ持ってたって、修道会にゃ入らんだろ。」
「そりゃ、持ってなくてもこうやって
「そりゃ、このおれが惚れ込んだくれぇだからな。」
「私はやめないよ。」
「おう。」
「
「地球から全ての石が無くなっとしても、私は黙らない。どんなに他人に迷惑をかけてもブロックされても在庫を抱えてもカネに困ってもやめない。私自身が死んだ後、私たちを巡った陰謀論が出つくしても、私はやめない。後代の陰謀論者のおもちゃになってもいい。私は私の信じる財産のために、誰でも犠牲にする。」
「なんか、聖書にそんな言葉あったな。そう言う名目で沢山の信者が泣き寝入りしてた。」
「『全ての財産を今すぐ捨てて私に従いなさい』の方? それとも什一献金の方?」
「確かマタイの方。カネの話は大体マタイって、お前に教えてもらった。」
「そだね。まあ、とにかく、私は少なくとも、貴女がどんな
「………。」
「それだけ言っときたかったの。じゃあ、クリスマスコラボの資料まとめておいたから、私寝るね。おやすみ、マイラブ。」
「………。とっとと寝ろ、冬コミの資金が足りてねえからまだ寝れねえ。」
意外なことに、私のジョークにお約束がなかった。まあ、鼻炎が悪化していたから仕方ないだろう。
冷蔵庫を覗くと、逼迫した家計のために、大量のおつとめ品や、入れ物にヒビが入ったお惣菜、ペースト状にした色々な
「…。あ、プリンだ! 最後のひとつで賞味期限切れってことは私のだな、貰っちゃお。」
クリスマスを意識したプリンの包装テープに、ソリに乗ったサンタクロースのシールが貼ってあった。
―――私の「自画像 」は、天使だ。ほんの出来心で描いた絵に添えた落書きが、思ったより可愛かったから採用しただけだが、どこからか野ばらが綺麗にデジタル補正してくれた。なかなか役立っているらしい。
私は、天使だ。
その羽根は精液と愛液の乾いたもので出来ていて、翼は歪で磯臭い。ラッパからは
それでも誰かは、本質に気づく。最後まで
それは、こんな精液と性癖に塗れた天使の羽根に、一所懸命に
私は姿を見せない。顔も声も誰も知らない。だから私と関わる人は、その
彼らのそばに、本当は居るけれど。彼らは磯臭いはずの
私は価値のあるアコヤ真珠になりたいけど、我らが神たるキリストさまにおかれましてはコットンパールになってもらおうと思っている。
―――だって、そうすれば、誰もが
―――『あなた』の価値が低くなって低くなって、25個入り110円の価値になれば、もう誰も、
全ての宗教が
「………。『死ね!クリスマス』のCDどこだっけ? ジブリの主題歌になった人たちだったな。」
きっと、誰もがインターネット学級会を開いてくれるようになる。
―――そんなに嬉しいのか、チョコレートなんかが
「って、これ『死ね!バレンタイン』の方じゃん! ニコニコにしかなかったっけ?」
メリークリスマスだ、豚ども!
今年も宗教で遊び尽くした! 冬コミの新刊は相方次第。或いは誰かの財布次第。
来年は、もーっと遊び尽くしてやんよ。ね? クソ野郎!
日本人は、そういうの程度の人間でいたいんだろ?
グロいきせきも描くのは得意でね。
さあ。この
翼しか見えなくて良かったと
翼だけが見えてればよかったと
そう嘆くだけの気骨のある
あら、そんな光だけでいいの?
―――その光、何でできてるか、教えてあげる。これを知れた貴方は奇跡よ。だから、『いいねとチャンネル登録お願いします』。
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