第24話 引き締まった肉体に魅了されて

「はぁ、眼福でした」


そんなことを言うお嬢様。


ボクの身体、ほんとどうなってるの?


「抱き着いてもいいですか?ハルマン」


「え、お嬢様。それは、はしたないのでは?」


「う、それを言われると弱いです」


お嬢様は、とても残念そうな顔をしていた。


でも、ここは心を鬼にしておかなくては。


流石に、抱きつくのは貴族的にダメなのでは・・・。


「ハルマンのいまの肉体に抱き着いたら、ワタクシ理性を保てないかもしれません・・・とっても魅力的な筋肉ですので」


あれ?お嬢様って筋肉フェチ?


ボクは、首を傾げる。


「あの・・・お嬢様は筋肉が好きな」


「違います。ハルマンだからですよ。

大好きな人の引き締まった身体で抱きしめられたら・・・」


お嬢様は、両手で顔を覆っては身体を左右に揺らしていた。


とっても恥ずかしいのか、いやなんだかそれだけではないような。


「お嬢様、デート行くんですよね?」


「あ、そうでした。では、行きましょう」


ボクが、告げるとお嬢様はボクの手を取ると歩き出した。


だが、すぐに彼女は歩を止めた。


「あ、ハルマン。佩剣はしておいてください」


「え、あ。そうですね」


「貴方が、剣を提げていれば向かってくる者はいないでしょう。

いても、守ってくれますよね?」


「もちろんです、この命に代えてもお守りします」


「貴方の命も大切です。無理だけはしないでください・・・今の貴方に勝てる方がいるかはわかりませんが」


お嬢様が、不思議なことを言っていた。


ボクに勝てる方がいない?


どういう意味だろう。


ボクは、弱いのに。


でも、お嬢様は何を犠牲にしても守らなくては。


ボクは、決意を新たに剣帯をして佩剣するのだった。


剣の重みが腰に加わる。


でも、一昨日より軽く感じる。


提げていても気にならないほどに。


身体が、成長したのだと改めて認識できた。


結局お嬢様はボクの右腕に抱き着いてきていた。


こんなことしていて大丈夫なのだろうか?


他領の貴族に何か言われたりしないかな?


ボクは、気になりつつもお嬢様を引きはがすことなどできず歩き出すのだった。

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