第32話 食堂へ向かう

「皆様、食堂に夕食のご準備が出来ております」


メイドの一人がそう告げた。


ガゼボの周辺は、照明が焚かれ明るくなっていたのでいつの間にか夜の帳が下りていたことに今になって気づいた。


「あら、もうそんな時間なのね。

ミナ、マルクスの話し合いは終わったの?」


「はい、先ほど終わったそうです」


「分かったわ、では皆さん移動しましょう」


アクアさんに誘われるようにボクらはガゼボを出て食堂へと向かった。


その間、シアンはボクと手を繋いでいた。


なんだか、もうそれが自然になっている。


「見ているこっちが恥ずかしくなるわね」


「そうですね・・・羨ましくなりますね」


母さんとアクアさんがそう言っていた。


ボクも恥ずかしいんだけど。


シアンは、恥ずかしくないのかな?


そう思って彼女の方を見ると彼女は彼女で顔を真っ赤にしていた。


恥ずかしいには恥ずかしいけど、ボクと手を繋ぎたかっただけなのかな。


「あのシアン、恥ずかしいなら無理して繋がなくても」


「嫌です、放しません。

大好きなハルマンと手を繋いでいたいのです」


ボクの顔が火を噴きそうなくらいに熱くなる。


シアンの顔をしっかり見れない。


「まあまあ、初々しいわね」


「リリアスさま、そうですね。

私もたまには」


「それはいいわね、私もハルクトと」


2人はそう呟いていた。


ボクらを見て楽しんでいる気がするのは気のせいだろうか。


やがて、食堂の大きなドアが見えてきた。

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