第33話 進路

ボクたちは、席に就く。


ちょっと変わった座りになりそう。


長机で横向きに、マルクスさんと父さんが対面に、その隣にアクアさんと母さんが対面に、その隣にシアンとボクが対面に座った。


初めて、彼女の対面に座る気がする。


ちょっとドキドキする。


シアンの顔がよく見える。


彼女もボクをじっと見ていた。


そして、視線をお互いに外す。


「さてと、夕食を食べながら話しましょう」とマルクスさん。


「そうだな」と父さん。


メイドたちが料理を運んで来る。


それぞれの席に料理が置かれる。


それを食べながらボクらは話を始めるのだった。


「さて、ハルクトさん。私からでいいですか?」


マルクスさんが父さんを呼ぶ呼び方が変わっていた。


だいぶ打ち解けたみたいだ。


「シアン、ハルマンくん。二人には一度別れてもらう」


一瞬の沈黙が訪れる。


何を言われたのか頭が追い付かない。


「「え?」」


そう言うのが精いっぱいだった。


そして、それはシアンも同じだったようだ。


「おっと、マルクスさん。それだと誤解が」


「え、あ!そうですね。すまない、二人共違うんだ。

ハルマンくんには、一度グランディッシュに行ってもらおうかと思ってね」


「そんなぁ」


シアンがすごく落胆した。


それは、ボクもだけど。


「マルクスさん、そこからは俺が。

ハルマン。お前には、グランディッシュ侯爵令息になってもらう。

一度、領地に来て正式に発表させてもらう。

だが、次の春に王都の学園に通ってもらおうと思う」


そうか、ボクは隠し子になっているんだった。


母さんと共に一度は領地に行かなくてはいけないのか。


「シアン、だから3ヶ月我慢してほしい。


春には、同じ学園に通える」


「3ヶ月・・・」


「ハルマンが正式に入籍をした後で、婚約者として発表させてもらう」


「婚約者、はい。それなら3ヶ月我慢します」


シアンの顔が百面相するのが対面だとよく見れた。


可愛いと思った。

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